産婦人科の進歩
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49 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 江國 豊
    1997 年49 巻3 号 p. 171-179
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    HTLV-1の母児感染防止のための凍結解凍処理(-20℃,12時間凍結後自然解凍)母乳哺育法を検討した.凍結解凍処理母乳の全リンパ球は死滅していた.非キャリアのリンパ球とキャリアの未処理母乳リンパ球との混合培養でHTLV-1抗原陽性細胞は5--40%認められたが,処理母乳との培養では0.1%未満であった.哺育法別の児の追跡調査では(生後24ヵ月),血中iJンパ球の抗原陽性症例はキャリア母乳哺育児で31例中24例,人工乳哺育児で108例中6例,処理母乳哺育児で33例中0例であった.これらの成績から,キャリア母乳の凍結解凍哺育法はHTLV-1の母児感染防止にきわめて有用であることが示された.〔産婦の進歩49(3);171--179,1997(平成9年5月)〕
  • 後藤 栄, 山出 一郎, 石川 弘伸, 林 嘉彦, 高倉 賢二, 野田 洋一, 藤宮 峯子
    1997 年49 巻3 号 p. 180-192
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    マウス胚のinvitro発生停止の原因を明らかにする目的で,受精後の第一,第二細胞周期における胚の超微形態・ミトコンドリア(MT)の挙動・構造ならびにATP量について検討した.過排卵処理マウスから排卵卵子を回収・媒精し,受精卵を実験に供した(vitro胚).ローダミン123染色と共焦点レーザー顕微鏡(CLMS)を用いたMTの胚内分布の観察,透過型電子顕微鏡(TEM)による超微形態の観察,ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応によるATP量の測定を経時的に行い・さらに5-bromo-2・-deoxy。uridine(BrdU)によるS期の同定を行い,vivo胚と比較した.vitro胚では受精卵の99%が2細胞期で発生停止した.vivo胚,vitro胚ともにMTは細胞周期にしたがって胚内を移動し,vitro胚では変性MTの経時的増加が認められた.胚内ATP量はvivo胚では時間経過にしたがって減少するのに対し,vitl'o胚では増加傾向を認めた.2細胞期vitro胚ではBrdU陽性細胞が74.8%を占め,超微形態学的にM期の特徴的所見は認めず,CLMS下でM期直前に特徴的な細胞膜直下のMT集合像がhCG投与66時間後の胚の54.3%に認められ,vitro胚では主として第二細胞周期S期以降M期直前に発生停止しており,MTが形態学的に障害を受けていることがことが明らかとなり,さらに細胞内ATP量の維持機構も破綻していることが示された.〔産婦の進歩49(3);180~192,1997(平成9年5月)〕
  • 石川 弘伸, 高倉 賢二, 山出 一郎, 林 嘉彦, 後藤 栄, 廣瀬 雅哉, 野田 洋一
    1997 年49 巻3 号 p. 193-204
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    着床の過程で重要な役割を果たす子宮内膜問質細胞(ESC)の脱落膜化の現象を解析するために・マウスにおけるinvitro脱落膜化モデルの作製を試みた.未熟マウスよりESCを回収・培養し,培養液中にestradio1(E,0.1nM),progesterone(P,100nM)を加え,脱落膜化を誘起した.EとPの添加により,ESCは紡錘形から円形の大型細胞へと変化すると同時に,脱落膜蛋白の1つであるデスミンの産生能を有するに至った.また細胞質内には粗面小胞体の発達を認め,高い蛋白合成能を有する細胞に変化したことが示唆された.これらの変化は妊娠脱落膜細胞で観察されるものと同様であり,ヤウスにおけるinvitro脱落膜化モデルの作製に成功したと考えられた.〔産婦の進歩49(3);〕
  • 神田 雅俊, 望月 眞人, 山崎 峰夫, 森川 肇
    1997 年49 巻3 号 p. 205-211
