1977年4月から1978年9月までの18カ月間に, 新潟大学病院で分離した
Serratia marcescens 222株について, 細菌学的検討を行い, 次の結果を得た.
1) 尿由来122株, 喀痰由来44株およびその他56株であり, 1978年は1977年より分離株数が増加していた.
2) 195株 (87.8%) が血清型別可能であり, 尿ではO-2, O-3, 喀疾ではO-8, その他ではO-2とO-8が多かつた.
3) 色素産生性の20株とPC耐性の13株でファージを分離し, その型別を試みた. しかし由来や血清型とファージ型の間に著明な相関性はみられなかつた.
4) 26種類の薬剤に対する感受性を全菌株について調べたが, 尿由来株は耐性化傾向が強くみられた. 一般的に Serratia は PCG, MCIPC, CET, CEZ に耐性であり, AMK, GM などの Aminoglycoside 系には感受性であつた. しかし1978年の菌株では Aminoglycoside 系に対する耐性化傾向がみられた.
5) Cephalosporinase はほぼ全株で産生されたが, Penicillinase は尿由来の90%, 喀痰由来の17%, その他の25%で産生されていた. CPの Acetyltransferase は, CP高度耐性の1株でみられた.
6) Serratia から
Escherichia coli への耐性伝達は, PC, SM, TCとCPで行われ, その伝達率は1×10
-5であつた. また Ethidium bromide により約80%で耐性の脱落がみられた.
また
S. marcescens 相互間の耐性伝達についても検討した.
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