Prox1はリンパ管内皮細胞の分化や細胞機能に必須なマスター転写因子である。われわれはこれまでにProx1の機能を制御する転写因子としてEtsファミリー転写因子を,Prox1が制御するシグナル伝達経路として血小板由来増殖因子(PDGF)シグナルを同定した。また,Prox1そのものの発現を調節するシグナル因子として,内皮間葉移行の誘導因子であるTGF-βを同定した。
血行再建後内膜肥厚は炎症を基盤とし血管平滑筋細胞遊走増殖が関与する。われわれは能動的な炎症収束作用のある不飽和脂肪酸代謝物レゾルビンなどの抗炎症性脂質メディエーター(SPM)に注目した。SPMは有望であるが,治療システム構築には局所や全身投与以外に病変部位標的のdrug delivery system(DDS)が必要である。抗炎症作用のある核酸にも言及し抗炎症作用とDDSの観点から考察・概説する。
10年間で,深部静脈血栓症(DVT)を発症した妊産婦は15例だった。観察期間中に,4例でDVTが再発し,いずれも抗凝固療法は行っておらず,うち1例は産褥期,2例は再妊娠期間であった。下大静脈フィルター(IVC-F)は6例に留置し,回収可能型IVC-Fは回収試みた3例中2例で抜去困難であった。妊産婦DVT症例では,妊娠・産褥期の抗凝固療法を行い,一時留置型IVC-Fの選択が望ましいと考えられた。