日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
74 巻, 10 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 中神 義三, 箕輪 龍雄, 戸塚 一彦, 平岡 保紀, 中島 均, 松本 恵一
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1727-1733
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    尿路性器癌患者に対し, 全自動細胞電気泳動装置を用い, ヒト末梢血リンパ球の電気泳動法による解析を行ない若干の知見を得た.
    検討対象は正常人を含め尿路性器癌患者65例の末梢血を採取し検体とした.
    この結果, 正常人の電気泳動パターンを決定し, その上で癌患者の測定結果を分析した. 正常人の High Mobility cell〔HMC〕(Mob.≥0.95μm/sec/v/cm)は T cell, Low Mobility cell〔LMC〕(Mob.<0.95) はB cell に相当し, 癌患者においてはLMCが増加する傾向がみられ, これは電気泳動度の低いT cell〔LMT〕が出現しているものと考えられた. また, LMT/HMTは免疫能の低下と共に増大する傾向を有し, Stage が進むにつれて高値を示した.
    維持療法を行つている術後患者においては, 非治癒切除例のLMT/HMTは治癒切除例に比べ有意に高い値を示した.
    以上の結果から, LMT/HMTは癌患者の免疫系の把握, 治療効果判定, follow up 等の有効なパラメーターとなるのではないかと考えられる.
  • ヒト精路を使用した in vitro の薬理学的実験
    成田 晴紀
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1734-1748
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    ヒト精路52標本を使用し, 精路各部位の in vitro での薬理学的実験を行い, その内41標本につき精路各部位別のノルエピネフィリンに対する反応を観察し, 次の結果を得た.
    1) 精巣上体尾部 自発性収縮が高頻度にみられ, この収縮の振幅も他の部位のものに比し, 明らかに 大きい. しかし, ノルエピネフィリンによる最高収縮力は精管より低値を示し, 一方, ノルエピネフィリンに対する感受性は他の部位に比しもつとも高く, 低濃度のノルエピネフィリンより反応した.
    2) 精管近位精管より遠位になる程, ノルエピネフィリンによる最高収縮力は増強傾向を示し, 骨盤部精管がもっとも強く反応した. 一方, ノルエピネフィリンに対する感受性は遠位精管程低くなり, 統計的にも有意であつた.
    3) 精管膨大部遠位精管とほぼ同様の反応を示した.
    4) 精嚢自発性収縮が高率に発生し, 収縮数ももつとも多かつた. しかし, ノルエピネフィリンによる最高収縮力は全精路中もつとも低く, ノルエピネフィリンに対する感受性も遠位精路と同様に低かつた.
    5) 上記の精路部位別のノルエピネフィリンに対する反応より, 精路内精子輸送は次のように理解される.
    精巣で作られた精子は精巣上体尾部より常に遠位精路に向かい能動的に送り出される. 性的興奮が始まると, まず精巣上体尾部の収縮が始まり徐々に強まり, 内圧も高くなり精子輸送も活発となる. 更に, 性的興奮が高まると, 近位精管へと収縮は波及し, かつ強力となる. 精管内圧の上昇と共に, 精管膨大部内圧も上昇し, 遠位側への精子輸送は益々活発となり, 射出直前には遠位精路は最強の収縮を生じ, 先ず精管膨大部内容を後部尿道へ急速に射出し, 同時に精管膨大部より近位の精路は痙縮の状態にあり逆流を阻止し, 体外へと射精が起こると考えられる. この三連の精路の収縮運動は精路内精子輸送にとつて極めて合目的であり, これにノルエピネフィリンが大ぎく関与していることが分つた.
  • 膀胱癌組織内ポリアミン含量について
    清原 久和, 細木 茂, 木内 利明, 黒田 昌男, 古武 敏彦, 松田 稔
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1749-1757
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    ポリアミンの代表的なものとして putrescine, spermidille, spermine があげられるが, これらは細胞増殖に関与していることが知られており, 悪性腫瘍の診断, 予後判定の marker として, その意義が注目されている. 我々は33例 (男子27例, 女子6例, 平均年齢61.9歳) の膀胱癌患者の組織内ポリアミンを dansyl 化法で, 薄層クロマトグラフィーを用いて測定し, 以下の結果を得たので報告する.
