下肢静脈うっ滞症状を呈する33例において,血管内皮機能検査(flow-mediated dilation: FMD)について検討した。CEAP分類別のFMD中央値はC1: 4.2%, C2: 3.7%, C3: 4.3%, C4: 3.3%, C6: 2.4%で,C4–6群はC1–3群に比し有意に低下していた(p=0.035)。動脈硬化リスク因子(糖尿病,高血圧,脂質異常症)とFMD値とは関連はみられなかった。下肢静脈うっ滞症状と血管内皮機能障害は関連する可能性が示唆された。
症例は68歳女性。真性多血症で加療中であったが,両下肢痛と下腿の知覚鈍麻および運動障害を生じた。CTにて両側総大腿動脈および下腿以下の動脈閉塞を認め,両下肢急性動脈閉塞の診断で当院に緊急搬送された。直ちに両下肢動脈の血栓摘除術を行い,両下腿の筋膜切開術を追加した。真性多血症では血栓症リスクが高く,両下肢同時に急性動脈閉塞症を発症することもあり,注意を要する。