人工臓器
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15 巻, 3 号
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  • 七里 元亮
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1171
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 小西 正人, 対馬 信子, 坂倉 宗樹, 蒲 学, 樋川 透樹
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1173-1176
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析によってヘマトクリット, 総蛋白, アルブミン, フィブリノゲンは増加, 収縮期血圧は低下傾向を示し, 体重は減少したが拡張期血圧は有意な変化を示さなかった。血液粘度は, 全血の高ずり速度, 低ずり速度又血漿の高ずり速度で有意の増加がみられた。健常人の血液粘度と比べると, 全血高ずり速度, 低ずり速度において, 透析前値, 後値ともに有意に低値であり, 血漿の高ずり速度においては, 透析前値は有意に低値であったが, 後値は有意な傾向を示さなかった。眼球結膜微小微環において, 内径は有意に拡張するがなかには, 変化の小さい例, 縮小例も見られた。血流速度は有意に遅延し, 赤血球集合が増加した。血流量は有意な変化は示さなかった。血液粘度は, 総蛋白, アルブミンと有意のヘマトクリット, フィブリノゲン, 体重減少率及び, 拡張期血圧と正の相関傾向を示したが, 眼球結膜微小循環では, 内径が体重減少率と負の相関傾向を示したのみであった。
  • 江良 和雄, 阿岸 鉄三, 星野 敏久, 金子 岩和, 佐々木 優里, 峰島 三千男, 長沼 信治, 白石 幸三, 鈴木 利昭, 杉野 信博 ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1177-1180
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析患者3症例に対し, 人工心肺と人工腎臓を併用し開心術を施行した。人工腎はDialyzerとHemoconcentratorを直列に接続し血液環流は人工肺のVenouse Reservoirから導き, 再度Reservoirに戻す再循環法とした。透析液は扶桑薬品社製のキンダリー液を用いた。機能評価としてはDialyzerのKの除去能とHemoconcentratorの限外濾過能をみた。限外濾過流束とHtの相関関係は物質収支式により推算し, 術中時に必要な血液濃縮をHt値を指標とし限外濾過量を制御した。3症例の術中経過における血液生化学値はHt26.7±4.8%, TP5.5±0.7g/dl, K3.8±0.87mEq/L, Na136±4.9mFq/LでpH7.583±0.112であった。限外濾過については3症例の平均濾過量が18.0ml/min最高濾過量は66.7ml/minであった。術中の安全ないし術後の管理面からも本システムは有用と判断された。
  • 山海 嘉之, 太田 道男, 熊谷 頼明, 池辺 潤
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1181-1184
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析用フィルターが高能率になると共に, 血圧降下を来す透析困難症も多く見られる。透析時の血圧降下の原因として, ultra filtration rateがplasma refilling rate以上でHypovolemiaになることが考えられる。従来からのバッチ式によるヘマトクリット測定法は循環血液量を知る手段としてすでに確立されたものではあるが, 経時的に連続な測定には適していない。そこで患者の血液量に関する情報を少しでも多く得るために, オプトデバイスを用いたヘマトクリット測定装置(Hctメータ)を開発し, 連続的に血液量をモニターする方法を考案した。また患者モデルをオブザーバとして用い, Hctメータからのデータをモデルにフィードバックすることにより, 血液量及びその変化速度, 各コンパートメントでの体液移行を推定することが可能となった。これにより適切な体液除去速度の制御ができると考えられ, 透析時における血圧低下症の減少が期待される。
  • 遠藤 幸男, 元木 良一, 井上 仁, 薄場 彰, 三浦 純一, 菅原 健太郎, 芳賀 志郎
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1185-1189
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    術後の急性腎不全(ARF)で, 経時的にSwan-Ganz Catheterを用いて循環動態を測定し得た症例を検討して次の結論を得た。
    1. ARF発生時の循環動態は, LVSWI (左室1回仕事量指数)とPWP (肺動脈模入圧)との関係から, I型Hyperdynamic型, II型Overhydration型, III型Hypovolemia型, IV型Cardiac failure型の4型に分類され, 必ずしも一様ではなかった。2. HD施行中血圧不安定例は, HD施行後に心不全傾向にあったが, 除水過剰により, 低血圧となるのもあった。3. HDにより除水過剰にならないようにPWPを4mmHg以上に保つべきであり, 適正輸液下にblood accessは, A-V法でなく, 左室負荷のかからないV-V法にすべきであった。4. V-V法にて, IV型でLVSWIが20g-m/beat/m2以下の症例でもdopamine, dobutamine, IABP使用下に安定したかつ効果的なHDを施行しえた。
  • 山岸 真理, 仲尾 隆, 数井 暉久, 山田 修, 佐々木 孝, 小松 作蔵
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1190-1193
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    循環動態の不安定な腎不全例11例に対して持続的血液濾過法(Continuous Hemofiltration; CHF)を施行した。ブラッドアクセスはFDLカテーテルを用い, 血液ポンプを使用して静脈脱血, 静脈送血を原則とした。UFRが800ml/hr以上になるように血液流量と静脈圧を調節した。補充液にはサブラッドAを使用し, 血圧, 中心静脈圧, 心拍数, 肺動脈圧をモニターしながら, 輸液ポンプで1時間ごとに注入スピードを設定した。CHFの導入時および施行中においても, 血行動態に大きな変動を認めなかった。11例中5例を救命しえ, うち4例がCHFを離脱し, 1例は慢性透析に移行した。CHF開始時のBUN, クレアチニンの平均値は, 各々55mg/dl, 3.8mg/dlで, 終了時は各々61mg/dl, 3.9mg/dlと, 腎不全急性期のBUN, クレアチニンの急上昇は抑制された。以上CHFは, 循環動態の不安定な腎不全の治療法として有用と考えられた。
  • 山崎 儀弘, 吉村 力勇, 杉村 武嗣, 山上 征二, 岸本 武利, 前川 正信
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1194-1196
