症例は70歳,男性。孤立性左内腸骨動脈瘤破裂による出血性ショックに対してコイル塞栓直後に開腹下に空置術を施行した。術後瘤の拡大があったためコイル塞栓を施行したが瘤が再拡大しため空置術後3年目に破裂時同様にオクリュージョンバルン(OB)を併用して後腹膜経路で瘤内へ流入する動脈の結紮と瘤縫縮を施行した。OBを併用することで術中の出血のコントロールができ再手術を安全に施行できた。
77 mmの腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を施行した。術中塞栓症を併発し,術直後から左足趾色調不良,翌日に腰背部皮下出血,術後12日に小腸穿孔を来した。術後36日と44日に腸腰筋血腫を生じ虚血再灌流障害が原因と考えられたが,EVAR術中合併症としては報告がなく予見困難だった。広範な術中塞栓症を併発した場合は虚血再灌流障害を含めた多彩な症状が経時的に出現する可能性があり注意が必要である。