人工臓器
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16 巻, 2 号
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  • 福増 廣幸
    1987 年 16 巻 2 号 p. 701
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 内藤 明, 老沼 正芳, 小沢 喜久夫, 山下 明泰, 竹澤 真吾, 酒井 清孝
    1987 年 16 巻 2 号 p. 703-706
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年、荷電膜をから成るダイアライザーが試作されているが、電解質透過に関して基礎的検討を加えた例は少ない。
    本報では、無機リンおよびナトリウムイオンの透析膜透過性の違いを膜材質および膜特性の観点より検討を加えた。透析実験により無機リンおよびナトリウムイオンの総括物質移動係数を測定した。その結果、無機リンおよびナトリウムイオンの移動に濃度依存性が観察された。これは、イオンの半径および拡散係数の濃度依存性だけでは説明できず、膜荷電の影響が示唆された。荷電膜の電解質透過には、イオン強度が大きく影響していることがわかった。
  • 大橋 英彦, 津田 彰一, 小沢 喜久夫, 竹澤 真吾, 酒井 清孝
    1987 年 16 巻 2 号 p. 707-710
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    5種類の市販透析膜を用いて血液接触前後の透水性、溶質透過性および含水率を測定し、tortuous pore modelを用いて、透析膜構造の変化を定量化した。本報では操作条件、血液性状など膜構造の変化に及ぼす影響について検討したので報告する。いずれの透析膜でも血液接触後の濾過係数は低下した。低下の度合は膜材質によって異なった。これは膜材質によって溶質の吸着能が異なるためと考える。また、比較的孔径の大きい膜において、血液との接触によって膜孔径の大幅な減少が見られた。アルブミン等の血中溶質が膜孔内へ侵入することによって、膜孔が狭窄したためと考える。実験結果より透水性に及ぼす膜構造の変化は膜の吸着特性と細孔径に依存することが示唆された。
  • 千葉 浩, 竹澤 真吾, 酒井 清孝
    1987 年 16 巻 2 号 p. 711-714
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    市販の中空糸膜の性能や構造を調べることは、より優れた膜を作る上で非常に重要である。膜の構造を決定する因子の一つである平均孔半径は、Stevensonらの考案した放射性同位元素(RI)でラベルした溶質を用いる方法で行ってきた。すなわちRIでラベルした溶質を透過物質として、溶質透過係数及び濾過係数を実測し、細孔理論より平均孔半径を求めている。しかし溶質の膜内拡散係数を実測して、その値より平均孔半径を求めた報告はない。そこで、膜内拡散係数を実測するために染色理論を用いて中空糸膜内の染料の拡散係数を実測した。またその値より、細孔理論を用いて平均孔半径を算出した。その結果再生セルロースへの染料の拡散はFickの第二法則に従うことが分かった。また、平均孔半径は、RI法による結果とほぼ同じ値が得られた。
  • ―至適ヘッダー形状の設計と評価―
    吉川 暹, 福村 裕史, 林 和子, 見矢 勝, 河田 一郎, 末岡 明伯
    1987 年 16 巻 2 号 p. 715-719
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期安定な膜透過性能を持った血液浜過器を開発することを目的として、圧損・偏流の少ないモジュール・ヘッダー部の形状を検討した。in vitroでの形状評価指標として滞流度Rを定義し形状の優劣の指標とした。ヘッダー形状は縦入型、横入型、渦巻形の3タイプ計9種類を作成評価した結果、渦巻型では、R値の血流量依存性が少なく優れた安定性を示し、横入型では低流量域での偏流があるものの流量が確保できれば低いR値となることがわかった。縦入型は周辺部に滞流が起きやすく、3つの中では最も悪い結果となった。牛血を用いたin vitroの実験では、縦入型は横入型に比べ溶血をおこしやすく、血球にストレスを与えやすい構造と考えられた。2連のモジュールによる犬の体外循環実験を行い、低血流量下、減ヘパリン条件でのモジュール劣化の加速実験を行うことにより、ex vivoにおいても渦巻型>横入型>縦入型の順に濾過性能の安定性に差のあることがわかった。
  • 藤田 嘉一
    1987 年 16 巻 2 号 p. 720
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 竹沢 真吾, 日台 英雄, 佐藤 史郎, 酒井 清孝, 関口 守, 高橋 剛
    1987 年 16 巻 2 号 p. 721-724
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    再生セルロース膜に対するγ線の影響を知るため、照射線量を3点変えて検討した。その結果、乾燥状態で照射した場合、透水性能、中分子量物質のクリアランスが大きく低下した。一方、γ線照射時にダイアライザー内部に純水を満たした場合は、透水性能、クリアランスが減少しなかった。しかし、いずれの場合においても溶出液中には膜の劣化によると思われる物質が検出された。この物質は乾煤状態と湿潤状態とで異なり、乾燥状態では分子量数千の物質が、また、湿潤状態では分子量数十万の物質が検出された。溶出液のpHはいずれも低下し、水素イナンの生成が認められた。膜強度を知るためオートグラフを用いて最大破断加重、伸長率を測定したところ、湿潤状態の照射で著しい低下がみられた。以上の結果より、γ線による滅菌は透水性能、中分子量物質のクリアランス、膜の強度を十分検討した上で行うべきであると思われる。
  • 荘野 忠泰, 稲垣 王子, 平林 俊明, 森頴 太郎, 井上 聖士, 藤田 嘉一, 脇田 稔夫, 安部 道夫
    1987 年 16 巻 2 号 p. 725-728
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Cellulose系膜の一種として新しく開発されたDiethylaminoethyl-Celluiose (Hemophan®)膜を素材とした透析器を7名の慢性血液透析患者に対し臨床使用し, Cuprophan膜, PMMA膜との生体適合性に関する比較検討を行なった。総白血球数は, 透析開始後15分値において三種類の膜ともに最低となり, その後上昇した。その低下の程度は, Cuprophan膜, Hemophan膜, PMMA膜の順に強かった。好中球数, リンパ球数, 血小板数は, 総白血球数と類似の変動を示した。PaO2は, 三種類の膜ともに著明な変動を認めなかった。C3aの変動は, Cuprophan膜, Hemophan膜, PMMA膜の順に強かった。また血小板第4因子の変動は, PMMA膜, Hemophan膜, Cuprophan膜の順に強い傾向を認めた。以上よりHemophan膜は白血球, C3aに関してはCuprophan膜より, 血小板第4因子に関してはPMMA膜より変動が少なく, 生体適合性に優れた透析膜であると考えられた。
