脈管学

第51 回総会　座長推薦論文

原著

大伏在静脈グラフトの瘤状の拡張に対する自己静脈ラッピングによる修復

飯田浩司, 砂澤徹

2012 年 52 巻 February 号 p. 75-77
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.75

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要　旨：有用な自家代用血管として用いられる大伏在静脈グラフト(SVG)採取時に瘤状の拡張を認めた場合の簡便な修復法を考案した。使用予定より3–4 cm長く採取したSVGの近位端3 cmを切断し，その中にSVG本体を通して瘤状の拡張を腹巻状にSVG小片によって覆うことにより拡張性病変を矯正した。この方法を冠状動脈バイパス術を施行した3症例の3本のSVGに施行しそのうち2例では1年後にグラフト造影を行いSVGの開存と拡張性病変の消失を認めた。

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膝下動脈病変に対する血管内治療における小口径シースレスガイディングカテーテル(Parent Plus45^TM)の有効性：対側大腿動脈アプローチでの検討

川本健治, 福永寛, 山田大介, 鈴木秀行, 藤田慎平, 宮地剛, 山本和彦, 堀崎孝松, 片山祐介, 櫻木悟, 徳田 ...

2012 年 52 巻 February 号 p. 79-84
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.79

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要　旨：2009年4月から2010年5月までの対側大腿動脈アプローチにて膝下動脈病変のみを治療した重症虚血肢の患者15例，17患肢，22病変を対象とした。全例小口径シースレスガイディングカテーテル(Parent Plus45^TM)を使用したがすべて患側の膝窩動脈まで挿入でき，病変成功率は95%，初期成功率は100%で，合併症は認めなかった。膝下動脈病変に対する血管内治療の治療戦略として，4.5 Frである小口径シースレスガイディングカテーテル(Parent Plus45^TM)を使用し対側大腿動脈アプローチにて行うことは，低侵襲で満足のいく治療法である。

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85歳以上高齢者腹部大動脈瘤手術の適応と成績

高橋大輔

2012 年 52 巻 February 号 p. 85-88
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.85

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要　旨：85歳以上高齢者腹部大動脈瘤手術の成績について2002年以降の21例を検討した。平均年齢87.1歳(85–92)，緊急手術10例(47.6%)，破裂7例(33.3%)，平均最大径68.9 mmであった。手術死亡は5例(23.8%)で，全例破裂で術前ショック症例であった。待機手術の死亡はなかった。手術死亡を含む術後生存率は1年で71.1%，3年で64.0%であった。85歳以上高齢者腹部大動脈瘤手術においても待機手術の成績は良好であり許容されると思われた。

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当院における孤立性内臓動脈解離6症例の検討

兼城達也, 嘉数修, 當山鉄男, 與那覇俊美, 平安山英義

2012 年 52 巻 February 号 p. 89-93
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.89

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要　旨：大動脈解離を伴わない孤立性内臓動脈解離は稀で病態や治療方針について不明な点が多い。2009年までに当院で経験した6例の孤立性内臓動脈解離症例について検討した。対象は男性5例，女性1例で平均51歳であった。腹腔動脈単独解離が3例，上腸間膜動脈単独解離が2例，腹腔動脈と上腸間膜動脈，両側腎動脈解離を合併したものが1例であった。いずれの症例も強い腹痛や心窩部痛を主訴に受診し，腹部造影CTで内臓動脈解離と診断された。4例は入院治療を2例は外来通院で，いずれも保存的治療を行い症状は軽快した。全例とも経過観察中，臓器虚血や瘤の拡大兆候は認めていない。

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症例報告

上行置換術後吻合部巨大仮性瘤の1例

高野智弘, 高橋皇基, 丹治雅博, 佐藤洋一

2012 年 52 巻 February 号 p. 95-97
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.95