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    持続的血液濾過法(Continuous Arteriovenous Hemofiltration)は, 急性腎不全や心不全など重篤な多臓器障害を合併した腎不全患者に対し, 緩徐な血液浄化法として臨床的に使用されている。我々は, 通常の血液透析が困難な腎不全患者25例に対し, CAVH及びCHFを用いて血液浄化を施行した。使用フィルターは, Diafilter-20, PAN-50P PAN-60で, 膜面積は0.25, 0.5, 0.6m2である。フィルターの使用時間は, 2時間から168時間に及んだ。CAVHでは, 収縮期血圧60~70mmHgの低血圧状態でも5~10ml/minの濾過量が得られた。CAVH及びCHFを施行した25症例の生存率は, CAVH:50%, CHF:14%であった。CAVH及びCHFは, 少ない体外循環量で長時間にわたり血液浄化を行うので血圧の変動も少なく緩徐な治療を行うことができた。
  • ―特にEVLW及び循環動態に与える影響―
    室谷 典義, 平澤 博之, 小林 弘忠, 添田 耕司, 菅井 桂雄, 林 春幸, 伊藤 靖, 大島 郁也, 小高 通夫, 磯野 可一, 嶋田 ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1197-1200
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    最近の患者管理の進歩はめざましく, 以前には失っていた症例も救命し得るようになって来た。一方ICUのcritical care等においては大量のcarrier waterを含むものの投与なしには治療が成立しないのが現状である。本研究は, 尿量が減少しており, 利尿剤に反応しない患者のexcess waterを簡便かつ安全に除去する方法の確立を目的とした。
    雑種成犬及びビーグル成犬の両側尿管を結紮して病的溢水を作製し, 24時間CAVHを施行, その有効性, 安全性について検討した。血清総蛋白, 中心静脈圧, 筋肉内水分量, 動脈血ガス分析, EVLWの値の変化より病的盗水は改善されることが示された。また平均動脈圧, 心係数の変化より, 大量の除水を行なうにもかかわらず, CAVH施行時の血行動態は安定していることが示された。
    以上より, 利尿剤に反応しない溢水の治療はCAVHにて簡便に有効かつ安全に旅行できることが示唆された。
  • 平澤 博之
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1201
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 宍戸 寛治, 高山 公洋, 児島 弘臣, 衣笠 えり子, 中山 文義, 高橋 健, 秋沢 忠男, 佐藤 昌志, 北岡 建樹, 出浦 照国, ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1202-1204
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全では小, 中分子量物質のみならず分子量5000~60000程度の低分子量タンパク物質も蓄積し, これが各種合併症の原因となっている可能性が指摘されている. これらの物質を除去可能なタンパク透過性血液濾過透析(PPHDF)を, 通常の透析で改善されない貧血7症例, 骨痛3症例, 末梢神経障害1症例に試みた. 貧血症例ではタンパク同化ホルモン(A)併用の効果もあわせて検討した. PPHDF単独では, 貧血3例中1例, 骨痛3例中2例, 末梢神経障害1例に改善を認めた. PPHDF単独で無効であった貧血2例に, その後Aを併用した際のHtの改善はいずれも7%以上と著効を呈した. 一方, 3カ月以上Aを投一与し無効であった貧血4例にその後PPHDFを併用したところ, 2例にHt3%以上の改善, 2例にHt2%の上昇および輸血頻度減少効果を認めた. 以上の事実から, 骨髄造血促進作用を有するAと抑制因子除去効果を持つPPHDFの併用療法が極めて有効であったと考えられた.
  • ―CeO2・nH2Oの性能について―
    小倉 三津雄, 秋葉 隆, 岩本 均, 芝本 隆, 中川 成之輔
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1205-1207
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者における高Pi血症に対して従来より水酸化アルミニウムゲルが投与されているが, 近年, アルミニウムの蓄積によると思われる脳症, 骨障害等が報告されている。今回, 我々は, 水酸化アルミニウムゲルにかわるべきリン吸着薬として酸化セリウムに着目し, そのリン吸着効果につきin vitro・in vivo両方にての実験を行い, 良好な結果をえることができた。すなわち, in vitroでは, リン酸溶解液に, 酸化セリウム, および水酸化アルミニウムを混合し, 1時間后の吸着能を比較した結果, セリウムは, 活性アルミナの約5倍の吸着能を示した。又, in vivoでは, 成人犬を用い両側尿管結紮後, リン酸溶液を点滴静注し, 急性高Pi血症を作成し, 酸化セリウム80gを含むカラム100mlにて2時間体外循環を行った。血清Pi値は, 前値16.7mg/dlから60分後4.5mg/dl迄下降した。以上の結果酸化セリウムは, 新しいリン吸着剤としての可能性が十分あると考えられた。
  • SHINICHI HOSOKAWA, TORU KOIKE, HIROSHI NISHITANI, TOSHIJI NISHIO, KENJ ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1208-1212
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Aluminum transport and dialysance during hemodialysis were examined in thirty chronic hemodialysis patients. Serum aluminum levels in thirty volunteer outpatients tended to decrease after 5-hour dialysis (6.35±3.02μg/dl before hemodialysis; 5.41±2.60μg/dl after hemodialysis). Serum aluminum levels were 0.6±0.2μg/dl in normal subjects. The decrease was mainly due to diffusion despite hemoconcentration evidenced by a significant increase in the hematocrit and total serum protein during dialysis. To study the changes resulting from diffusion, we measured aluminum in the arterial blood and in the dialysate at the inflow and outflow sites of the dialyzer. Aluminum diffused across the dialyzer from the blood to the dialysate in twentythree cases and into the blood in seven others. Aluminum dialysance of 30 patients was 13.34±22.1ml/min. The relationship between aluminum dialysance and ultrafiltrable aluminum levels was a significant correlation (r=0.80, p<0.005).
