心臓血管外科手術では静脈血栓塞栓症の発生頻度は低いと考えられているが,真の発生頻度は明らかでない。心臓血管外科手術患者連続70例で下肢静脈エコーによる深部静脈血栓症の術前後の評価を行った。術後新規深部静脈血栓症発生率は7.1%で,未発症群との比較では術後経過項目,術後血液検査,等の主要検討項目で有意差を認めなかった。術後造影CTで肺動脈血栓塞栓症の評価を行い,発生率は0%であった。
症例は71歳,女性。右中大脳動脈領域の脳梗塞にて他院に入院した際のCTで2峰性の囊状鎖骨下動脈瘤を認め,瘤切除および鎖骨下動脈直接吻合による再建を施行した。迷走神経,反回神経が瘤に巻き込まれて内側に変位していたが,胸鎖乳突筋の胸骨頭離断を併施する鎖骨上アプローチにより,良好な視野にて安全に手術を施行しえた。神経に絡む多峰性の鎖骨下動脈瘤は稀であり,文献的考察を交え報告する。