  • 室井 利仁, 小谷 野武, 小沢 喜久夫, 田村 真紀夫, 酒井 清孝
    1987 年 16 巻 2 号 p. 729-732
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    疎水性多孔質膜を用いた膜蒸留法は近年海水の淡水化、アルコール濃縮等の分野で注目を集めている。膜蒸留法は従来の純水製造法と比較してエネルギー効率がよく、透過水量が大きいという利点を持つ。また膜の両側の液相蒸気圧差により溶媒のみを透過させる方法であるため、原液中の溶質は膜を透過しない。膜蒸留法の医療面への利用は本研究が始めての試みであるが、除水コントロールシステム、医療用純水の製造及び透析液の再生に応用可能と考える。本報では四フッ化エチレン(PTFE)及びニフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた膜蒸留法にて、牛血漿、牛血液及び透析液廃液からの除水実験を行った。その結果、膜蒸留法の透過流束は逆浸透法より優れ、溶質の漏出が殆どないことを確認した。また膜の経時的性能低下が少なく再生可能であること、透水性が膜厚、空孔率といった膜構造に依存することがわかった。
  • 峰島 三千男
    1987 年 16 巻 2 号 p. 733
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 久島 英二, 佐藤 正広, 沖 守, 富田 勝, 秋元 成太
    1987 年 16 巻 2 号 p. 734-737
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年, Temporary Blood Accessとして静脈内留置Catheter(Quinton社, Double Lumen Catheter=以下DLC)が用いられ大きな成果を得ている。そこで今回, これらのCatheterの有効性を追究するため, Extemal Shunt, A-V Fistula, DLCの各種実験装置を考案し除去効率を求め各々の性能評価を行なった。また臨床使用経験, 臨床検査成績等も含め併わせて検討した。その結果, 各種実験装置における除去効率は, External Shuntが最も良く次いでA-V Fistula, DLCの順であった。臨床使用経験においても重篤な感染症は認められず, Catheter挿入も比較的容易であった。長期間留置による抗血栓性に対しては, 最もTroubleが多く不充分であったが, 除去効率においては満足すべくDataを得た。従ってDLCは, 実験的にも臨床的にも十分除去効率が得られ, 重篤な感染症も認められないことから, 血液浄化法Blood Accessとして十分使用できると判断された。
  • 稲垣 豊, 青木 真一郎, 天野 泉
    1987 年 16 巻 2 号 p. 738-742
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    silicone rubberを用いて大腿静脈に留置しても歩行可能なflexible double lumen (FDL) catheterを作製した。最大血流は300ml/min以上得られ, かっ血流200ml/minでV圧は100mmHg以下であった。又, 流れの大きな静脈では再循環は生じなかった。FDL catheterは経皮的にSeldingers methodで挿入できる。219例に延べ274回留置したが大きな合併症は1例も認められなかった。体外循環以外の時は新たに試作した2連注入式micropumpでペパリン原液を注入する事によりlumenの血栓による閉塞を防止する事ができ大部分の症例において1~4週間使用する事が可能であった。FDL catheterは補液やCVPの測定ができるので外シャントより優れたtemporary blood accessと思われた。
  • 佐藤 卓, 後藤 健, 中川 成之輔
    1987 年 16 巻 2 号 p. 743-748
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析時間の短縮化を図るために、高濃度の重曹を置換液として用いるsoft HDFを施行した。BiofiltrationとしてNa145 HCO-3100Cl 45mEq/lの置換液3lをpostdnutionに持続点滴することにより透析時間の1時間の短縮を試みた。small moleculeの除去率は軽度低下を示したが、透析前のsmall moleculeの濃度は不変であった。酸塩基平衡の是正も適正範囲内で、透析間の酸負荷に対する十分なbufferの補給が、透析中に過度なアルカローシスをきたさないレベルの重曹補給量にて得られた。血清電解質レベルもClの軽度低下のみでK除去も十分に行なわれた。貧血の改善と中性脂肪の低下がみられ、長期的臨床効果にも期待がかけられた。
    Biofiltrationは臨床的に簡便に施行可能で溶質の除去、acidosisの補正が透析時間の短縮にもかかわらず十分に施行でき、新しい血液浄化法になり得ると結論された。
  • 後藤 健, 中川 成之輔, 佐藤 卓
    1987 年 16 巻 2 号 p. 749-753
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    短時間の血液浄化時間にて効率良く大量の溶質(small, middle and large molecule), 過剥水分を除去するために大量の置換液を用いたHigh flux HDFを試みた。置換液は大量の重曹置換液の作成のため、重曹透析液をFilterにて2度限外酒過し、滅菌フィルターを通ずることにて成功した。計画除水ポンプの除水ポンプの性能を上げ、5l/hourまでの除水を可能とし、除水ポンプと透析液より作成した置換液注入ポンプとを二連式注入排液ポンプをエコライザーとして用いる容量制御方式にてバランスを図り、On line High flux HDFに成功した。このsystemを用いることにより、短時間にて、urea, creatinin, β2 microglobulinの充分な除去効率が得られ、血管安定性も良好であった。On line high flux HDFは、短時間透析、無症候透析、さらに低分子蛋白の除去に関しても非常に有用な血液浄化法であるといえる。
  • 平野 克典, 近藤 治郎, 安達 隆二, 井元 清隆, 梶原 博一, 松本 昭彦, 高木 信嘉