    1) 膀胱癌組織内の putrescine, spermidine, spermine 含量は正常膀胱組織のそれらに比べ有意に高値を示し, spermine>spermidine>putrescine の順に多かつた.
    2) 病理組織学的異型度が強くなるにつれ, 腫瘍組織内 putrescine, spermidine, spermine 含量は増加し putrescine/spermidine 比の値も上昇した. 統計学的有意差は, G1群とG3群の putrescine, spermidine, spermine と, G2群とG3群の spermine に認められた.
    3) 病理組織学的深達度別には≤p T1群より, >p T1群で putrescine, spermidine, spermine の含量が増加していた. 統計学的有意差は spermine のみに認められた.
    4) 転移または膀胱内再発のあつた症例は6例あるが, 5例で putrescine の異常な増加または spermidine/spermine 比の値の上昇を認めた.
  • 千葉 裕, 棚橋 善克, 桑原 正明, 原田 一哉, 豊田 精一, 沼田 功, 前原 郁夫, 折笠 精一
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1758-1764
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    最近我々は経皮的に尿路結石を摘出する新しい方法を18名の患者に対して施行し, 17例で特に問題なく結石の摘出を成功させている.
    方法は, 従来の経皮的超音波穿刺術によつて, 穿刺針を腎盂内へ刺入し, 拡張器によつて, 徐々に腎瘻を拡張していく. 内視鏡が挿入できる太さまで拡張したならば, 続いて内視鏡を腎盂内へ誘導し摘出術を行なう. 結石は, 内視鏡の鉗子孔を通して結石に到達させたバスケットカテーテルあるいは把持鉗子によつて, 直視下またはレントゲン透視下に捕獲され摘出される.
    尿路結石症に対するこの比較的非侵襲的な治療法は多くの利点をもつており, 現状でも多くの症例に応用可能であるが, 内視鏡や把持鉗子類の改善によりその適応は更に末梢の腎杯まで拡がると思われる.
  • 西沢 理, 原田 忠, 高田 斉, 宮形 滋, 守屋 至, 大矢 晃, 佐藤 貞幹, 木津 典久, 中村 久, 松崎 章, 金 信和, 土田 ...
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1765-1771
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男子で尿放出力の減弱を主訴として当科に来院し, 昭和57年7月26日当科に入院の上下部尿路機能に関する精査を行つた. リニア電子スキャンによる経直腸前立腺縦断層法とウロダイナミック検査法との同時記録法から膀胱頚部硬化症の診断を得て, 昭和57年8月26日経尿道的膀胱頚部切除術を実施した. 切除標本組織学的所見にて線維化が著明であり, 膀胱頚部硬化症と考えて妥当であると思われた. 術後の排尿状態を超音波像観察下ウロダイナミック検査法で検討したところ, 膀胱頚部の開大は非常に良好であつた.
    私たちの行つている超音波像観察下ウロダイナミック検査法は膀胱頚部機能の評価に有用であると思われる.
  • その2 1孔 catheter の基礎的検討および microtip transducer catheter との比較
    森田 隆, 西本 正, 能登 宏光
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1772-1777
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    立体的に尿道内圧曲線を描出するために試作した1孔 catheter の水力学的特性を検討したところ, 2.0ml/minの注水では圧誤差は0.6cmH2Oで10.0ml/minの注水でも1.3cmH2Oであり, 既にUPP測定に使用している4孔 catheter とほぼ同じであった. しかし60%ウログラフィンを注入した場合は, 注水と比較して圧誤差は3~4倍の5cmH2Oであつた.
    Millar 社の tip transducer と1孔 catheter を比較すると, tip transducer が尿道の太さによって記録される圧が変るのに対し, catheter の場合は安定した圧記録が可能であつた.
