産婦人科の進歩
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54 巻, 2 号
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研究
原著
  • 椎名 昌美, 小畑 孝四郎, 星合 昊
    原稿種別: 原著
    専門分野: 研究
    2002 年 54 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/01/17
    ジャーナル 認証あり
    子宮腺筋症において免疫組織学的検討を行い,基底膜の細胞外マトリックスであるlaminin,type IV collagenの存在率,およびその破壊酵素であるcathepsin-D,matrix metalloproteinase-9(MMP-9)の陽性率とその局在について,子宮内膜癌および子宮内膜増殖症との比較検討を行った.基底膜におけるlamininの存在率は子宮内膜癌の高分化型腺癌で36.3%,中分化型腺癌で28.9%,低分化型腺癌で22.8%であった.子宮内膜増殖症においてもlamininの存在率の低下が認められ,その存在率は複雑型子宮内膜増殖症で96.5%,複雑型子宮内膜異型増殖症では69.3%であった.さらに子宮腺筋症においてもlamininの断裂や欠損が認められ,存在率は32.9%であった.また,type IV collagenの存在率は子宮内膜癌,子宮内膜増殖症ではlamininとほぼ同じであった.しかし,子宮腺筋症においてtype IV collagenの存在率は43.9%で,lamininより高率に認められた(p<0.05).cathepsin-Dの陽性率は高分化型腺癌で41.5%,中分化型腺癌で51.6%,低分化型腺癌で83.3%,子宮腺筋症で46.7%であった.MMP-9の陽性率は高分化型腺癌で20.0%,中分化型腺癌で25.0%,低分化型腺癌で40.0%,子宮腺筋症では80.0%であった.lamininとcathepsin-D,type IV collagenとMMP-9の局在に一致が認められなかったことより,基底膜の断裂や欠損は破壊により起こるのではなく,その細胞のもつ基底膜の産生能の差を示すものと考えられ,基底膜の産生能の低下,浸潤能の強さより子宮腺筋症の腫瘍性性格が示唆された.〔産婦の進歩54(2):71-79,2002(平成14年3月)〕
臨床研究
  • 佐久間 航, 後山 尚久, 明瀬 大輔, 荘園 ヘキ子, 中井 豪, 西山 浩司, 森嶌 祥子, 安田 勝行, 鈴木 佳彦, 植木 實, 大 ...
    原稿種別: 臨床研究
    専門分野: 研究
    2002 年 54 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/01/17
    ジャーナル 認証あり
     万病回春(産後門)に「産後一切の気血を調理する」と記載があるきゅう帰調血飲は,従来より「産後の肥立をよくする」とされている.われわれは子宮収縮,血中ヘモグロビン濃度,乳汁分泌および産後の精神状態について,その臨床的有用性を検討した.対象は正常分娩した171例である.分娩後にきゅう帰調血飲(6.0g/day)を投与したきゅう帰調血飲群(85例)およびエルゴメトリン(0.375 mg/day)を投与したエルゴメトリン群(86例)につき,分娩後1~6日目の子宮底長,血中ヘモグロビン濃度,体温,乳汁分泌量,および精神症状の有無につき比較した.また退院後1ヵ月までの悪露と乳汁分泌の状況,精神状態についても検討した.その結果,きゅう帰調血飲群はエルゴメトリン群に比較し子宮底長は分娩後1日目から短い傾向で経過,5日目(きゅう帰vsエルゴ:子宮底長8.9±2.4cm vs 10.5±2.7cm)に有意差が認められた(p=0.0071).血中ヘモグロビン値は,エルゴメトリン群では分娩後1日目に比べ6日目では-1.57±7.3%であったが,きゅう帰調血飲群では+4.6±7.2%であり,有意(p=0.0025)に回復していることがわかった.乳汁分泌はきゅう帰調血飲群にのみ分娩後1日目から観察され,平均分泌量は分娩後4日目からきゅう帰調血飲群がエルゴメトリン群に比較して有意に多かった(p<0.05).きゅう帰調血飲群ではエルゴメトリン群に比較し,分娩後の気分の落ち込み(きゅう帰vsエルゴ:35.0% vs 72.4%)と焦燥・不安感(きゅう帰vsエルゴ:40.0% vs 62.1%)が有意差はないが少ないことがわかった.産後1ヵ月では,有意差はないもののエルゴメトリン群ではきゅう帰調血飲群に比べ悪露が気になる例や人工乳栄養が多かった.きゅう帰調血飲群において薬剤による副作用と思われる症状の発現はなかった.今後さらに症例数を集積させ,詳細を検討する必要があるが,きゅう帰調血飲は少なくとも分娩後の心身の回復に良好な臨床的効果を有することが判明した.〔産婦の進歩54(2):80-86,2002(平成14年3月)〕
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