    1987 年 16 巻 2 号 p. 754-757
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    大動脈血行再建術後に急性腎不全を合併した7例に対しCAVH療法を施行した。フィルターにPAN-50Pを用い、ブラッドアクセスを大腿動脈から得ることを原則とし、限外濾過は患者の血圧による自然濾過とした。抗凝固療法はヘパリンを使用した。フィルターの交換は濾液量が200ml/hr以下となった場合に行った。フィルター交換までの時間は平均41.6時間であった。回路交換直後の濾液量は平均791ml/hrであり、収縮期血圧と有意な相関を認めた。CAVHから3例が平均20日後に離脱した。離脱し得なかった4例中2例は2日以内に死亡したが、その他の2例は長期にわたって体液電解質管理を行うことができた。死亡した4例中3例は人工血管周囲に後腹膜血腫の増大傾向を認めた。以上より抗凝固療法については今後の検討を要するが、大動脈血行再建術後の急性腎不全に対するCAVH療法は有効であると考えられた。
  • 三木 茂裕, 湯浅 繁一, 高光 義博
    1987 年 16 巻 2 号 p. 758-761
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の透析療法による治療が困難な重篤基礎疾患を合併した腎不全症例に対し, 我々は, 血液ポンプを使用しないで持続的血液透析を実施する方法, CAVNMD (continuous arteriovenous non-machinery dialysis)療法を行い, その臨床効果を検討した。ダイアライザーは, 小面積(0.6m2以下)のHFKを用い, 透析液は, サブラットA液あるいはキンダリー2号の35倍稀釈液を用いた。腎不全患老12例(急性腎不全11例, 慢性腎不全1例)に適用した結果, 除水は, 時間あたり0~400mlの範囲で設定除水が可能であった。血清尿素窒素および血清クレアチニンは, 各々, 本療法開始前108.3±15.6, 8.4±1.5mg/dl (Mean±SE)に対し, 24時間後25.8, 27.4%, 48時間後42.3, 39.8%の低下改善を認め, 血清Kは, 24時間以内に正常化を認めた。今回の検討から, 本法は, 従来の透析療法の困難な腎不全の治療に有用な方法であると考えられた。
  • 小野 利彦
    1987 年 16 巻 2 号 p. 762
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 高木 俊昭, 末岡 明伯, 高島 征助, 窪津 彰, 犬飼 雄一
    1987 年 16 巻 2 号 p. 763-766
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    健常者前腕静脈からの同時Blank, EVAL, PS, PAN, セルロース膜ミニモジュールへの通血後の血液の検索より以下のことが明らかになった。セルロース膜は、内因系、外因系の血液凝固因子活性化し、PS, PAN膜は血小板因子活性による凝固活性を生じており、EVAL膜ではいずれの凝固因子も他の膜に比べ強い活性を示さなかった。
  • 北本 康則, 菅井 久子, 門間 弘道, 石崎 允, 高橋 寿, 関野 宏, 藪下 安紀, 岩渕 国人
    1987 年 16 巻 2 号 p. 767-769
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ウロキナーゼ固定化フェモラールカテーテル(UKFC)をblood accessとして56例に61回留置した。留置期間は平均14日間で、4例で1ケ月以上(30日、36日、93日、113日)であった。留置中のカテーテル閉塞が1例、カテーテル熱が4例であった。UKFC抜去時の残存UK活性は使用前の平均2.1%であった。
    UKFC使用時の透析前後でplasminogen、α2-plasmin inhibitorの血中濃度は余り変化せず、出血傾向の助長も認めなかった。
    4頭の山羊頸静脈にポリウレタンフェモラールカテーテル(FC)、UKFC、APMSF-UKFC (plasminogcn activator活性なし)を2日間留置した。抜去後の走査電子顕微鏡による観察では、FC表面には血小板の粘着を認めたが、UKFC、APMSF-UKFCには血小板の粘着を認めなかった。以上より、固定化UKはplasminogcn activator活性に依存しない血小板粘着阻止作用も有すると結論された。
  • 扇谷 博, 牧野 哲, 残間 保雄, 門間 弘道, 高橋 寿, 北本 康則
    1987 年 16 巻 2 号 p. 770-773
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    gabexate mesilate (GM)とヘパリンはin vitroで抗凝固剤として相乗作用を示した。この相乗作用は透析患者で認められたが、健常者では認められなかった。単独では凝固時間(ACT)を延長させないヘパリン濃度(0.05u/ml)でGMの血中濃度を変化させた時、20-50μg/mlでGMとヘパリンの相乗作用が認められた。
    In vitroの結果に基づき、ヘパリン約150単位を回路のプライミングに用い、GM500-600mg/Hを持続注入するlow dose GM透析を行った。出血性リスクを有する105例に対し425回の透析を行なった。透析時の凝固トラブルや出血傾向の助長はなかった。透析後の血小板粘着能は、プライミングにGMを用いた時に比べ低下していた。
    ヘパリンとGMの相乗作用は凝固系と血小板機能の抑制によると考えられた。また透析患者では血小板数は減少し血小板機能も低下するため、この相乗効果が発現しやすいと推測された。
  • 黒川 順二, 飛田 美穂, 平賀 聖悟, 飯田 宣志, 佐藤 威
    1987 年 16 巻 2 号 p. 774-777
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍を有する血液透析患者3名に対して、術後化学療法としCDDP療法を施行し、各種の血液浄化法を用い血中CDDPの除去効果を血中Platinum (Pt)濃度の測定により検討した。血中Ptは、total Pt濃度とfree Pt濃度として原子吸光光度計にて測定した。HD、HDF、DHP、HFでは、非蛋白結合型のCDDPが主として除去されたが、除去率は10.4-37.7%で血液浄化法としては満足すべきCDDPの除去効果が得られなかった。今回検討した血液浄化法のうちPEがもっとも有効な血中よりのCDDPに対する除去法であった。凍結血漿4,000ml置換によるPEの血中Pt濃度の低下は血中total Pt濃度で1942.0ng/mlであり、このときの減少率は68.6%であった。又、CDDP投与後の血中Pt濃度の経時的変化において、両側腎摘術除後の無腎患者において急峻な低下を示すα相が見られ、CDDPの組織移行は速やかであると考えられた。