  • 井坂 茂夫, 五十嵐 辰男, 伊藤 晴夫, 村上 光右, 秋元 普, 島崎 淳, 松嵜 理, 森田 新六, 恒元 博, 中山 朝行
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1778-1783
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    22例の進行性膀胱腫瘍患者に対して, 速中性子線910rad又はX線3,000radの術前照射を行い, その後膀胱全摘術と尿路変更を行つた. 62.5%の患者において, 膀胱造影の計測で50%以上の腫瘍縮小効果を認めた. clinical stage と pathological stage を比較したところ38%において stage down effect を認めた. 大星の分類に基いて病理学的照射効果を検討したところ, 79%にGIIもしくはGIIIの効果を認めた. 速中性子線照射群に照射有効例を多く認めた.
    治癒切除を19例に施行し, うち18例は平均観察期間10カ月再発なく生存中である. 術後4.5カ月に肺転移のため死亡した1例を認めた. 照射による軽い副作用を50%に認め, 術後の合併症を32%に認めた.
  • 小野 佳成, 絹川 常郎, 松浦 治, 平林 聡, 竹内 宣久, 服部 良平, 大島 伸一
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1784-1788
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    広範囲な尿管閉塞性病変を有する15症例に自家腎移植術を用い上部尿路再建を行い, 手術成績, 合併症, 長期予後を報告し, その手術適応について私見を述べた.
    対象症例は昭和53年2月から昭和57年12月までに当院にて自家腎移植術を施行した15例である. 原因疾患は手術による瘢痕狭窄6例, 後腹膜線維症5例, 結核2例, 原発性アミロイドーシス1例, 手術による損傷1例であつた.
    13腎は同側腸骨窩に, また, 2腎は以前の手術後の瘢痕により同側腸骨窩が利用できないため, 対側腸骨窩に移植した. 5腎は腎盂尿管吻合にて, 2腎は尿管尿管吻合にて, 8腎は尿管膀胱新吻合術にて尿路再建を行つた.
    14術後日に, Ps. aeruginosae 感染による腎動脈吻合部破裂にて移植腎を喪失した1例を除き, 14例は13カ月から58カ月にわたつて経過観察を行つているが, 全例とも手術前にみられた腎尿管の閉塞性変化の消失, 改善が認められた. また, 尿路感染も手術後全く認められなかつた. 手術合併症は前述の1例他に, 深部静脈血栓および静脈吻合部よりの出血が各1例にみられたが, 保存的治療, 外科的治療にて治癒した.
    今回の検討により, 本術式は上部尿路閉塞性病変に対する尿路再建手術として有効であり, その適応の確立のために積極的に努力されるべきと考える.
  • 各期における予後の比較検討
    香川 征, 滝川 浩, 前林 浩次, 黒川 一男
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1789-1795
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    昭和39年から昭和54年までの組織標本の観察ができた膀胱移行上皮癌患者164例につき, 前期 (昭和39年~昭和44年), 中期 (昭和45年~昭和49年), 後期 (昭和50年~昭和54年) の3期に分け, それぞれについて, 1) 組織学的異型度別予後, 2) 腫瘍の発育様式による予後, 3) 組織学的浸潤増殖様式による予後, 4) 組織学的深達度による予後, 5) 脈管内浸襲による予後, 6) 手術法別による予後等の統計学的検討を行い膀胱移行上皮癌に対する治療効果の比較を膀胱腫瘍の治療の向上という点で検討した. 結果は表在性腫瘍 (非進行癌) に関しては生存率は前期との比較においてよくなつており, これは手術法の適切な選択, 術後管理の向上によるものと思えたが進行癌に対しては各期ともに生存率に有意差はなく治療の進歩はみられなかつた. 癌治療の困難性をあらためて知らされるとともに進行癌に対する術前, 術後治療の工夫が必要と思われた.
  • 増田 富士男, 仲田 浄治郎, 大西 哲郎, 荒井 由和, 町田 豊平
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1796-1798
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    1975年から1979年の5年間に, 慈恵大学病院で, 腎細胞癌45例に根治的腎摘除術を行つた. 45例中, 術前に腎動脈塞栓法を施行したものは22例で, のこりの23例は塞栓法を行わなかつた. 両群を対象に, 腎動脈塞栓法の予後におよぼす影響について検討した. 手術時に転移のない例では, 塞栓法施行群は非施行群に比べて, 術後の転移発生の頻度が少なく, 生存率がよい傾向がみられ, 本法は手術時の腫瘍細胞撤布の危険性を減少させる可能性が考えられた. 手術時に転移のある例では, 腎動脈塞栓施行群に長期生存例がみとめられ, 本法は腎細胞癌患者の免疫能の改善に役立つ可能性が示唆された. 本法の効果の有意性を明らかにするためには, さらに多くの症例について, 長期間の観察が必要であるが, 本法は腎細胞癌患者の術前治療として行う価値のある治療法と考えられる.
