下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術施行時に,下腿の側枝静脈瘤に対する瘤切除や硬化療法の併施は多くの施設で行われているが,その有用性については議論があり,本邦でのガイドラインにおいても推奨なしとされている。当院での併施手術を行わない,高周波焼灼術単独施行例の成績は受容し得るものであったが,症例や患者の希望に応じて,美容的評価も考慮しつつ,予後予測をも反映した側枝静脈瘤の治療方針を考慮すべきと考えられた。
89歳女性。心房細動に対しDOACを内服していた。B型急性大動脈解離および腹部大動脈瘤(40 mm)の診断で緊急入院しDOACは中止した。入院後8日目に腹部大動脈瘤内に新規の浮遊血栓を認めたが,高齢,フレイルのため保存的加療とし血栓は3カ月で消失した。腹部大動脈瘤内の浮遊血栓は高感度ドップラーを併用した腹部超音波で低エコーとAC signが混在している場合,保存的加療を選択しえると考えられた。
症例は65歳男性。右第2–3指血流障害の精査加療のため当科紹介。DIP関節末梢で第2指はチアノーゼ,第3指は壊死しており,抗血小板・血管拡張治療を開始した。血液検査で寒冷凝集反応が強陽性であったことを契機に精査を進めた結果,IgM-κ型M蛋白が検出され,原発性マクログロブリン血症と診断した。原発性マクログロブリン血症に伴う寒冷凝集素症により手指壊死に至った稀な1例と考えられたため,文献的考察を踏まえて報告する。