  • 松井 則明
    1987 年 16 巻 2 号 p. 778
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 坂下 恵一郎, 筒井 敏彦, 利見 秀雄, 伊藤 晃, 山崎 親雄, 増子 和郎
    1987 年 16 巻 2 号 p. 779-782
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    CHF透析器より検出されるLAL-RMと生体適合性との関連について検討した。維持透析患者11名を対象に, AM-Neo-2000H及びALF-12の通常透析器を使用した時と乳酸リンゲル液13lにて洗浄しLAL-RMを除去した透析器(RENAK-A-15M及びALF-12GW)を使用した時とを比較した。白血球と血小板を, HD前とHD開始後15分, 30分, 60分, 240分に測定した。白血球は, 両析析器とも同様な変化を示し, 両者間での差異はなかった。血小板は, 通常透析器使用時の30分に有意な低下を示した以外は, 前値に比し有意な変化はなく, 両者間でも有意差はなかった。
    対照試験として, 健常者8名(男5名, 女3名)に対し, AM-Neo-2000H洗浄液200mlの注入試験を施行し, 注入前と注入後五5分, 30分, 60分, 120分に白血球と血小板, CH50を測定した。白血球とCH50は有意な変化はなく, 血小板は, 30分と60分に有意な低下を示した。
  • ―薄膜およびタンパク透過性中空糸への応用―
    小林 力, 雨宮 均, 大友 正浩, 奥山 寛, 秋沢 忠男, 越川 昭三, 水谷 昭治, 神代 尚平
    1987 年 16 巻 2 号 p. 783-786
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    昨年の本学会において、中空糸外側に突起(Fin以下F)を有する中空糸を開発し、その小分子量物質クリアランスの改善効果と機序について報告した。今回は従来臨床応用の困難であった薄膜中空糸と新たに開発した酢酸セルロースを素材とするタンパク透過性血液透析膜にFを付加し、その効果を検討した。乾燥時膜厚6μのF付薄膜中空糸透析器の性能を従来の8μF付中空糸透析器を対象に検討した所in vitroでは尿素、クレアチニン(Cr)、ビタミンB12(VB12)のクリアランスは9~12%上昇し薄膜化の効果が確認された。臨床試験でもBUN, Cr, 尿酸, Pの各クリアランスは有意に増加した。一方Fを付加したタンパク透過性血液透析器ではFを持たない透析器に比して尿素クリアランスがin vitro・臨床試験とも有意に増加し、cut off pointやβ2-ミクログロブリンに対するふるい係数に変化はみられなかった。以上より、F付加により従来使用できなかった薄膜中空糸や小分子量物質除去性能の比較的低い膜素材をも、その短所を補って透析用中空糸として使用が可能となり、F付中空糸の幅広い臨床応用の可能性が示された。
  • 小野 祐嗣, 小倉 三津雄
    1987 年 16 巻 2 号 p. 787-790
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者の難治性貧血, 骨痛などに対して蛋白濾過フィルターの有効性が報告され, 種々の膜素材による蛋白濾過フィルターの開発がおこなわれている。我々は, 5, 種類の蛋白濾過フィルターを使用する機会を得たので, その膜素材の異なったフィルターによる経時的性能評価とその原因と考えられる附着蛋白についての検討をおこなった。
    UFRの経時的減衰は, 各膜とも通鴬のダイアライザーに比べ, 非常に大きかった。そして, これに伴う溶質除去能は, すべての膜において減衰傾向を示し, 原因として蛋白成分の膜への附着が考えられた。Triton X-100を再循環させることにより, 膜附着蛋白を除去する方法を試みた結果, ほぼ全量の膜附着蛋白除去が可能であった。膜附着蛋白量は, PMMAで他膜に比べ多く, 特にβ2-MGの附着は著明なものであった。
  • 高木 豊已, 桜井 謙次, 小川 洋史, 斉藤 明
    1987 年 16 巻 2 号 p. 791-794
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    合成高分子膜およびセルロース系膜フィルターによる蛋白漏出性濾過透析を行ない, β2-マイクログロブリンを中心とした低分子量蛋白質の除去性能を評価した。β2-マイクログロブリンのSieving Coefficientでは, KF 101-15C:0.55, TAF 120S:0.40, Duo-Flux HP:0.32, H12-2400S:0.29, AM-2000UP:0.42, TF-E15P:0.33であり, 同様にアルブミンではKF 101-15C:0.08, TAF 120S:0.02, Duo-Flux HP, H12-2400S, AM-2000UPおよびTF-E15Pは0.01未満であった。β2-マイクログロブリンのアルブミンに対する漏出量比は, KF 101-15C:1.3%, TAF 120S:4.7%, Duo-Flux HP:9.1%, AM-2400UP:7.1%, TF-E15P:7.2%, H12-2400Sは312%であり, H12-2400S(PAN膜)においてアルブミンとβ2-マイクログロブリンの間でEVAL膜, セルロース系膜フィルターに比し急激な阻止率の低下が認められた。膜素材の異なる各種high-performance filterの除去性能より, 種々の症例に適応したフィルターの使用が可能となり得た。
  • 芝本 隆, 飯野 靖彦, 大島 博幸
    1987 年 16 巻 2 号 p. 795-798
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Diaiyzer Moduleに用いられる膜を含む材料において, 可溶性成分の溶出性について実験した。〔方法〕各種moduleを蒸留水500mlで血液側を洗浄した後, 総量300mlの蒸留水で血液側への可溶性成分を抽出した。抽出実験にはmodule接続部および血液ポンプローリング部にはシリコンを用い, 他の回路は全てテフロンチューブを使用した。〔結果〕抽出液の清浄度は98.7~100%の範囲であった。ブランクとのΔpHでは0.48~1.47の範囲であった。KMnO4消費量, 蒸発残留物重量はそれぞれ1.1~19.3ml, 0.3~1.7mgであった。赤外吸収スペクトルでは, γ-ray滅菌moduleでは抽出液中に膜材料と同様のパターンが認められ, dry type moduleではグリセリンが多く認められた。〔結語〕Dialyzer Moduleの洗浄(血液側・透析液側)が十分に行われない場合, moduleからの可溶性成分が血液中へ溶出する可能性が考えられた。従ってDialyzer Moduleを使用する場合, 十分に洗浄しなくてはならない。
