慢性B型大動脈解離に対するステントグラフト治療は,その施行のタイミングにより治療効果が大きく異なる。慢性B型解離に対しステントグラフト治療を行った自験169例を発症1年以内・非瘤化症例に施行したPreemptive TEVAR(先制TEVAR)53例と,偽腔瘤化後症例に施行したTEVAR 116例に分けて,その成績と偽腔縮小効果の違いについて説明する。
大動脈瘤治療におけるステントグラフト治療が広く普及することで,本邦の大動脈外科は大きな変遷を遂げた。企業製ステントグラフトの保険収載以後10年以上が経過し,その遠隔成績が明らかになると共に,術後の特有な合併症であるエンドリークやmigration, ステントグラフト感染などに対する追加治療の必要性,治療法など検討課題も明らかとなってきた。最新の知見を交え,大動脈瘤に対するステントグラフト治療の現状と展望について概説する。
腹部の動脈および下肢末梢動脈の超音波検査項目として1)腹部大動脈瘤の評価,2)腎動脈狭窄評価,3)下肢閉塞性動脈硬化症の評価などが日常よく行われている。プラスアルファとして1)治療に直結する検査,2)大動脈瘤切迫破裂や急性動脈閉塞などの緊急検査対応,3)稀な疾患に遭遇した時の観察要点などが挙げられる。今回,腹部大動脈と腎動脈などの分枝動脈,および下肢動脈におけるルーチン検査の要点とプラスアルファで行っている検査の実際を述べる。