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要　旨：症例は57歳，女性。約20年前大動脈弁置換術および上行置換術を施行された。経過観察中に胸部レントゲン写真で縦隔陰影の拡大を認め，CTを施行したところ上行大動脈に12 cm大の巨大仮性瘤を認めたため手術を施行した。手術は右腋窩・右大腿動脈送血，右大腿静脈脱血にて体外循環を確立し，膀胱温20°Cで循環停止とした。胸骨正中切開すると仮性瘤開放となったが，予め留置しておいた閉塞用大動脈内バルーンを拡張し，大動脈遮断することで無血視野を確保でき，再上行置換術を施行し得た。

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第17 回医用近赤外線分光法研究会

総説（特別講演）

筋代謝研究における近赤外線分光法の役割

浜岡隆文

2012 年 52 巻 February 号 p. 99-102
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.99

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総説

外側広筋の脱酸素化が高強度運動時に停滞する機序についての検討

大澤拓也, 木目良太郎, 浜岡隆文, 山本正嘉, 勝村俊仁

2012 年 52 巻 February 号 p. 103-107
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.103

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要旨：漸増自転車運動負荷時，最高酸素摂取量に達する以前に活動筋の脱酸素化は停滞する。その機序は明らかではないが，先行研究で推測されていた筋脱酸素化の限界や速筋線維動員の増加であることは証明されなかった。一方，外側広筋の脱酸素化停滞以降に他の筋の脱酸素化が亢進することが確認された。これらの結果より，外側広筋の脱酸素化停滞は他筋の脱酸素化亢進と関係している可能性が示唆された。

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組織内エネルギー代謝計測との併用による循環病態解析

沖田孝一

2012 年 52 巻 February 号 p. 109-114
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.109

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要旨：循環障害を有する疾患の動的病態を解析するには，中心循環のみならず末梢組織の血流（酸素供給）および筋内代謝を調べる必要がある。後者は，磁気共鳴分光法により測定可能であるが，血流測定に用いられる血管内カテーテル，プレチスモグラフィおよび超音波ドップラーは，必ずしも局所筋血流を評価できるわけではない。われわれは，磁気共鳴分光法と近赤外線分光法を用いた循環器疾患の病態解析を行ってきたので，その有用性を概説する。

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原著

自転車運動時の大腿部の酸素消費量と酸素化ヘモグロビン・ミオグロビン含量の部位差

市村志朗, 勝村俊仁, 森口哲史, 山田雄太, 中川直樹, 庭山雅嗣, 山本克之, 浜岡隆文

2012 年 52 巻 February 号 p. 115-122
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.115

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要　旨：本研究の目的は，自転車運動時の大腿部筋酸素消費量(VO₂mus)と大腿部酸素化ヘモグロビン・ミオグロビン含量(Hb/MbO₂含量)に部位差があるかどうかを明らかにすることであった。健常成人男性5名に仰臥位での漸増負荷自転車運動を疲労困憊まで行わせ，その際に，多チャンネル式近赤外連続光分光法装置を用いて大腿部のVO₂musとHb/MbO₂含量の部位差を検討した。高負荷運動時に，近位部のVO₂musは遠位部より有意(p<0.05)に高値であった。高負荷運動時には，大腿部VO₂musには部位差があり，大腿部Hb/MbO₂含量には部位差がみられないことが示された。このことより，高負荷運動時の大腿部の酸素供給にも部位差がある可能性が考えられた。

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閉塞性動脈硬化症における近赤外線分光法の回復時間と心血管予後との関連性

渡部芳子, 重松宏, 小櫃由樹生, 小泉信達, 高江久仁, 佐伯直純

2012 年 52 巻 February 号 p. 123-127
発行日: 2012/02/10
公開日: 2012/02/10

DOIhttps://doi.org/10.7133/jca.52.123

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要　旨：閉塞性動脈硬化症の患者に対し，近赤外線分光法(NIRS)にて測定された運動負荷試験後の下肢虚血の回復時間(RT)と，心血管予後との関連性を検討した。観察期間は9.2±2.1年であった。心血管イベント発症群と発症しなかった群とで比較すると，患者の両下肢のうち回復が遅かったほうの肢のRTは，有意差はなかったもののイベント発症群で長かった。NIRSで測定されたRTは，心血管予後に関連する可能性がある。

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