  • 山上 征二
    1987 年 16 巻 2 号 p. 799
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • H. YOSHIHARA, T. SUGIMURA, M. SENJU, S. YAMAGAMI, T. KISHIMOTO, M. MAE ...
    1987 年 16 巻 2 号 p. 800-803
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    再生セルロース膜からLimulus test陽性物質が溶出し, 再生セルロース膜で血液透析をうけている患者の血中にはLimulus test陽性物質が検出される。このLimutus test陽性物質はエンドトキシンではなくβ-1, 3-D glucanの物質であることを示し, さらにこの物質のinterleukin-1 (IL-1)産生能に及ぼす影響を検討した。cuprophan膜, PMMA膜を1000mlの減菌蒸留水で30分間灌流し, これを250倍に濃縮した。これらの灌流濃縮液10μlを健常ヒト末梢血単球浮遊液に添加し, 各々の灌流液のIL-1産生能に及ぼす影響を比較検討した。PMMA膜の灌流濃縮液添加群は無添加対照群との間にIL-1産生能に有意差を認めなかった。一方, cuprophan膜の灌流濃縮液添加群は有意にIL-1産生能が増強された。また, cuprophan膜で血液透析をうけている患者の単球のIL-1産生能も高値であった。cuprophan膜由来のLimulus test陽性物質のIL-1産生能増強作用は, Dinarelloらの言っているamyloidosisの原因であるか否かは今後の検討を待たねばならない。
  • ―Ex vivoによる予備検討―
    宮崎 哲夫, 内藤 秀宗, 高木 俊昭, 末岡 明伯, 高島 征助, 窪津 彰, 犬飼 雄一
    1987 年 16 巻 2 号 p. 804-807
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液浄化膜の生体適合性の検討の一方法として同一被験者で同時に素材、および膜構造の異なるミニモジュールを用いて通血試験を行い、いくつかの項目について興味ある知見が得られた。
    すなわち、3名の男性被験者にそれぞれPE, PVA, EVAL (spec D. 4A)のミニモジュール(膜面積0.01m2)を並列に連結し、肘正中皮静脈から採血し、PVC製チューブで5等分(1個所はブランク)して10ml/minで通血し、10分後に採取して血漿の補体活性化(C3a, C4a)を測定し、膜素材の補体への影響を検討した。また、使用後のそれぞれの中空糸膜における付着蛋白量、有形成分の付着状態などについて、GPC, N分析, SEMなどの手法によって解析した。膜素材による補体の活性化の順位は, PVA>EVAL(D, 4A)>PE>ブランクであり、EVALのD、4Aの構造物性の差の影響は認められなかった。
  • 保科 繁, 阿部 町子, 池田 裕, 中村 藤夫, 古川 守, 遠藤 信之, 中川 一郎, 浦野 寿夫, 鈴木 正司, 平沢 由平
    1987 年 16 巻 2 号 p. 808-811
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ある種の尿毒血漿中の物質が血液濾過用膜に吸着されて、血中から除去されることについては、すでに4年前に我々が報告している。今回は、その後に出現した新しい膜素材も含めて、再検討を行ってみた。
    まず、多数の慢性透析患者の血漿を集めてプールし、生理食塩水で2倍に希釈したものを用意した。これに、各種血液浄化膜の細切片を加えて、室温下で3時間のインキューベーションを行った。そして、希釈血清に膜切片を加えないものをコントロールとして、30分、1、2、3時間経過後に、希釈血清中の各種溶質濃度を測定しその変動をみた。
    その結果、セルロース系膜より合成高分子系膜の方が著しい吸着性を示すことがわかった。また、PMMA膜では、B1系とB2系の膜とで、著しい吸着性の差異が認められ、特にβ2-ミクログロブリンにおいてそれが著明であった。
  • 鈴木 好夫, 蟹由 斉, 那須野 修一, 柴田 猛, 二瓶 宏, 三村 信英
    1987 年 16 巻 2 号 p. 812-816
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    キュプロファン(Cu)膜のポリマー構造のOH基をDiethylaminoethyl基で5%置換し補体活性をおこさないとされるModified Cellulose(MC)膜の生体適合性を検討した。その結果、MC膜では透析中の一過性白血球減少は少ない。15分目のC3aの産生はCu膜が最も多く、次いでMC膜で、PMMA膜は最も少ない。C5aの産生は、CU膜にのみみられた。β-TGのダイアライザー通過による産生は、Cu膜、MC膜では共に少なく、PMMA膜において産生が多くみられた。血中顆粒球エラスターゼは三種の膜とも透析時間の経過とともに上昇し、相互に差はみられなかった。すなわち、顆粒球エラスターゼの放出は補体活性化あるいは末梢白血球の動態と別個におこることが推測された。PF4もダイアライザー通過による産生は、Cu膜、MC膜は共に少なく、PMMA膜に多くみられた。
  • 阿部 富弥
    1987 年 16 巻 2 号 p. 817
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 優里, 高橋 満彦, 寺岡 慧, 峰島 三千男, 江良 和雄, 久保 和雄, 太田 和夫
    1987 年 16 巻 2 号 p. 818-821
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在, われわれが血液浄化法を行うときに使用する膜には種々あり, 各膜にはそれぞれ特長あがあるが, 最近新しく開発されたmodified cellulose膜を用いたdialyzerを長期透析療法施行中の患者に使用し, この3種類の膜を生体適合性の面より比較検討したので報告する。C3a, C5aはCuprophanでは透析開始後5~15分で上昇するが, PMMAおよびmodified celluloseは著明な上昇は認められなかった。WBCはCuprophanで減少が著明であったが, PMMAおよびmodified celluloseでは軽度減少したのみであった。β-TGおよびTXB2は, PMMAで著明な上昇がみられた。新しく開発されたmodified celluloseは補体活性化, 血小板活性化の面で優れた生体適合性を有する膜であると考えられる。
  • 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三, 渡辺 哲夫, 今村 和夫, 鶴見 隆, 須磨 靖徳, 栄花 正吉
