症例は40歳男性。Marfan症候群による全大動脈人工血管置換術後の右鎖骨下動脈瘤に対し血管内治療,バイパス手術により良好な治療結果を得た。鎖骨下動脈瘤分枝をコイル塞栓後,右総頸動脈を露出した。腕頭動脈よりステントグラフト脚を留置した。鎖骨上アプローチにて瘤の末梢側鎖骨下動脈を露出後,T字人工血管にて総頸動脈–鎖骨下動脈バイパス術を施行した。術後合併症を認めず,11病日目に退院した。
症例は58歳男性。3年前にStanford B型大動脈解離に対して保存的加療を行っていた。1年前に再解離を発症し,右腎梗塞を伴う3腔解離を来しており,エントリー閉鎖を目的としたTEVARを施行した。その後,偽腔の血栓化が得られず,瘤径の拡大を認めた。切迫破裂が疑われ,Candy plug法による偽腔閉鎖を行い,偽腔の血栓化と瘤径の退縮傾向を認めた。Candy plug法は慢性大動脈解離に対する治療法の一つになりうる。
症例1は55歳男性。他地域で急性大動脈解離B型を発症し転送され,真腔の高度狭窄,腹腔および上腸間膜動脈の血流低下を認めた。ステントグラフト挿入(TEVAR)後,血流は回復したが,臓器障害にて血液浄化,透析を施行した。症例2は68歳女性。胸背部痛にて他院にてCT中に胸腔内への破裂を認め緊急搬送し,TEVARにて救命した。救命率向上には患者搬送と最適デバイスを早期に準備する体制整備が重要である。