  • 国友 哲之輔, 片岡 浩, 酒井 良忠, 斧原 三恵子, 小林 弘武, 酒井 郁男, 杉崎 弘章, 岩元 則幸, 小野 利彦
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1213-1218
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    HD患者の体内に蓄積し骨障害などをひき起こしているAlを除去するため, OFO投与により組織に沈着したAlを血中に溶出させ, それを大孔径膜によるHDで体外に除去するという治療方式を検討した。モデル系でのAlとDFOの相互作用も検討した。1) DFOとAlは水系で1:1コンプレックスを形成する(FAB-MS分析)。2) 逆相カラムを用いるHPLCで血中DFO濃度の分析ができる。3) DFO投与による血中Al値の上昇は, 体内に蓄積したAlレベルを反映しており, HD歴とよく相関する。4) DFO投与により血中Alが上昇した状態でAlのHD膜透過性が現われる。微少タンパクリーク膜(BK)のAlおよびDFO透過性はセルロース膜のそれより有意に大きい。5) DFO投与直後その血中レベルは代謝によると思われる急激な低下を示すが, その後血中Al値の上昇とともに安定化し, 代謝されにくいコンプレックスの形成が示唆される。
  • 南部 正人, 熊野 和雄, 草刈 修一, 横田 真二, 桜井 健治, 酒井 糾
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1219-1222
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    維持透析患者5名を対象とし、DFO30mg/kgを治療終了時(週3回)に投与し、次回治療時(42時間後)に各種血液浄化法を試みAl除去能を比較検討した。DFO30mg/kg投与により血中Al濃度は39.6±20.5μg/lから42時間後399.0±209.6μg/lと有意(p<0.0025)な上昇(Δ384.8±191.6mcg/l)を認め、DFOによる組織内からのAl移行を示唆した。蛋白結合率はDFO投与前84.9±8.7%から投与後21.1±9.8%有意(p<0.001)に変化し、Al-DFO複合体を形成し透析性Alの増加を示し、分布容積は42%であった。各種血液浄化法のAl-DFO複合体の総合的除去特性はDHP+HD、HDF、HF、HDの順に優れていた。Al除去にはDHP+HDが最も有効な浄化法といえるが、HDFも簡便に施行でき、かつAl除去効果も十分期待できる療法と考える。
  • 中瀬 秀二, 西堀 文男, 松村 治, 雨宮 秀博
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1223-1226
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析患者におけるアルミニウム(以下Al)の体内への蓄積は, 透析脳症, 骨軟化症などに影響するものとして問題になっている。最近, Alの除去に対しては, Desferrioxamine(以下DFO)が有効とする報告がみられるが, 使用方法は, 各施設様々である。当院でも, Al骨症と思われる透析患者に対し, DFOの投与と, タンパクリーク型ダイアラィザーによる血液透析(以下PLHD)を施行し, 良好な結果をえた。
    症例は24才女性。昭和53年3月血液透析(以下HD)導入, 現在週3回, 4, 5~5時間のHDを施行している。昭和58年頃より骨痛の訴えがあり, 昭和59年2月, 左上腕骨病的骨折, 同年5月, 右大腿骨病的骨折, ギブス固定により治療を続けるが, 骨再生は認められず, 同年10月より, Al骨症を疑いDFO投与とPLHDによる治療を開始した。
    DFOは, 週の中間透析日の終了後1000mgを点滴し, 次回に5時間のPLHDを施行した。血清Al値は, DFO投与により7.20±1.8倍の上昇が見られ, PLHDによる除去率は, 71.7±5.3%(n:11)と良好な結果がえられた。また治療開始後4ケ月頃より血清Al値の低下が見られた。臨床的には治療開始後1ケ月頃より骨痛の軽減, 骨再生が認められ, 昭和60年2月より歩行可能となり, 現在外来通院にて治療を継続している。
    また, PLHDによる血清鉄, フェリチンの変動は認められないが, DFO治療継続中にフェリチン値が低下してきており, 若干の除去があるものと思われる。
    以上の結果より, Al除去およびAl骨症の改善に, DFOの投与とPLHDの併用が有効であると考えられる。
  • 稲垣 豊, 天野 泉, 吉田 俊彦, 寺町 教詞
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1227-1232
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    腎不全における脳血液関門(Blood Brain Barrier:BBB)の特性を調べる為に雑種犬を両側尿管結紮し, 連日および透析経過中の血清(S)と髄液(C)の電解質, BUN, Cr, 浸透圧(Osm)を測定した。NaとClはSおよびCとも同じ方向に変化したが, Ca, K, Pに関してはSが大きく変動してもCの変化はわずかで強い恒常性を示した。BUNとOsmは連日の測定ではSとCはほぼparallelに上昇したが, 透析中はC-BUNの低下はS-BUNに比べ遅れS-BUN<C-BUNとなりそれに伴ってS-Osm<C-Osmとなる傾向があった。S-Crは連日の測定では著明に上昇したが, C-Crの上昇はわずかであった。一方透析中はS-Crは著明に低下するにもかかわらずC-Cr低下はわずかで, CrはBBBを通過しにくく, 又, いったん入いると抜けにくい性質を有する事が判明した。この様な腎不全のBBBの特性は(1) uremic encephalopathy (2) dialysis disequilibrium syndrome (3) dialysis damentiaに関連していると推察された。
  • 酒井 糾
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1233
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 北本 康則, 鈴木 一之, 二木 源, 田熊 淑男, 上田 仁, 門間 弘道, 石崎 允, 高橋 寿, 関野 宏, 中道 五郎, 薮下 安紀
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1234-1237
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ウロキナーゼ固定化フェモラールカテーテル(UKFC)の臨床評価を行なった。UKFCはポリウレタン製で太さ8Fr, 長さ22cmのシングルルーメンとし側孔2個を有した。男11例, 女8例の19例に対し22回にわたり2~30日間UKFCを留置し, 1~13回の体外循環を施行した。非使用時はUK固定化内栓を充填し, 持続点滴は行わなかった。患者には短時間の歩行が許可された。体外循環時の血流量は充分であり, カテーテル留置が原因と考えられる発熱は2回のみであった。12回でカテーテル抜去時に側孔部から先端部にかけてフィブリン血栓を認めたが, 血栓は吸引により容易に除去された。カテーテルのUK残存活性は約1%であったが, かなりのフィブリン溶解能が温存されていた。UKFCの優れた抗血栓性は, この残存UK活性と内栓による血液流入阻止効果によるものと考えられた。
  • ―特にRecirculationについて―
    久島 英二, 佐藤 正広, 沖 守, 富田 勝, 秋元 成太