    1987 年 16 巻 2 号 p. 822-825
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    再生セルロース(C)膜の補体活性化を防止する目的で, C膜表面の補体活性基をポリマーでマスクした新セルロース(NC)膜を開発した。NC膜の表面性状はC膜に比し疎水性, 陽荷電に変化した。NC膜のin vitroにおける補体活性化作用はC膜に比し著減し, ほぼPMMA膜に匹敵する成績を示した。NC膜の補体活性化作用は膜表面性状が疎水性, 陽荷電になるに従い低下した。臨床試験ではNC膜で血液透析中の白血球・血小板数の減少はほとんどみられず, 活性化補体C3aはわずかに上昇したものの, C5aは全く増加しなかつた。NC膜は高圧蒸気滅菌に耐え, 透析性能にもNC膜, C膜間に差はみられなかつた。以上の成績から, 今回の膜改質によりC膜の長所を生かしたまま, C膜の補体活性化作用は防止された。NC膜の今後の幅広い臨床応用が期待される。
  • 長沼 信治, 寺岡 慧, 太田 和夫, 名倉 賢治
    1987 年 16 巻 2 号 p. 826-829
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    最近、その構造決定がなされたロイコトリエンB4(LTB4)における、血液透析患者の血清値分布と血液透析における活性化、およびその活性化と血液透析のTransient Leukopeniaとの相関について検討した。
    LTB4の血清値の分布は、コントロールに比し有意差はなかった。血液透析におけるLTB4の活性化は、個人差が著明であり、使用ダイアライザーとの相関は認められなかったが再生セルロース膜よりPMMA膜で相対的に活性化が強かった患者が多かった。また、同じ透析膜では、LTB4の活性化が強かった患者でTransient Leukopeniaも強い傾向があった。
  • 中島 豊, 橋本 泰樹, 若狭 幹男, N. KANAMORI, 宍戸 寛治, 児島 弘臣, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三
    1987 年 16 巻 2 号 p. 830-833
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アラキドン酸からリポキシゲネーゼで代謝されるロイコトリエン(LT)は多岐の生物学的作用を持つオータコイドで, 体外循環により白血球等から産生遊離し血液・膜間相互作用の指標として重要な意義を持つと推定される。血漿中のLTB4, LTC4/D4をAmersham社のRIキットを用いて測定し, 各種血液浄化法のLT濃度に与える影響を検討した。血液透析患者の早朝空腹時LT濃度は正常人と差はないが, 血液透析開始後全例で増加し, 静脈側LT濃度が高い事から透析器内でLTが放出される可能性が示唆された。direct hemoperfusionではLTは著増した。合成高分子膜を用いた血液濾過法ではLTの増加は軽度で濾液中のLT濃度は測定感度以下であった。plasmapheresis中LTは軽度ながら上昇し, 分離血漿中にも血中濃度とほぼ同濃度検出された。血液浄化法施行時には一般に血漿LT濃度は上昇する。治療法, 膜素材等により上昇の程度が異なる事からLTは治療の生体適合性評価に有用と思われた。
  • 松村 治, 佐中 孜, 田中 嘉彦, 江良 和雄, 雨宮 秀博, 杉野 信博
    1987 年 16 巻 2 号 p. 834-837
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Al骨症10例, hemosiderosis 5例に対しDFO(10~30mg/kg, 週1回)投与し, PLMを用いたprotein permeable hemodialysis(PPHD)のAlとFeの除去能ならびに臨床効果を検討した。
    PPHDのAl-DFO複合体除去能は, 通常のHDに比し有意に高値であった。また, DFO投与にて, AlとFeは競合し除去された。
    Al骨症例は, DFO投与1~3回で全例骨痛の減弱を認め, 難治性骨折の1例も3ケ月で治癒した。
    hemosiderosis例では, 明らかな臨床効果は得られなかったが, 血清Ferritinは3ケ月後有意に低下しており, 病態の進展防止となる可能性が示唆された。
    DFOの週1回投与は, 副作用の発現が少なく, 臨床効果としても充分満足できるものであった。
    以上より, PPHDは, 実施の簡易さもありAl-DFO, Fe-DFO複合体の除去に有用と考える。
  • SHINICHI HOSOKAWA, HIROSHI NISHITANI, TADAO TOMOYOSHI, OSAMU YOSHIDA
    1987 年 16 巻 2 号 p. 838-841
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Manganese (Mn) transport and dialysance during hemodialysis were examined in fifteen chronic hemodialysis patients. Serum Mn levels in fifteen volunteer outpatients tended to increase after 5-hour dialysis; (0.20±0.06μg/dl before HD; 0.25±0.06 after HD). Serum Mn levels were 0.64±0.12μg/dl in normal subjects. The increase was mainly due to hemoconcentration evidenced by a significant increase in the hematocrit during HD. To study the changes resulting from diffusion, we measured Mn in the arterial blood and in the dialysate at the inflow and outflow sites of the dialyzer. Mn diffused across the dialyzer from the blood to the dialysate in fifteen cases. Mn dialysance of 15 patients was-48.6±71.7ml/min. The relationship between ultrafiltrable Mn levels and serum Mn levels before HD was a significant correlation (r=0.69, p<0.005).
