廃棄物資源循環学会誌
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35 巻, 6 号
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巻頭言
特集:廃棄物最終処分場の廃止判定をアップデートする
  • 山田 正人
    2024 年35 巻6 号 p. 371-375
    発行日: 2024/11/29
    公開日: 2025/01/28
    ジャーナル フリー

    (一社) 廃棄物資源循環学会 埋立処理処分研究部会は,2002年に発表した報告書「廃棄物最終処分場廃止基準の調査評価方法」の23年ぶりの改訂作業を進めている。この改訂作業において主な課題となった,埋立地ガスの調査評価方法と被覆型処分場の覆いの取り扱い,クローズド型最終処分場の廃止の形態についての論点を示した。最終処分場の廃止の元来の考え方に加え,廃棄物が地下にある土地の形質変更に関する規定の制定によって,廃止時における埋立地ガスの評価が有する意味が変化していることから,合理的で公平な廃止判断のために必要な課題および検討事項を提示した。また,クローズド型最終処分場の廃止において,覆いを含めた構造の長期的な機能確保を確認するために必要な措置や,散水の停止等管理方法の変化による保有水・浸出水の発生状況,および水質の変化への配慮等についても言及した。

  • 石森 洋行, 石垣 智基
    2024 年35 巻6 号 p. 376-384
    発行日: 2024/11/29
    公開日: 2025/01/28
    ジャーナル フリー

    廃棄物処理技術の進展や環境規制の変化により,最終処分場の評価ポイントも多様化している。焼却灰の埋め立てによる汚染物質の流出は,有機物分解によるものとは異なるため,新たな評価方法が求められている。現在,処分場の実態を反映した評価方法の見直しが行われており,浸出水の水質に関する判断基準も修正される予定である。本稿では,最終処分場における数十年にわたる浸出水水質の変化を紹介し,測定データの適切な管理が維持管理の効率化や経営に有益であることを示した。また,海面処分場の浸出水では高pHが数百年以上にわたって継続すると予想されるなかで,廃止に対する考え方を陸上処分場と比較しながら検討を行なった。

  • 長森 正尚
    2024 年35 巻6 号 p. 385-393
    発行日: 2024/11/29
    公開日: 2025/01/28
    ジャーナル フリー

    埋立地ガスは廃棄物最終処分場の維持管理基準に記載がないため,廃止申請にあたり新規に調査する場合が多く,施設管理者や分析業者は,測定のノウハウを蓄積できるほど経験を積む機会が少ない。(一社) 廃棄物資源循環学会 埋立処理処分研究部会は,20年以上にわたる調査結果から埋立地ガスの挙動や廃止の考え方を整理し,廃止のためのガス測定方法をできるかぎり一般化することを心掛けて報告書をまとめた。

     今回の改訂ですべてを解決できるわけではないが,廃止に向けたガス調査に対する理解が深まり,多くの処分場で調査が本格的に始まるであろう。報告事例の積み重ねが,廃止判定にかかる課題の抽出・解決を繰り返すことにつながり,処分場に関する科学的な理解や学術的な進展も期待される。

  • 吉田 英樹
    2024 年35 巻6 号 p. 394-400
    発行日: 2024/11/29
    公開日: 2025/01/28
    ジャーナル フリー

    廃棄物最終処分場を廃止するためには,廃止基準に規定された種々の項目の調査を実施する必要がある。埋立地ガスと埋立地温度は維持管理基準にないため,埋立終了後から調査する事例が多い。また,2002年発行の「廃棄物最終処分場廃止基準の調査評価方法」に基づき,廃止のための調査を実施している事例は多いと思われるが,公表される事例は多くない。埋め立てが終了した一般廃棄物最終処分場において,約10年間にわたり,埋立地ガスと埋立地温度を調査した事例を紹介し,まず経年変化や観測孔内の深さ方向の分布についての傾向を統計的な指標とともに示した。この調査は2024年に改訂中である「廃棄物最終処分場廃止基準の調査評価方法改訂版初稿」に示された調査評価方法にほぼ準じたものであった。その調査結果に基づき廃止基準の達成度を評価するとともに,埋立地ガスの成分と放出量の変動,埋立地温度の変動等を考慮した,長期的な調査が必要であることを示した。

  • 山口 直久
    2024 年35 巻6 号 p. 401-405
    発行日: 2024/11/29
    公開日: 2025/01/28
    ジャーナル フリー

    廃棄物学会 廃棄物埋立処理処分研究部会「廃棄物最終処分場廃止基準の調査評価方法」の初版発行当時と現在とでは,「廃止後の措置」の考え方は大きく変わっている。本稿では2002年の初版発行当時の考え方を整理するとともに,跡地形質変更制度の創設等,その後の廃棄物処理法改正等の経緯を整理した。2024年の改訂版初稿では跡地形質変更制度で定められた,廃止後に必要となる手続きを整理した。また,維持管理データの保管・継承等,対応が望ましい事項や,設備・構造物等の撤去および管理,廃止後の異常発生に対する対応を示した。これらへの対応は,あらかじめ土地所有者,埋立処分を行なった者,跡地管理者等で協議しておくことが望まれる。さらに,最終処分場の跡地利用に際し,注意すべき事項を整理した。

  • ―最新手法の導入によるフォローアップの高度化―
    平田 修, 橋本 くるみ, 石垣 智基, 加島 史浩
    2024 年35 巻6 号 p. 406-413
    発行日: 2024/11/29
    公開日: 2025/01/28
    ジャーナル フリー

    廃棄物最終処分場の跡地利用は,公園や運動施設,太陽光発電施設,市民農園等,多岐にわたる。通常,最終処分場は廃止が決定した時点で維持管理が終了し,跡地利用が始まるが,近年,この跡地利用時に可燃性ガスによる爆発事故が報告されており,廃止のための廃棄物の安定化状況の調査・評価が重要となっている。廃止判定には埋立地ガスや浸出水,内部温度が評価されるが,これらの指標だけでなく多面的な評価が必要と考える。「廃棄物最終処分場廃止基準の調査評価方法(2002年部会報告書)」では廃止後のフォローアップ指標を紹介したが,実際には廃止後に積極的に使用されることはない。「廃棄物最終処分場廃止基準の調査評価方法改訂版初稿(2024年部会報告書)」では廃止後ではなく廃止判定に向けたフォローアップ指標について,既存の評価指標(廃止後のフォローアップ指標)の情報更新とともに,現在オーソライズされている廃棄物の安定化状況を,評価可能なフォローアップ指標を追加して紹介する。本稿では特に新たに追加した項目について説明する。

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