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1238-1240
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液浄化用Blood AceessとしてのDouble Lumen Catheter(以下DLC)は, 十分な効果が得られるものでなければならない。そこで今回著者らは, DLCの有効性(特に再循環率)を追究する為, 実験Modelを作製しDLCの再循環率を計測した。測定法は, 血管Model TubeにDLCを挿入し, Tube内に水流量(Qw)200・300・400ml/minの速度で流した。各々のQw時に, DLC動脈側より流出速度(QA)を100・150・200・250ml/minの速度でQwを導き, 流入速度(Qv)においてはQAと同速度でDLC静脈側にPSPを注入させ, DLC動脈側からのPSP再循環率を測定した。Qw別の変化は, Qw 400ml/minが最も良く, 次いで300・200ml/minの順であった。Flow Rate別では, QB 100ml/minが最も良く, 次に150・200・250ml/minの順であった。従ってDLCの効率(再循環率)は, QBだけでなく水流量(血流量)に最も影響を受け, ある程度Qwが確保されていれば再循環率を最少限に押さえることができ, 十分通常のBlood Accessとして使用できると判断された。
  • 天野 泉, 稲垣 豊
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1241-1244
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Temporary accessとしてカテーテル挿入法が実用化している。これらは平均2週程度の静脈内留置であり, カテーテル挿入部の感染や, カテーテル内の血流不良が問題となっている。我々は, これらを解決するために, ダクロンメッシュ付, スパイラルワイヤー入りFSLカテーテルを考案した。ダクロンメッシュを皮下に固定することで, カテーテル挿入口からの感染の拡大を防止し, スパイラルワイヤーをシリコン壁に封入することで弾力性の向上と, シリコン内腔の狭窄化の防止を目的とした。実際の臨床応用でも, 感染の防止とカテーテル内の血液不良はみられず, 現在約1ケ月の留置中である。非透析中は, 携帯用徴量ヘパリン注入式マイクロポンプにこのカテーテルを接続することにより患者は, 院内を自由に歩行出来た。
  • 小林 弘忠, 平澤 博之, 添田 耕司, 菅井 桂雄, 室谷 典義, 伊藤 靖, 大島 郁也, 小高 通夫, 磯野 可一
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1245-1248
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    緊急血液浄化法におけるblood accessとして, flexible double lumen catheter(FDLカテ)が近年注目されている。そこでその有用性を, 使用状況や検査成績, 治療成績より検討した。急性腎不全(ARF)10症例には血液透析(HD)や血液吸着(HA)を中心に合計100回の血液浄化法が, 24本のFDLカテを用いて実施された。S-Cr, S-K等は有意に減少し, 救命率は10例とも多臓器不全症例(平均不全臓器数4.2)であるが, 50%であった。急性肝不全5例, 高ビリルビン血症11例に対しては24本のFDLカテを用い93回の血漿交換(PE)が実施され, ビリルビン除去や補体の供給が確認しえた。7例の慢性腎疾患急性増悪症例や3例の急性薬物中毒症例に対しても迅速・容易にHDやHAが施行された。すなわちFDLカテをblood accessとした血液浄化法は, 治療計画に基いた結果が得られた。以上よりexternal AV shuntの有する種々の問題点を解消したFDLカテは, 今後その使用頻度が増加しよう。
  • 渕之上 昌平, 寺岡 慧, 中沢 速和, 中島 一朗, 加藤 尚子, 八木 沢隆, 高橋 公太, 阿岸 鉄三, 太田 和夫
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1249-1252
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    広範小腸切除後, あるいは悪性腫瘍末期で経口摂取が充分でない患者に施行されるcyclic hyperalimentation (CH), あるいはhome hyperalimentation (HH)のためのblood accessとしては, 従来中心静脈に挿入したカテーテルをヘパリンロックして用いる, あるいは動静脈シャントを用いる等の方法がとられてきた。しかし前者においては, 体外に露出したカテーテルの処置および感染対策上の問題, 後者については血管炎, 閉塞, あるいは家庭での穿刺の際技術的に問題が伴うなどの種々の問題点が存在した。
    これらの問題を解決するため完全埋込み可能な制癌剤注入用のvascular access device (Vascular Access Port,® VAP, 米国Norfolk社製)を, CHあるいはHH用のblood accessとして用いた。VAPは血管内に留置するシリコンカテーテルと, 薬液を注入するチェンバー部分からなり, チェンバーの注入部はシリコンゴム, 他の部分は金属性で表面にシリコンコーティングを施してある。カテーテル部を血管内に留置し, チェンバー部を皮下に埋込むことにより, 任意に薬剤を血管内に注入することができる。注入後はHeparin 1~2mlの注入で, 少くとも2~3週間のカテーテル内血栓予防が可能である。
    今回はこのVAPを末期癌患者のCHあるいはHHのblood accessとして用いた。シリコンカテーテルを患者の上大静脈内に留置し, チェンバー部を前胸壁皮下に埋込み, 夜間就寝時に経皮的にチェンバー部を穿刺して輸液製剤を注入した。穿刺は非常に容易で自宅で家族が行うことも可能であり, 穿刺時に皮膚消毒を十分行えば感染などの合併症も現時点では問題ないと考えられた。輸液終了と共にヘパリンロックを行い, 血栓形成によるカテーテル閉塞を予防した。穿刺針抜去後は患者の制限は全くなく入浴も可能であった。Artificial Gut (CH, HH)のblood accessとしてVAPの使用は非常に有効な方法と考えられる
  • 佐々木 優里, 松本 和之, 江良 和雄, 久保 和雄, 鈴木 利昭, 太田 和夫, 和田 明之, 須磨 靖徳, 福島 正義
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1253-1256
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者にとって問題のないblood aceessを持つことは, 精神的のみならず身体的にも良い状態を保つために必要な条件となっている。最近, 旭メディカル社より新しく7.5MHzのプローブを用いた解像力の優れた超音波診断装置LS-300が開発され, 我々はこれを用いて当センターの透析患者のblood accessを調べた。対象は, 通常の内シャント18名, PTFE-graft 3名, Bovine-graft 1名, 表在化動脈2名の計24名であった。このうち所見のあったものは10名で, 狭窄3件, 静脈の異所拡張3名, 血栓, 動脈瘤, 血管壁の不整, 血管外血腫各1名ずつであった。従来行われてきたシャントアンギオは, blood access再建に多くの情報を与えてくれるが, シャントエコーは, 無侵襲であり, 簡便に扱え, また血管結合織についての所見もえられるなど, 今後その活用が期待される。
  • 稲垣 豊, 天野 泉, 吉田 俊彦, 寺町 教詞
