本邦の静脈血栓塞栓症(VTE)の治療の特徴として,不十分な抗凝固療法が挙げられる。2014年よりVTE治療にDOACsが使用可能となり,治療に変革をもたらすと考えられる。また,深部静脈血栓症(DVT)に対するカテーテル治療は本邦においても一部の施設で行われ,重症DVTに対して効果的と考えられる。これらの新たな治療法は,出血性合併症やコストベネフィットなどを考慮し適切な症例に用いることが重要である。
バージャー病で28歳時に右下肢バイパス術を行った症例が喫煙継続のため術後19年目にrevision手術を受け,33年後に最終的にグラフト閉塞となった。その後禁煙,薬物療法により一時症状は安定していた。しかし,糖尿病,高脂血症などの合併も加わり36年目頃から右足部安静時痛が出現したためspliced vein graftによる再バイパスを行った。バージャー病で長期間follow up中にASOを発症し,再バイパスを遺残静脈グラフトにて行い救肢が達成された症例を報告した。