日本専門医機構は2014年に専門医を認定する第三者機関として設立された。その基本像は,「専門医の在り方に関する検討会」の提言に基づいており,制度の統一化・標準化,基本領域を取得してサブスペシャルティ領域を取得,総合診療専門医を基本領域に位置づけ,プロフェッショナルオートノミーで運営することが決定されている。現在問題となっているのは,医師の地域・診療科偏在問題とサブスぺシャルティ領域の認定問題である。
症例は10歳代男性,間歇性跛行で当科紹介。腓腹筋内側頭の付着異常による膝窩動脈の圧排および血栓性閉塞を認め,膝窩動脈捕捉症候群の診断に対し,腓腹筋内側頭の切離,膝窩動脈の血栓除去および内膜摘除により血流の改善を得た。膝窩動脈の内膜変性が軽度であれば,自家静脈置換術をせずに血流の改善を認める可能性が示唆される1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。
85歳女性。73歳時に遠位弓部大動脈瘤に対し人工血管置換術を受けた(Gelweave™, Vascutek)。85歳時に肺癌検診で縦隔の異常陰影を指摘され,CTで大動脈弓部に最大径110 mmの吻合部仮性瘤を認めた。手術では仮性瘤の他に,吻合部と関係のないダクロン人工血管後壁に5 mmの穿孔部を2カ所認めた。穿孔部に対峙する遺残瘤壁の内膜側に多発性の石灰化巣があり,人工血管穿孔の主原因と考えられた。
本年2月より新しい塞栓物質としてShape memory polymerを用いたIMPEDEが認可されたため,その初期経験を報告する。症例は82歳男性。右内腸骨動脈瘤に対してEVARに先がけIMPEDE(IMP-10)を用いて上殿動脈・下殿動脈をそれぞれ塞栓した。血栓形成遅延を予防するため,塞栓確認造影のタイミング・回数を検討する必要があるが,術後CTではアーチファクトが少なく,エンドリークの評価がしやすいことから,IMPEDEは今後期待される塞栓物質である。