臨床工学技士は生命維持管理装置の操作,保守,点検が主たる業務である。近年では医療職種間のタスクシフティングによってその職域は拡大傾向にあり,当院では血管診療領域における治療介助業務が該当する。Vascular CEは医療機器の専門家としての知識と技術に血管診療に関する病態や各種検査への理解を併せ持つ臨床工学技士であり,血管診療領域において一層チーム医療に貢献できると考える。
70歳,男性。CTで右内腸骨動脈本幹に60 mm囊状動脈瘤を認め経時的増大を認めた。動脈瘤のisolationによる塞栓術を予定したが瘤の末梢側,中枢側いずれも留置可能な距離が短いため,AVPを展開後内部に標準型ファイバー付きコイルを充填させて塞栓を行った。術後殿筋跛行などの症状も認めず,2カ月後のCTで瘤内に造影剤の流入は見られず瘤径に増大はなく上殿および下殿動脈も良好に開存していた。