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1257-1261
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Single needle dialysis (SND)は無効血流と再循環が存在する為にdouble needle dialysisより効率が劣る。volume reservoir (VR)を有する透析回路がA・V側切り替り回数を減少させ有効流量を増加させる事は既に報告したが, 今回はVRのballoon部を肉厚の薄いlatex rubberとsilicone rubberで作製する事により効率を上げる事が出来た。伸展率の優れたballoonは自ら収縮する能力が弱いので補助的に外力を加えると更に効率がよくなった。雑種犬を用いた耐久試験においてはlatex rubber製およびsilicone rubber製のVRとも一定上限V圧以内であれば6時間以上の使用に問題なく, 臨床応用も可能であると思われた。
  • 阿部 富彌
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1262
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 中山 文義, 若狭 幹雄, 金森 直明, 高山 公洋, 児島 弘臣, 関口 孝, 高橋 健, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1263-1266
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    通常の血液透析や血液濾過法が施行困難なmulti―organfailure (MOF)に対し, 超小型血液濾過器と重曹補充液を用いた持続的血液濾過法(CHF)が有効であることを報告してきた。
    今回, 24~85才の22例のMOF症例に重曹補充液を用いたCHFを施行し, 臨床効果を検討した。CHFはQB60~100ml/hr, QF1l/hrを原則とし, 最長88時間, 最大1症例につき17回, 計71回施行し, 22例中8例(36.4%)で危機的状況よりの離脱が可能であった。合併症, 障害臓器では, 肝不全, DIC, 乳酸性アシドーシス合併例での死亡率が高率で, CHFによっても血圧維持が困難ないし充分な置換液量をとることができなかった症例であった。一方, 心不全では46%が生存し得た。本法は体外循環血液量が極めて少なく, またアセテートを使用せずに緩徐な治療を行なうため循環系に与える影響が軽微で, このような点から, 腎不全を合併した, 危機的な多臓器障害症例の治療に有効な手段と考えられた。
  • 高橋 源作, 吉田 俊彦, 広瀬 正美, 三田地 広和, 宇津宮 寿彦, 小川 秋広, 天野 泉
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1267-1270
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は既存の5人用Acetate透析装置(Ac. 装置)に装備したAcetate用定比例ピストンポンプ(Mix. P)を活用し, Bicarbonate透析を併用できる計量タンク式のBicarbonate透析ユニット(Bc. ユニット)の作製を行った。外形寸法は40(W)×60(H)×60(L)cm, 透析最大能力5人である。その概要は, 以下の如くである。Mix. P(一基)によりBicarbonate透析用のA主原液と水が1: 32.74の比で希釈され, Bc. ユニットの計量タンクに導かれプールされると同時に, ローラ型定量ポンプでB液の7W/V%Bicarbonate液が1ショット送入される。混合計量され攪伴後, Ac. 装置内の既設モニターで濃度, 温度がチェックされ, ベッドサイドへ分配される。
    Bc. ユニットを用い, 給液量2.5l/minに調整し血液透析に使用した。その結果Bicarbonate透析液のpH, PCO2及電解質各々共によく安定していた。当システムは, 工程がシンプルで簡便的かつ経済的な方法である。
  • 渡辺 俊文, 大坪 修, 岩楯 直樹, 五十嵐 浩二, 久保 尚人, 黒松 勇蔵, 佐藤 護郎, 斎藤 純夫, 高井 信治, N. AKIY ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1271-1274
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工臓器の小型化, 携帯を目的に, 我々は尿素を選択的に吸着, 除去する尿素吸着剤を開発, 尿素吸着剤の他, 活性炭, アンモニア吸着剤, イオン交換樹脂などを組み合わせ透析液再生カラムを用い透析液量を1lまで少量化させる透析液再生人工腎臓を考案, 動物実験にてその有効性を検討した。開発した尿素吸着剤は, 酵素(ウレアーゼ)と無機系吸着剤を組み合わせた物で, 吸着剤の中心に酵素と無機系吸着剤が封入され, その外側をさらに無機系吸着剤で被覆する構造を呈し, 平均粒径約0.5~1mmの白色粒状吸着剤である。吸着剤は, In vitro試験において約70mg/gの尿素吸着能を示した。実験的腎不全犬に対し, 透析液再生式人工腎臓を3時間施行した結果, 血中尿素窒素44%, クレアチニン62%, カリウム52%の除去能が得られ, 尿毒症々状を改善させることができた。
  • 木原 健, 合谷 信行, 中沢 速和, 峰島 三千男, 東間 絃, 阿岸 鉄三, 太田 和夫
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1275-1279
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    活性炭吸着療法(direct hemoperfusion, 以下DHPと略す)を併用したCDDPの動脈内注入療法を雑犬を用い, pharmacokineticsの面から検討した。実験群はコントロール群2頭, DHP群4頭とし, CDDP 3mg/kgを一側腎動脈より10分間で注入した。DHP群は薬剤投与直後よりDHPを180分間施行した。
    CDDPの血中濃度, 組織内濃度, 尿中排泄量を測定し, 両群間で比較した。血中濃度, 非注入側腎及び肝の組織内濃度はコントロール群に比べ, DHP群は有意に低い値を示した。注入側腎組織内濃度は両群間に有意差を認めなかった。DHP群のCDDP推測除去量は投与量の15~25%であり, 又尿中排泄量は7~8%であった。コントロール群の尿中排泄量は10~11%であった。DHP群のCDDP総回収率(21~32%)はコントロール群の総回収率(10~11%)に比べ有意に高い値を示した。以上より局所動注療法の有効性及びCDDPの毒性軽減に対するDHPの有用性が示唆された。
  • 太田 和夫, 平沢 由平, 三村 信英, 中川 成之輔, 川口 良人, 岸本 武利, 藤見 惺
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1280-1283
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    火炎滅菌接続法の導入によりCAPD腹膜炎の発生頻度は大巾に減少したが, 酸化ジルコニア製(ZrO2)ジョイントの破損ならびにそれに由来する腹膜炎の発生が明らかにされた。そこでセラミックジョィントの素材を窒化珪素(Si3N4)に変更したところ耐熱性も良好となった。
    この新しいジョイントを39例のCAPD患者に使用しクロスオーバー法で検詞したところ, ジョイントの破損はZrO2で1回/8420交換であったがSi3N4では1例も認められなかつた。一方, 閉塞は前者で1回/1530交換, 後者で1回/1289交換に認められた。また器材のトラブルに関係した腹膜炎の発生頻度は前者で1回/276患者・月, 後者ではまったく認められなかったが原因不明の腹膜炎までこれに加えて計算すると前者で1回/30.6患者・月, 後者で1回/67.9患者・月となった。