  • 森 義則, 川口 理作, 島田 憲次, 生駒 文彦
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1799-1811
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    1974年から1982年までの9年間に兵庫医科大学泌尿器科において, 201例の小児泌尿器科疾患患者に対して内視鏡手術が施行された. その内訳は, 後部尿道弁32例, 前部尿道弁4例, 先天性球部尿道リング状狭窄135例, 後天性尿道狭窄16例, 膀胱頚部狭窄8例および尿管瘤6例であつた. 10 Charriere または13 Charriere 幼小児切除鏡を使用した. 後部尿道弁および前部尿道弁に対してはTURによる弁の切除が施行されたが, 結果はきわめて満足すべきものであつた. 先天性球部尿道リング状狭窄に対しては直視下内尿道切開が施行されたが, VUR, 夜尿症, 再発性尿路感染の各々に対して良い結果がみとめられた. 後天性尿道狭窄のうち瘢痕組織の強いものでは数回の直視下内尿道切開を要したが, ほぼ満足すべき結果であつた. 膀胱頚部狭窄に対するTURの効果がはつきりみとめられたものはなかつたが, これは小児の膀胱頚部狭窄は他の原因による二次的なものがほとんどであるためと思われた. その他尿管瘤に対する内視鏡手術の適応についても述べた.
  • 柳 重行, 片山 喬
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1812-1820
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    Sprague-Dawley 系雄成熟ラット (240~250g) に, Parizek (1956年) の方法に準じて塩化カドミウム0.04mM/kgを1回皮下注を行ない, 典型的な睾丸障害をおこした. また亜鉛によるカドミウムの睾丸障害の防止効果を観察するため, 塩化カドミウムの100倍量の酢酸亜鉛もまた, Parizek の方法に準じて皮下注した. そして皮下注後, 2, 6, 12, 48週後の各時期に, 睾丸と副性器 (副睾丸・前立腺・精嚢) の重さを量り, マイクロスフェアー法で睾丸血流量を測定した. 睾丸血流量の変化は, 血漿テストステロン濃度の変化や睾丸の組織学的変化と比較し検討した. 結果は次のようであつた.
    1. 塩化カドミウム投与群の睾丸および副性器重量は皮下注2週後, 対照群の1/2~1/4に減少した。
    2. 塩化カドミウム投与群の睾丸血流量は皮下注2週後に対照群の1/2以下に減少した. 6週後にはやや増加がみられたが, 48週後でも対照群に比べると有意 (p<0.05) に低値であつた.
    3. 塩化カドミウム投与群の血漿テストステロン濃度は2週後減少したが徐々に増加し, 12週後には対照群と有意差はなく, 光顕でみられる睾丸間質の Leydig 細胞の再生と平行していた.
    4. 100倍量酢酸亜鉛の投与でカドミウムによる睾丸障害は完全防止された.
