末梢動脈の再建には適切なグラフトの選択が不可欠である。われわれは,右膝窩動脈瘤からの遠位血栓症を呈した87歳の男性の治療に成功した。伏在静脈が細径であったため,右浅大腿静脈グラフトを用いて瘤切除置換術を行った。術後剝離面からの出血を認めたが虚血症状は改善し他良好に経過した。術後4カ月で右下肢の腫脹は消失した。その後癌で亡くなるまでの20カ月間,グラフトは良好に開存していた。浅大腿静脈グラフトは吻合動脈と口径差が少なく再建材料に適していたが,剝離面からの出血に注意すべきである。
症例は60歳男性。1カ月間持続する右第2趾疼痛を主訴に来院。造影CTと超音波検査で足趾動静脈奇形と診断。病巣部切除および流入動脈の結紮を行ったが3カ月後に再発。右第2趾血流を遮断しフォーム硬化療法を行い,趾壊死なく術後2年経過している。動静脈奇形は稀な疾患で外科切除により根治を期待できるが再発例も多い。治療に難渋するような症例や再発例に対してフォーム硬化療法が簡便で効果的な治療法として期待できる。