産婦人科の進歩
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25 巻, 6 号
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  • 東山 敏子
    1973 年 25 巻 6 号 p. 599-629
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    胎仔肝においては, 肝自体の急速な発育増殖とともに造血機能, glycogen あるいは脂質の代謝, 胆汁分泌等の複雑な機能を営み, 出生後には哺乳により供給された栄養源の利用のための重要な役割を果しており, 殊に胎生末期には glycogen が急速に蓄積され, 分娩後には速やかに消失することが知られている。そこで白鼠を用いて胎仔および新生仔の肝実質細胞 (以下肝細胞) についてその微細構造の逐日的変化, 特に出生前後における glycogen の消長と細胞小器官の変化との関係を電子顕微鏡 (以下電顕) 的に研究し, もって肝細胞の体外生活への順応機序を明らかにするべく本研究を行なった.
    胎生第13日で肝細胞はすでに糸粒体や内腔がやや拡大している小胞体などの小器官に富み, 毛細胆管も明らかで, 何らかの活発な機能を営んでいることが推察された.
    glycogen は胎生第17日より認められ, 胎生第19日より著増して巨大な glycogen 野るとなるが, その形成には粗面小胞体が糸粒体に密接して豊富なエネルギーの供給を受けながら ribosome とともに関与しているものと思われた.
    出生直後から出生後第12時間の間に glycogen 野は急速に消失し, 生後まだ十分でない哺乳に代っての重要なエネルギー源と考えられるが, この glycogen の動員には内腔の開大した粗面小胞体, lysosomal body, glycogenosome などが関与しているものと思われた.
    哺乳が活発となると肝細胞には glycogen が再出現するが, これには再び層状となった粗面小胞体および滑面小胞体が協同して関与するものと思われた. またこれと同時に, 細胞の基質に明暗の区別がみられ, かつ glycogen, 脂質顆粒, 糸粒体と小胞体, あるいは小形で不整形の好 osmium 顆粒をそれぞれ主とし, あるいはその混合形など5種類の細胞がみられ, 各細胞により異なる機能状態を呈し, 哺乳により供給された栄養源の利用に適応した機能分化の像が明らかにされた.
  • 原田 攻
    1973 年 25 巻 6 号 p. 631-653
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    走査型電子顕微鏡により, 成熟婦人と閉経後婦人の子宮頚管被覆上皮の表面微細構造を観察したところ, 次のような所見を得た.
    1) 子宮頚管被覆上皮には, 線毛細胞と無線毛細胞の二種類がある.
    2) 線毛細胞はごく少くて, その分布状態は均等ではなく, 細胞自体の周期性変化は認められなかった.
    3) 大部分は無線毛細胞であり, 頚管粘液分泌の主体をなすと考えられた. その遊離面の突出の程度と microvilli は分泌活動と密接な関係があり, しかも月経周期に伴う一定の形態的変化が確認された.
    4) 子宮頚管被覆上皮の分泌様式には, アポクリン分泌とメロクリン分泌の二種類があり, 分泌は月経周期中間期に最も活発で, その主役はアポクリン分泌細胞であることが分った.
  • 金沢 精一, 丸尾 猛, 三上 勝信, 坂上 あけみ, 東條 伸平
    1973 年 25 巻 6 号 p. 655-664
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    絨毛性腫瘍の管理は, 本腫瘍の特異性から考え, 常に prospective な態度でその病像を診断し, 適切な治療法をみい出して行くことが必要であり, hCG動態の検索が本腫瘍の病像把握の一つの有力な指標となっている.
    現在, 高単位hCGの簡易測定法としては, 赤血球凝集阻止反応を応用した UCG-titration set が, また一方, 低単位測定法としては, 赤血球凝集反応を応用した Higonavis が開発されており, これら二者を組み合わせれば, 容易かつ迅速にすべてのレベルのhCGを簡易半定量できる. そこで著者らは, これらの組み合わせ方式により, 絨毛性腫瘍管理の妥当性と有用性を radioimmunoassay による測定成績との対比から検討した.
