ホルモンの妊娠成立阻止機構に関する研究は広く行なわれており, 特にprogestinの排卵抑制効果が注目されてきたが, 精子上昇のルートにある頚管粘液(CM)の意義も重視しなければならない. 著者は微量chlormadinone投与例(Pincus方式)につきCM性質のを蛋白化学的に, また臨床的に検討し, 総蛋白量の増加, 中間期におけるglobulin分画の増加とγ-G immunoglobulinの存在に意義を求め, またムコ多糖類の増加と, その成分であるgalactose, glucosamine, glucoseなどが量的に特異なパターンを示すことを認め, かかるCMでは精子の貫通性が明瞭に阻害されていることを知った. しかも排卵抑制率と避妊率との間には著しい差があるところから, 著者はchlormadinone微量投与により, 高率にみられる妊娠成立阻止効果の機序として, 排卵の抑制よりもむしろCMの変化を重視すべきであるとの結論を得た.
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