腎細胞癌159例の paraneoplastic syndrome (metabolic, hematological, および biochemical syndrome) について検討した. metabolic syndrome は86例 (54.1%) にみとめられたが, そのうち発熱が最も多く61例 (38.4%), ついで体重減少36例 (22.6%), 全身倦怠感35例 (22.0%), 食思不振30例 (18.9%), 胃腸症状15例 (9.4%), 精索静脈瘤15例 (9.4%) にみとめられた. 発熱は腫瘤触知例に多くみられ, 赤沈亢進, 肝機能障害をともなうことが多く, stage とは相関しなかったが, high grade 例に多くみとめられ, 予後は不良であった. 精索静脈瘤がみられた15例中6例 (40.0%) は肝機能障害をともなっており, 他の metabolic syndrome の多くは high grade, high stage 例に高頻度にみられた. hematological syndrome としては貧血が33例 (20.8%), 赤血球増多症3例 (1.9%), 赤沈亢進が96例 (60.4%) にみとめられた. 貧血は血尿の有無とは関係しなかったが, high grade および high stage 例に多くみられた. 赤沈亢進は high grade, high stage の例に多くみとめられ, 発熱, α
2-globulin の増加, 貧血をともなうものが多く, 予後は不良であった. biochemical syndrome としては肝機能障害が21例 (13.2%), α
2-globulin 増加が91例 (57.2%), 高カルシウム血症が13例 (8.2%) にみられた. 肝機能障害は腫瘍の grade および stage のいずれとも相関しなかったが, α
2-globulin 増加は high grade, high stage の例に多くみられ, 貧血, 赤沈亢進をともなうことが多く, 予後は不良であった.
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