Revision using distal inflow(RUDI)は透析アクセス関連盗血症候群(DASS)に対して行われるが,重症例では十分な改善が得られないこともある。手指壊死を伴うDASSに対してRUDIを行った1例を報告する。症例は68歳,女性。5カ月前に左肘部シャントを造設され,徐々に手指の虚血が進行し指尖部壊死を認めた。DASSと診断しRUDIを施行し指尖壊死部の上皮化が得られた。
症例は72歳,男性。右総腸骨動脈瘤に対し,開腹手術を施行した。総腸骨動脈瘤と腸間膜の強固な癒着,肥厚した瘤壁を認め,炎症性動脈瘤と判断した。Y字グラフトで人工血管置換術を行い,病理組織学的診断はIgG4関連大動脈周囲炎であった。術後血液検査でIgG4の上昇なく,ステロイド治療は行わず,半年間良好に経過した。IgG4関連炎症性総腸骨動脈瘤は報告が少なく,術式やステロイド治療にはさまざまな見解があり,文献的考察を交えて報告する。