脈管学
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52 巻, November 号
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原著
第52 回総会シンポジウム7 下肢救済とフットケア
  • 北野 育郎, 辻 義彦, 杉本 幸司
    2012 年 52 巻 November 号 p. 343-348
    発行日: 2012/11/10
    公開日: 2012/11/10
    ジャーナル オープンアクセス
    要 旨:潰瘍・壊死を合併した重症虚血肢の救済においては,血行再建術は治療の第1段階であり,その後に創傷ケアや適切な装具の作成・リハビリテーションなどの集学的治療が不可欠である。2003年以降にバイパス術が施行されたFontaine IV度の93例100肢を対象とし,バイパス術と術後の創傷ケア,とくに切断部位による歩行機能への影響について検討を加えた。血行再建術の末梢吻合部は,膝上28肢,膝下20肢,下腿3分岐以下52肢で,2年での一次/二次開存率は膝上85.2/93.7%,膝下73.8/73.8%,下腿71.8/78.3%であった。バイパス術後に小切断なしが39肢,趾の断端形成術を要したものは31肢,踵部部分切除1肢で,生存例では術後全例に歩行機能の低下は認められなかった。中足骨レベルでの切断は20肢で,術前歩行可能であった17例のうち15例が,退院時も自力歩行可能であった(歩行維持率88.2%)。一方ショパール離断1肢,下腿切断5肢,大腿切断3肢中,術後に歩行可能な症例はなかった。救肢率は1年/5年で90.3/85.0%と良好であったが,生存率は85.0/55.9%と低値であった。重症虚血肢の症例に関しては,救肢可能であってもその生命予後が不良な例も多く,血行再建術および創傷ケアによって歩行機能を維持することが重要と考えられた。
症例報告
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