  • 秋山 暢夫
    1987 年 16 巻 2 号 p. 842
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 新里 高弘, 前田 憲志, 吉田 文直, 小早川 裕之
    1987 年 16 巻 2 号 p. 843-846
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    通常の血液透析では改善しない慢性腎不全患者のrestless legs syndrome、イライラ感、不眠症および皮膚掻痒感がpush/pull HDFでは改善するという事実が多数の患者において確認された。すなわち、上記の合併症のうちのひとつ以上を持つ41人の維持透析患者に対して、その血液浄化法を通常の血液透析からgush/pull HDFに切り替えたところ、2ケ月以内に著明な症状の改善が見られた。10人のrestless legs syndromeのある患者のうち、7人に症状の改善があり、イライラ感については16人中14人に改善が認められた。また、不眠症を訴えていた10人の患者ではpush/pull HDF開始後、全例で症状の消失が認められ、皮膚掻痒感についても24人の患者のうち7人に改善があった。治療前のBUN、血漿creatinine濃度および血漿電解質濃度については血液透析療法時とpush/pull HDF療法時との間で有意の差は見られなかった。
  • 鶴田 良成, 前田 憲志, 吉田 文直, 新里 高弘, 石原 利員, 稲垣 太, 五十嵐 伊勢美, 北野 知之
    1987 年 16 巻 2 号 p. 847-850
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    以前に開発したhematocrit連続測定装置を用いて血液透析中の循環血液量の変化を連続的に測定し、symptomatic hypotensionと循環血液量変化との関係を調べた。本研究ではsymptomatic hypotensionは血液透析開始、約3時間後に発生した。しかし、この時点は循環血液量が治療中の最低レベルよりも5%以上も多い点であり、一部の患者においては10%以上も多かった。循環血液量が最低のレベルに達したのはsymptomatic hypotensionの発生から、約1時間も経過した後であった。このことは循環血液量の減少に対して血圧を維持する種々の代償機構の予備能が治療中に変動することを示唆している。今回の研究でsymgtomatic hypotensionの前に特に循環血液量の急激な減少はなく、また、plasma refilling rateにも変化がないことも明らかになった。これはsymptomatic hypotensionの機序に毛細血管壁を介しての血管内から間質への水の移行は含まれないことを意味している。
  • ―透析不均衡症候群および脳死―
    青木 真一郎, 稲垣 豊, 天野 泉
    1987 年 16 巻 2 号 p. 851-855
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析不均衡症侯群(DDS)の成因の追求と腎不全における血液脳関門(BBB)の特性を調べる為に, 透析患者の血液(B)と髄液(C)の分析を行った。血液透析(HD)中のC-BUNの低下はB-BUNに遅れBUNの濃度差を生じ, BとCの浸透圧のずれの原因となった。B-pHはHD後上昇したが, C-pHはほぼ一定でBとCのpHのずれが大きくなった。BとCの浸透圧とpHのずれはそれぞれDDSの成因の一つであると考えられた。HD中B-KとB-Pは大巾に低下しB-Caは上昇傾向を示したが, C-K, C-Ca, C-Pは狭い範囲に保たれた。脳出血で腹膜灌流を打ち切った症例においてもC-K, C-Ca, C-Pの変動は少なく, その恒常性は脳死判定後更に2日間ほど持続した。BUNはBBBを通過し易いが, CrはBBBを通過し難く, 又, 抜け難い傾向が認められた。
  • 中川 芳彦, 寺岡 慧, 伊藤 文夫, 藤田 省吾, 渕之上 昌平, 本田 宏, 河合 達郎, 林 武利, 中島 一朗, 高橋 公太, 阿岸 ...
