タイ国でのサトウキビ生産では, 生産総費用に対するサトウキビの収穫運搬作業経費の占める割合が高い現状にある。よって, 総経費の削減を図るには, 収穫運搬作業プロセスの分析から問題点を抽出する必要がある。この目的で, タイ国東北部ウドンタニ県において, 問題点抽出に必要な情報収集を目的として調査研究を行った。調査結果の分析により, 機械化収穫により, 火入れしたサトウキビの手収穫に比べて8$/h, 火入れしないサトウキビの手収穫に比べ57$/haの経費削減が可能との結果を得た。さらに, サトウキビ収穫運搬過程の簡易なシミュレータを開発し, 実際の時間計測結果を利用して検討した結果, チョッパー型サトウキビ収穫機の性能は, 圃場条件とその圃場に割り当てられた輸送用トラックの台数に依存することが判明した。この地域の圃場は比較的小規模ではあるが, 収穫機を効率的に運用するために必要なサトウキビ列長を160mとした場合, 調査地域のサトウキビ栽培面積の51%, 316haがこの条件を満たしており, 機械化により効率向上が地域の約半分の面積で達成できる可能性を確認できた。しかし, 利用できるトラックの制限は, 機械収穫・運搬性能に大きく影響していた。また, トラックの圃場への割り当て計画は, サトウキビ生産に関係しているサトウキビ農家, 製糖工場, トラック所有者の収益配分にも影響することが分かり, 利益配分をも考慮した配分計画法が必要であると結論した。
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