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    正常および妊娠中毒症における胎盤での各種一酸化窒素合成酵素(NOS)発現を,蛋白およびメッセンジャーレベルで比較検討した.ウエスタンプロット法にてe(endothelia1)NOS蛋白を検出し・正常では強く発現していたのに対し妊娠中毒症では有意に発現が弱かった.免疫組織染色では,両者とも同一部位からの局在したeNOS蛋白発現を確認し,ノーザンプロット法にてeNOSmRNAを解析したが,両者間に明らかな差異は認められなかった.またいずれの胎盤でもinducibleNOS,neuronalNOSの蛋白は検出されなかった.以上より,胎盤におけるeNOS発現障害に伴うNO産生障害が,妊娠中毒症の病態生理に関与する可能性が示唆された.〔産婦の進歩49(3);205~211,1997(平成9年5月)〕
  • 須藤 保, 丸尾 原義, 上田 康夫
    1997 年49 巻3 号 p. 212-217
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    われわれは妊娠初期に下肢深部静脈血栓症およびそれに起因したと考えられる肺塞栓症を発症し,止むを得ず妊娠中絶に至った症例を経験した.深部静脈血栓症は,一般に産褥期に多い合併症と考えられているが,リスクファクターを有する場合は,妊娠初期からの注意深い観察が必要であり,発症が疑われた場合にはヘパリン療法の積極的な選択が考慮されるべきであると思われた.〔産婦の進歩49(3);212~217,1997(平成9年5月)〕
  • 山出 一郎, 高倉 賢二, 田村 和也, 石河 顕子, 廣瀬 雅哉, 和久田 晃司, 野田 洋一
    1997 年49 巻3 号 p. 218-221
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    患者は37歳女性,2回経妊,0回経産で,主訴は過多月経.1995年4月23日近医受診時,超音波断層法にて子宮筋層に径2.5cm大の嚢腫を認め,血清CA125の値は41U/m1であった.3ヵ月後,嚢腫径は2倍となり,新たに別の嚢腫も認められた.患者は同年6月20日当科に紹介入院し,MRI画像診断にて病変は子宮前壁に発生した鏡面形成を伴う2つの出血性?胞と考えられた.また,血清CA125値は89U/mlに上昇していた.術前診断を嚢胞性子宮腺筋症とし,同年6月27日開腹術を施行.子宮前壁縦切開により核出した嚢腫内容はチョコレート様の古い血液であった.病理組織所見では嚢腫壁に子宮内膜様間質と上皮を認め,悪性所見はなかった.子宮筋層の?胞性病変に遭遇する機会はまれだが,鑑別すべき疾患は多彩である,?胞性変化を呈した子宮腺筋症の文献的報告例は少なく,その多くは卵巣嚢腫や筋腫の変性を術前診断としており,正確な術前診断を得ることは容易ではない.今回われわれはMRI画像診断により術前に嚢胞性子宮腺筋症と診断できた症例を経験し報告した.〔産婦の進歩49(3);218--221,1997(平成9年5月)〕
  • 八木 治彦, 小西 郁生, 万代 昌紀, 松下 克子, 片岡 信彦, 今井 公俊, 南口 早智子, 山邊 博彦, Hirohiko YAMA ...
    1997 年49 巻3 号 p. 222-226
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    卵巣表層上皮性腫瘍がα一fetoprotein(AFP)を産生することはきわめてまれであるが・最近・AFP産生性の卵巣類内膜癌を経験した.患者は72歳,左卵巣に多房嚢胞性,一一部充実性の腫瘤を認め,肺・肝には多発転移巣があり,血清AFP値が431ng/mlと上昇していた.両側附属器摘除術および単純子宮全摘除術を施行し,術後血清AFP値は193ng/mlまで低下した.術後,白金製剤を中心とした化学療法を行ったが奏功せず,患者は術後6ヵ月にて原病死した.病理組織学的には,左卵巣腫瘍は子宮内膜癌に類似し,卵黄嚢腫瘍を示唆する構造は認められず,卵巣類内膜癌と診断された.免疫組織学的検討にて,類内膜癌細胞はAFP陽性であり,類内膜癌細胞からのAFP産生が示唆された.〔産婦の進歩49(3);222--226,1997(平成9年5月)〕
  • 1997 年49 巻3 号 p. 227-274
    発行日: 1997/05/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
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