概要原発性卯管癌は婦人科悪1生腫瘍のなかで比較的まれな腫瘍である.過去10年聞において,われわれも3症例の原発性卵管癌を経験した.同時期の婦人科全悪1生腫瘍に占めるその頻度は0.70%(3/430)であった.患者の年齢は49~69歳で,いずれも経産婦であった.主訴は下腹部痛または不正性器出血であった.術前診断は卵巣腫瘍が2症例,卯管癌が1症例であった。進行期分類(FIGO,1991年)によると,stageIaが1症例,IIIcが2症例で,早期発見の困難さを反映した結果と判断された。血中腫瘍マーカーでは,進行例におけるCA125値の上昇が特徴的であった.術後化学療法にはCDDPを中心とする化学療法を行ったが,全症例でその有効性が確認された.以上より,頻度はまれではあるが,下腹部痛や不正性器出血を主訴とする付属器腫瘍の患者においては,卵管癌の存在も念頭に置く必要性があると考えられた.〔産婦の進歩48(3);177~!82,1996(平成8年5月)〕
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