    以上の成績よりSi3N4製ジョイントは性能的に優れていると結論した。
  • 横田 真二, 篠原 克人, 熊野 和雄, 清水 辰雄, 小林 健一, 酒井 糾
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1284-1287
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    CAPD療法には長期間、安全に機能するperitoneal accessが不可欠であるが、それに伴う合併症は決して少なくない。我々は今までにCAPDカテーテル留置手技に幾つかの工夫を加えて来た。今回それらの手技とカテーテルに伴う合併症について検討を行った。CAPD療法のために1~83才までの40例にのべ59回のカテーテル挿入を行ったがカテーテルに起因する合併症の主なものはカテーテル閉塞と出口部及びトンネル感染であった。カテーテル閉塞はカテーテルの腹腔内遊走と大綱のからみが原因であり、予防的大綱切除とカール型テンコフカテーテル使用によりこの問題は非常に少なくなった。カフの突出、出口部感染はカテーテルの皮下トンネル部を贋の周囲に回して長くし、第2カフより皮フ出口部までの距離を5~7cmと長くする事により、その発生頻度は極端に減少した。予防的大綱切除と長い皮下トンネル作製はカテーテルに伴う合併症を減少させるのに役立つと思われる。
  • 秋山 暢夫
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1288
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―Herhochron Time測定による検討―
    高木 信嘉, 小田 寿, 常田 康夫, 石川 利之
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1289-1292
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年術後患者や出血傾向のある患者に無抗凝固剤透析(NAHD)が試みられているが, 未だ確立されてはいない。今回我々はethylene vinylalcohol copolymer (EVAL)の中空糸膜dialyzer KF101 (クラレ)を用い, 通常ヘパリン化透析とほぼ同様の操作によってNAHDを試み良好な成績が得られた。また凝固時間測定にHemochron 400 (International Technidyne社)を用いHemochron time (HT)を測定し, Lee-White凝固時間とHTの間にr=0.90 (P<0.001, N=35)の強い相関を認め, NAHD中APTTと同様にHTの1時間値. 2時間値の延長と, ヘパリン化透析と比しNAHD中HTの有意の短縮とを認めた事より, 自動測定によるHTは透析時の凝固時間の評価に有用と考えられた。以上今回我々の施行したKF101を用いたNAHDにて, 対象者が出血の危険を回避出来た事は, 高価なメシル酸ガベキシメートを用いず, 安全にかつ容易にNAHDが可能である事が示され, 今後の有用性が増すと考えられた。
  • 関口 孝, 高山 公洋, 高橋 健, 秋沢 忠男, 佐藤 昌志, 北岡 建樹, 出浦 照国, 越川 昭三
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1293-1296
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    安定期血液透析患者12例に抗トロンビン作用を有する抗凝固剤argipidineを9~42か月にわたり使用し, 透析用抗凝固剤としての長期効果と安全性を検討した。argipidine投与後, 体外循環路内残血はヘパリン使用時と差がなかったが, 止血時間には一部延長がみられた。また, 経過中AT-III抗原量が有意に増加したことから長期的ヘパリン使用がAT-III抗原量の低下をもたらしている可能性が示唆された。脂質系については著明な高脂血症を呈した6例中3例でトリグリセライドが低下し, 骨MD法所見は持続的に悪化した。ヘパリンアレルギーの疑われた1例ではargipidine使用後掻痒感の改善がみられた。従ってargipidineは血液透析用抗凝固剤として長期間安全に使用可能であり, 特に高脂血症やヘパリンアレルギーを有する症例では臨床的有用性が期待される。
  • 秋沢 忠男, 関口 孝, 衣笠 えり子, 佐藤 昌志, 北岡 建樹, 出浦 照国, 越川 昭三
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1297-1300
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    トロンボキサン(Tx)生成酵素を選択的に阻害し, TxA2抑制とPGI2産生促進作用を有するOKY-046 (OKY)を血液透析用抗凝固剤として動物実験に応用した。OKY 300μg/kg/minの投与量で体外循環路, 透析器残血はほぼ防止されたが, 小量ないし極大量(500μg/kg/min)のOKYでは凝血防止は不可能であり後者め場合, OKYのサイクロオキシゲネース抑制作用が原因と推察された。抗凝固薬としてOKYを便用することにより, 透析中の血小板減少はヘパリン使用時に比し有意に抑制されたが, 白血球数, PO2の変化に差はみられなかった。
    以上の成績から, OKYはTxA2抑制とPGI2促進を介し内因性血小板機能低下をも孝らし, 透析用抗凝固薬として実験レベルでは使用可能と思われた。
  • 長沼 信治, 高橋 和雄, 鈴木 利昭, 太田 和夫
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1301-1305
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血小板凝集抑制作用をもつPGI2誘導体(CS-570)を血液透析の抗凝固剤として使用し, その有用性について検討した。対象は安定した透析患者30名(男性18名, 女性12名, 平均年令46.6±11.6才)であった。投与方法はCS-570 50~150ng/kg/minを動脈側回路より接続注入し, 単独もしくはヘパリンと併用した。観察項目は回路内の残血凝血, 副作用であり, 測定項目は血中濃度, 血小板凝集能, 凝固系検査, 血液生化学, 血算などであった。同項目について対象患者でヘパリン使用時と比較検討した。その結果, CS-570使用時には血小板凝集が強く抑制され, 投与量の選択により, 残血凝血と副作用も少なく透析が維持できた。以上の結果からCS-570は血液透析の抗凝固剤として臨床応用が充分可能と思われた。
  • ―透析前賦活化凝固時間を指標として―
    北本 康則, 残間 保雄, 針生 忠男, 長井 克敏, 牧野 哲, 愼 昭弘, 丹羽 善治, 扇谷 博, 門間 弘道, 横井 正博, 関野 ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1306-1310