  • 前田 真一
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1821-1836
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    尿路感染症患者の尿中の白血球は平均82%が生存しており, 詳細に観察すると, 細菌を貪食しているものが少なからず認められた. 全体の白血球の中で細菌を貪食している白血球が占める割合 (貪食率) の高い尿は浸透圧が600mOsm/L以下, pHが7~8であつた. 急性膀胱炎, 急性腎盂腎炎, 慢性膀胱炎, 慢性腎盂腎炎の平均貪食率はそれぞれ, 3.0%, 2.1%, 13.2%, 18.3%であつた. 急性症では尿中細菌の菌数にかかわらず貪食率は低値で, 慢性症では菌数の増加に伴い貪食率が増加した. カテーテル留置例は非留置例に比し貪食率は高値であつた. カテーテル留置の慢性膀胱炎患者は全例 antibody-coated bacteria (ACB) 陽性で, 非留置の慢性膀胱炎患者でも58%が陽性であつた. ACBのオプソニン効果は明らかでなかつた. 末梢血多核球を分離し正常および感染尿中で酵母の貪食実験を施行すると, Lab-Tekchamber 法では正常尿, 感染尿とも800mOsm/Lまで浸透圧にかかわらず20~30%の白血球が貪食したが, tube 法では600mOsm/Lを越えると貪食は行なわれず, 600mOsm/L以下でも多くは5%以下であつた. しかし, tube を遠沈し接触機会を増加させると600mOsm/L以下では著明に増加した. 正常尿と感染尿で貪食率に及ぼす差異は認められなかつた. 尿路感染症の尿中の白血球の微細構造と, 感染尿に latex 粒子, 無菌性膿尿に大腸菌を注入した場合の貪食状況を電子顕微鏡で確認した. 以上の観察より尿中の白血球も感染防御の一役を担つているものと考えられた.
  • 第1報 排尿状態と日常生活活動度との関係
    安田 耕作, 浜 年樹, 山城 豊, 村山 直人, 島崎 淳, 服部 孝道, 平山 恵造
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1837-1843
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    Shy-Drager 症候群の患者の排尿機能及び日常生活活動度 (activity of daily living: ADL) を検索し, 尿路管理法を検討した. Shy-Drager 症候群の排尿障害は骨盤神経の核上型障害にはじまり, 病初期より切迫性尿失禁と残尿を認め, 次第に核下型障害へ移行すると共に完全尿閉となる傾向がある. 利尿筋括約筋協調不全も経過と共に出現する. ADLの障害を上肢機能でみると長期に亘つてその障害は軽度であり, 自己導尿及び尿失禁に対する装具の脱着は可能な程度残存している. 一方下肢機能の障害は上肢機能に比べて進行は早く, 排尿障害もほぼ平行して進行するといえる. 以上より Shy-Drager 症候群の排尿障害の尿路管理は, 残尿が多く容易に完全尿閉を起す危険性と上肢機能が長く保持されているということから, 自己導尿法が基本であると思われる.
  • 第2報 自己導尿法, 薬物療法, 経尿道的膀胱頚部切除法について
    安田 耕作, 中山 朝行, 香村 衡一, 山城 豊, 村山 直人, 島崎 淳, 服部 孝道, 平山 恵造
    1983 年 74 巻 10 号 p. 1844-1850
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    Shy-Drager 症候群は排尿障害のみならず起立性低血圧及び日常生活活動度の重症度も進行性に悪化する為に, 病期にあつた尿路管理法を選択する必要がある. Shy-Drager 症候群の患者11名に自己導尿法, 薬物療法, 経尿道的膀胱頚部切除法 (TUR-Bn) 等の尿路管理を施行し, Shy-Drager 症例群の尿路管理法を検討した. 自己導尿法は, 排尿障害が重症であること及び上肢機能が長期に亘つて維持されることから, 尿路管理の基本であると思われる. 末期に上肢機能が障害されて自己導尿が不能になる以外, 重症な尿路感染症等の問題はなかつた. 薬物療法は初期の尿排出障害及び切迫性尿失禁に対する処置としてのみ奏効した. 即ち, 残尿量減少の目的に使用した Alpha-blocker は有効であつたが, Bethanechol chloride は無効であり, 切迫性尿失禁に対する Propantheline 及び Diazepam は有効であつた. 病期が進行した時の尿排出障害に対する Alpha-blocker は起立性低血圧を悪化することから, 又, 切迫性尿失禁に対する Propantheline 等は尿閉を誘発することから使用不可能であつた. TUR-Bnは日常生活活動度で重度の症例に有効な症例が認められることから有力な治療手段と考えられる.
    以上から Shy-Drager 症候群の尿路管理はまず自己導尿法を指導することにより, いつでも尿閉に対拠し得る状態にしたうえで, 薬物療法, TUR-Bn, 等の順に施行されてよいと思われる.
feedback
Top