大腿深動脈瘤は稀な疾患で無症候性のことが多く早期診断は困難と言われている。3カ月で急速増大した大腿深動脈瘤患者に対して瘤切除を行ったので報告する。症例は既往に糖尿病性腎症がある75歳男性,左大腿部の腫脹を主訴に受診し,単純CTで63 mm大の大腿深動脈瘤を認めた。単純MRIで浅大腿動脈から下腿三分枝まで開存していたことを確認できたため血行再建はせず瘤切除のみ施行した。単純MRIは治療方針を決定する上で有用であった。
外側大腿回旋動脈(LFCA)下行枝へのバイパス手術により救肢した重症虚血肢の1例を報告する。低心機能の81歳男性,右腸骨動脈,総大腿動脈–浅大腿動脈–膝窩動脈,大腿深動脈・下腿動脈の多発かつ広範囲病変を有しLFCAが側副血行として発達。神経ブロックにて腸骨動脈ステントおよび外腸骨動脈からLFCA下行枝への自家静脈バイパス手術を施行。良好に発達したLFCAを流出路とするバイパス手術は高リスク例の救肢目的の術式として有効であった。