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の凝固能は個人差が大きく, 抗凝固剤の使用量も個々に検討する必要がある。また透析中の凝固トラブルはV側チャンバーとダイアライザーでおこりやすい。凝固トラブルが生じた群と生じなかっ群で, 透析開始直前のヘマトクリット, 血小板数, 血清蛋白濃度, 賦活化凝固時間(ヘモクロンタイム:HT), 透析前後の体重変化量について比較すると, HTについてのみ有意の差を認め前者で後者に比べHTが短縮していた。今回, 特殊回路を用いたGM透析において, HTを指標としてGM使用量設定マニュアルを作製した。このマニュアルに従い45例のGM透析を行なった結果, プライミングにヘパリン150単位を使用した27回では, GM使用量は平均589±31mg/H, プライミングにGM50mgを用いた18回では, GM使用量は平均694±23mg/Hであった。全例とも透析は無事終了し, 透析後の出血傾向の増加, 透析中の凝固トラブル, 透析効率の低下は認められなかった。
  • ―ヘモクロンタイムを指標として―
    北本 康則, 牧野 哲, 残間 保雄, 千葉 賢一, 青木 実, 小山 隆, 早坂 知芳, 松田 均, 小野 弘道, 菅井 俊明, 門間 弘 ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1311-1314
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    軽度の出血傾向を有する患者10例を対象として, 透析時使用ヘパリン量を段階的に減量した。凝固能の指標としてヘモクロンタイム(HT)を用いた。透析開始直後のHTが180sec以下で, 終了時A側HTが透析前値に近い状態を目標とした。減量を安全に進めるため, V側チャンバーが3連並列に接続された回路を用い, チャンバー交換時に凝血状態を観察した。減量はトラブルなくすすみ出血傾向は改善された。ヘパリン減量後の透析効率の低下は認めなかった。初回ヘパリン量(プライミング量も含む)は1360±353単位から540±227単位に, 時間使用量は940±313単位から480±140単位に減少した。減量後のHTは透析開始直前で135士11sec, 開始直後のA例で176±19秒, 終了時A側で137±19秒であり, 減量前後のΔHTには差がなかった。アズールA法で測定した血中ヘパリン濃度は透析開始直後に軽度上昇したが, その後は透析前値と殆んど変らなかった。
  • 海本 浩一, 泉 暢英, 前川 たかし, 加藤 禎一, 吉本 忍, 田中 寛, 岸本 武利, 前川 正信
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1315-1317
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析(HD)開始時、血小板数の減少ならびにβ-thromboglobulin (β-TG)および血小板第4因子(PF-4)の上昇がみられる。これらに対するヘパリンの影響を調べるために、HD開始初期投与量に相当するヘパリン2000単位を経静脈的に投与し、血小板数、血小板粒度分布、β-TGおよびPF-4の変化を観察した。ヘパリン投与後、血小板数は有意に減少し、粒度分布では大型血小板数が有意に減少した。また、β-TGに変化はなかったが、PF-4は有意に上昇した。以上のことから、HD中、体外循環による影響と共に抗凝固剤として投与するヘパリン自体に、血小板に対する作用を有することが確認された。
  • 岸本 武利
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1318
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 玉置 勲, 小崎 正巳, 桜井 悦夫, 宮本 克彦, 芦 建基, 大河内 康光, 長江 恒幸, 副島 昭典, 広瀬 康子, 辻 孝彦
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1319-1322
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々が日機装株式会社と共同開発した腎低温灌流保存装置LPS-11を用いてヒト死体腎42個を灌流保存した結果次の結論を得た。
    1)長時間単純冷却保存されたヒト死体腎を移植前に2~3時間低温灌流保存することにより, 灌流圧, 灌流量, 血管抵抗の変動から腎のViabilityを判定出来ることを知った。
    2)灌流液中に種々の薬剤を加えることによりgraft conditioningが可能であることを見出した。
    3) Donorの死戦期に低下した死体腎の機能を低温灌流保存することにより改善し得ることを知った。
  • ―使用ダイアライザーとの関連―
    坂下 恵一郎, 筒井 敏彦, 利見 秀雄, 伊藤 晃, 山崎 親雄, 増子 和郎
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1323-1326
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の血中LAL-RMをトキシカラーテストにて測定し, 使用ダイアライザーとの関連性を検討した。血液透析導入前では, 健常者と同レベルである。A群(キュプロハン・ドライ)では初回透析で高値に達し, 以後高値は持続する。C群(酢酸セルロース・合成高分子)は導入前と変化はない。B群(キュプロハン・ウェット)は, A群とC群の中間の値であった。A群の初回透析時では, 透析開始後15~30分に膜からのLAL-RMの溶出が認められ, 60分には既に, 透析後の値近くに達する。長期透析患者のLAL-RMは, A群で非常に高値であり, C群は健常者と同レベルであり, B群は両者の中間の値である。A群からB群又はC群のダイアライザーに変更後, LAL-RMが長期透析患者のB群又はC群と同レベルまで低下するためには, 3カ月前後かかることが推定される。A群における, LAL-RMと透析歴とは, 相関は認められない。
  • S. YAMAGAMI, R. YOSHIMURA, K. SUGIMURA, H. YOSHIWARA, T. KISHIMOTO, M. ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1327-1329
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    A Limulus-positive substance has been known to exist in cellulose membrane dialysers, and it has been found to be a β-glucan-like substance and not an endotoxin. A new method, consisting of the C system specific to endotoxins and the G system activated by -glucan, was applied in hemodialysis patients using cellulose membrane dialysers and healthy volunteers by injecting them with the washed solution of cellulose membrane dialysers. As a result, a higher concentration of a β-glucan-like substance was found in the patients using cellulose membrane dialysers. Moreover, the decrease in its serum level was lower. Platelet coagulation and complement activation were unaffected.
  • 清水 隆, 山口 寛, 土田 博光, 本保 秀三, 箱島 明, 秋元 直人, 日野 宏, 平山 哲三, 北村 昌之, 石丸 新, 小池 荘介 ...