    1987 年 16 巻 2 号 p. 856-859
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 7名の透析患者に対しLung Water Computerを用いて透析中の血管外肺内水分量Exravascular Lung Water (EVLW)を測定し検討を加えたので報告する。
    EVLWの測定は, 二重指示薬稀釈法を用い, 同時にSwan-Ganz Catheterにて循環動態の変動を観察し, さらに血液ガス分析をおこなった。EVLWは, 透析前10.5±29ml/kgで正常人の1.5倍(p<0.01)であった。透析開始30分後には一過性に増加し, 以後除水とともに減少した。さらに透析中のPO2は10%低下した。
    透析開始後にEVLWの増加傾向がみられたことより, 肺間質の増大のたあO2拡散能が低下し, 低酸素血症が発現する可能性が示唆された。透析中には, 肺毛細血管の透過性が亢進することが推察され, 最近注目されているhypersensitivity syndromeとの関連も含めて興味深い結果と思われる。
  • 小西 正人, 対馬 信子, 坂倉 宗樹, 蒲 学, 樋川 秀樹, 林 孝秀
    1987 年 16 巻 2 号 p. 860-863
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析は, 血中老廃物及び蓄積された水分の除去など生体にとって大きな役割をはたしている。透析による体重は, 総蛋白, アルブミン, グロブリン, ヘマトクリット, フィブリノゲン, 全血及び血漿粘度又血漿通過時間と有意の負の相関関係を示した。これは血液レオロジーにおいて悪化を示している。しかし, 赤血球変形能を示す40%赤血球浮遊液通過時間は短縮, 変形能の改善を示した。眼球結膜微小循環において, 透析後, 赤血球集合, スラッジの増加が観察され, 眼球結膜細静脈血流速度は著しく遅延していた。このことは, 体重増加の大きい, コントロールの悪い患者において著しかった。手指爪床部も観察を行なったが, 健常人に対し, 毛細管係蹄数は非常に少なく, 透析後係蹄数の増加を見たが, 除水による浮腫の軽減により観察されやすくなったものか, 手指爪床部の微小循環動態の改善によるものか今後検討を進める必要がある。
  • 熊野 和雄
    1987 年 16 巻 2 号 p. 864
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • Kazuhito TOTSUNE
    1987 年 16 巻 2 号 p. 865-868
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    In order to study the relationship among the concentrations in inlet blood (CBi), inlet dialysate (CDi), and outlet blood (CBo), the experimental hemodialyses with and without ultrafiltration were performed in vitro using creatinine, vitamin B12, and albumin as test solutes. The data obtained gave the following equation: CBo=C1·CBi+C2·CDi where C1 and C2 were constants. This equation fits well in all cases regardless of molecular weight of the solute, difference in dialyzer membrane, or the existence of ultrafiltration. On inspection of dialyzer clearance and dialysance by this equation, it was proved that they were not constants but functions of CDi/CBi and dialysance could not be used in pool models except for the case without ultrafiltration. These results suggest that this equation is a law representing the solute transport in dialyzer, and C1 and C2 are the characteristic constants representing dialyzer performance.
  • 国友 哲之輔, 片岡 浩, 木村 睦, 下条 文武, 荒川 正昭, 小野 利彦
    1987 年 16 巻 2 号 p. 869-876
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析患者の長期合併症関連物質を見い出すべく, 腹膜類似の透過パターンを有する大孔径膜(BK)と従来の透析膜間で濃縮される血漿由来分画を, 分析的手法とbioassayを併用して調べた。その結果, 二膜間濃縮液からβ2-ミクログロブリンとマウスL細胞増殖阻害成分, K1, K2を分離した。一方, 手根管症候群の患者のアミロイド結節の主要成分としてβ2-ミクログロブリンを同定したので, β2-ミクログロブリンの蓄積挙動, 病因性, 除去法について検討を加えた。1) 健常者に比し, 患者の血中β2-ミクログロブリンは透析導入初期からすでに異常に(数10倍)高く, その後も微増する傾向にある。2) β2-ミクログロブリンは骨細胞MC 3T3-E1の増殖, 分化には影響を及ぼさないが石灰化のみを阻害する。これはアルミニウムの作用に酷似している。3) BKの連続使用により血中総タンパクを維持したまま血中β2-ミクログロブリンを低下させることができる。これらの知見は大孔径膜の臨床使用の有効性を示唆するものである。
  • 熊野 和雄, 南部 正人, 草刈 修一, 酒井 糾, 桜井 健治
    1987 年 16 巻 2 号 p. 877-880
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    各種血液浄化療法におけるβ2Mの除去能及びその血中濃度について検討を行った。HFではβ2Mの血中濃度はRP-6、PMMA共に著明な低下を示したが、これらβ2M除去の機序として前者では濾過、後者では膜吸着が主なものであった。合成高分子膜使用によるHDではβ2Mの血中濃度は約30%低下したがクプロファン膜によるHDでは変化なかった。CAPD患者ではCAPD液へかなりのβ2Mの除去が行われていた。HD, CAPD患者共に透析歴とβ2M血中濃度との間には弱い正の相関関係がみられた。又、β2Mの血中濃度にはわずかでも残腎機能が影響すると思われた。このように各種血液浄化療法ではβ2Mの除去能に大きな差があるにもかかわらず、その血中濃度には有意差を認めなかった。これらの事は慢性腎不全患者ではβ22Mの生成、分解等に複雑な調節機構が関与している可能性を示唆していると思われる。
  • M. SENJU, T. SUGIMURA, S. YAMAGAMI, H. YOSHIHARA, T. KISHIMOTO, M. MAE ...
    1987 年 16 巻 2 号 p. 881-884
    発行日: 1987/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液浄化法下にある患者の血清β2-microglobulin (β2-MG) の動態を各種ダイアライザー及びCAPDで比較検討を行った。その結果, CAPDでは, 血清β2-MG濃度は, 透析歴が短かいこともあるが, hemodlalysisや(HD)やhemofiltration (HF) と比較して有意に低値であった。HDとHFでは, 血清β2-MGの蓄積には, 治療期間, 血清クレアチニン, 各種ダイアライザーには関係は認めなかった。EVAL膜によるHDやsartoriusによるHFでは治療毎に除去されたが, 治療前の血清β2-MG濃度では差を認めなかった。しかしEVAL膜長期使用によって血清β2-MGの蓄積を抑制あるいは減少させる可能性が示唆された。一方cuprophan膜より析出するβ-glucanも現時点では, β2-MG産生に直接の因果関係はないと考えられた。
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