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1330-1333
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全症例の貧血の1因子として, 赤血球寿命の短縮があることが知られている。透析患者の赤血球寿命と関連性が深いと推定される赤血球変形能は健康正常者群に比し, 有意差(p<0.01)をもって障害されていた。透析により, BUN, 血中クレアチニンが低値になるにつれて赤血球変形能は改善の傾向を示した。透析患者の非輸血群(n=11)では赤血球変形能と血中Hbの間に相関性(r=0.67 p<0.01)が認められた。透析患者においては赤血球変形能の障害のあることから赤血球寿命の短縮による, 貧血因子が推定された。
  • ―特に透析開始時, 15分, 終了時リンパ球と培養日数の影響
    長野 豊美, 中島 正良, 杉崎 弘章
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1334-1339
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    幼若化反応(PHA, ConA)を用い、自己血漿およびヒトAB血清と患者リンパ球機能の係わりを培養日数について検討を行なった。透析前、開始15分、終了時の動・静脈側のリンパ球を対象とした。透析前および15分のリンパ球は培養3日を頂点とし、終了時リンパ球は培養日数に従い反応が低下する傾向にあった。各リンパ球の経時的反応はAB血清において15分リンパ球が有意の差で高く、その特異性が強く認められた。Cuprophan膜とPMMA膜の比較は同様に15分リンパ球が高くなる傾向を示し、さらに透析前と15分リンパ球はCuprophan膜からのリンパ球の反応性が高く、終了時は逆にPMMA膜の方が高い反応となった。自己血漿は15分リンパ球に特異的な反応が見られるが動脈側と静脈側では反応性が異った。透析患者リンパ球の自己血漿と同種血清に対する認識はかなり明瞭と考えられる。
  • 岡 藤太郎, 花沢 一芳, 吉岡 豊一, 遠藤 善裕, 松田 孝一, 谷 徹, 小玉 正智
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1340-1344
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膜型血漿分離器や、透析膜での補体活性化により生じたanaphylatoxinを、活性炭を用いて吸着する方法、およびnafamstat mesilate (FUT)を用いて補体活性化を直接抑制する方法について検討した。C3a, C4a, C5aは、Poly-HEMA被覆活性炭により、血漿中・血液中から良好に吸着除去された。血液透析に、活性炭血液灌流を併用すると血液透析単独に比して、特に血中C3aは著しく低値となつた。このanaphylatoxin除去により、非被覆活性炭カラムを用いた1症例で、transient leukopeniaの程度を軽減することができた。FUTを血漿交換、Double Filtration Plasmapheresisに抗凝固剤として使用し、ヘパリン使用時と比較した。血中C3a, C4a, および分離血漿中のC5aはヘパリン使用時に比して、FUI使用時の方が低値であらたが、好中球減少を抑制するには不充分であり、anaphylatoxin産生を制御するには100mg/hr以上の大量投与が必要と思われた。
  • 高橋 雅俊
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1345
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 竹沢 真吾, 大海 伸二, 今野 義治, 酒井 清孝, 関口 守, 下起 幸郎, 高橋 剛
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1346-1349
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ダイアライザーの溶質除去効率、透水性能は主に膜によって決定される。膜は滅菌法によってその構造が変化し、クリアランス、透水性能に変化を与える。そこで、TAF10、TAF10Mおよび、さらに含水率の高い膜を用いたダイアライザー2種、合計4種類のダイアライザーの、無滅菌、エチレンオキサイドガス、オートクレープ、γ線の4種類の滅菌についてクリアランスなどを調べた。その結果、TAF10、TAF10Mではドライ状態におけるγ線滅菌で性能が有意に低下した。一方、含水率の高い膜ではオートクレーブにて性能が有意に低下した。また、低分子量物質のクリアランス、含水率は滅菌法によらず一定とみなせた。細孔理論を適用して膜構造の変化を検討したところ、膜の孔径のみが変化していた。滅菌法は患者に与える影響を第一に考慮して決定すべきだが、膜設計は滅菌による膜性能の変化も考えて行うべきであることがわかった。
  • 大橋 英彦, 三村 理七, 小沢 喜久夫, 竹沢 真吾, 酒井 清孝
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1350-1353
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ダイアライザーは血液透析に使用されることによって、その性能が低下する。これは血液中の物質(タンパク質等)が膜面上に付着あるいは吸着することにより、膜の目詰り、膜孔の狭窄が起こり、膜構造が変化するためと考えられる。本研究では、血液接融前後の膜構造の変化を定量化し、そのメカニズムを検討した。程度に差異はあるものの、いずれのダイアライザーにおいても純水濾過係数Lpは低下した。再生セルロース系のダイアライザーは低下率が小さい傾向が見られた。これは再生セルロース系の素材が血中溶質を吸着しにくいためと考える。また、放射性同位元素で標識した尿素を用いて血液接触前後の溶質透過係数pmを測定し、Tortuous Pore Modelによって各膜の孔半径rpおよび膜性能を示すパラメータ(AK/τΔX)を算出したので報告する。
  • 小林 力, 高橋 健, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三, 水谷 昭治, 小出 弘之助
    1986 年 15 巻 3 号 p. 1354-1357
    発行日: 1986/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析液の不均等な分布に起因する透析性能の低下を防止する目的で, 外周に沿い突起(F)を装着した中空系を開発し, その透析性能改善効果の機序をin vitro実験で検討した。F付き, F無しの各中空糸により作製したミニ透析器で, 透析液側境膜抵抗(1/KD)が0となる高透析液流量下にWilson plotから血液側・膜の尿素, VB12に対する物質移動抵抗を求め, 臨床用透析器の総括物質移動抵抗(1/KA)に適用して1/KDを求めるとF付透析器ではF無しに比し1/KDは78%低下, KAは29%増加した。各透析器でQDを変化させ, 1/KAの変動を測定した所, F無し透析器ではQDの上昇に伴い, 1/KAは大きく減少したのに対し, F付透析器ではほとんど低下せず, F付中空糸の1/KDの減少は真の境膜抵抗低下ではなく, 透析液流の均等化から膜面積が有効に利用され, みかけ上1/KDが低下したと思われた。以上より本中空糸は透析器の透析液流の均等化を介し, 透析性能向上効果を持つことが示された。
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