    その結果, 奇胎娩出後順調な経過をたどった症例では, 奇胎娩出後3週以内に UCG-titration set による測定で血清中hCGは2,000IU/l以下となり, 更に9週目以内には, Higonavis による測定で尿中hCGは80IU/l以下と下垂体性LHレベルに戻ることを認めた. つまり, 奇胎娩出後の続発性変化を予知する上で, 奇胎娩出後3週目の時点において UCG-titration set による測定で血清中hCGが2,000IU/l以下の値を示すか否かが第一のチェックポイントとなり, 次いで奇胎娩出後9週目の時点において Higonavis による測定で尿中hCGが80IU/l以下の値を示すか否かが第2のチェックポイントとなると考えられる.
  • 川合 謙造
    1973 年 25 巻 6 号 p. 665-677
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    妊娠中の脂質代謝に関して未だ明確ではなく, またこれを触媒する酵素群については諸家の報告は様々で一定の見解は未だない.
    そこで著者は脂質代謝に関連の深い血清中 esterase を, 母児の関連において isozyme の面から追跡した.
    ヒト血清 esterase は5本の活性泳動帯に分離され, 母体血清と臍帯血清の間に esterase isozyme 活性ならびにその isozyme pattern の易動度に差異を見い出した.
    total 活性は, 妊娠月数に伴って上昇し, 分娩後2~3週間以内に正常レベルに戻った.
    5ヶの isozyme の内の1つは, 妊娠の進行とともにその易動度を増加させ, この易動度の増加と, 残りの isozyme 群の活性は関連していることが推測された.
    第一報において妊娠時の血清 esterase isozyme の質的量的動態について報告したが, これらの isozyme の変動の臨床的意義は未だ不明である.
    そこで, 諸種内分泌疾患を有する患者血清との比較, 酵素蛋白質の生化学的および電気泳動的特性について検討し, これらの結果から isozyme pattern の変動は, 甲状腺機能と密接に関係を有することを示唆した.
  • 卜部 宏
    1973 年 25 巻 6 号 p. 679-683
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    ある術式を初心者が見習って自分のものにするには, より理論的に検討することにある. 子宮頚癌手術の手順で問題点と考えたのは, (1) 基靱帯処理におけるトンネル作製の時点, (2) 膀胱子宮靱帯後葉の処理の時点, (3) 植物神経の処理の時点 (基靱帯の処理と仙骨子宮靱帯-直腸腟靱帯の最も有効な剥離切断の時点) の3ヵ所である. これらの点について症例検討をした. 術後成績を考慮しなければならない場合, 術後管理との関連性を十分考慮しなければならないことを考慮して術後疼痛の消失の努力の効用を検討した. すなわち術後疼痛を消失させる努力は一時的には, 集中看護が必要となり看護側から見れば大変な一面があるが, 早く看護が楽になる利点は大きい. そのためにドロレプタン, ペンタジン, ヒルナミンの時間注射方式を確立した. この方式によれば24~48時間の疼痛感覚は消失する. それにも拘わらず患者は応答したり, 食事をしたりできる利点がある. この結果, 術後の患者の精神環境を不安の少ない明るい精神環境に導き易いように思う.
  • 卜部 宏
    1973 年 25 巻 6 号 p. 685-686
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
  • 植木 実, 菊田 正文, 浜田 紘一郎, 辻井 清重, 平井 博
    1973 年 25 巻 6 号 p. 687-690
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    コルポ診において血管像はその主要な所見である. われわれはその意義を知るべくコルポ診における血管像の観察と摘出子宮組織におけるアルカリフォスファターゼ染色による血管を比較検討し, さらに腟部表面における血管の可視深度をも検索した.
    その結果, アルカリフォスファターゼ組織染色所見からはコルポ診で観察される血管像の組織的背景を明らかにし得た. また血管の可視深度はコルポ診の良性所見より悪性所見になるにつれて浅くなる傾向を認めた.
    それらの成績からコルポ診における血管像は重要な診断的価値を有するものである. しかしコルポ所見として血管像のみを単独所見として挙げるのではなく, 上皮所見と併せてこそ意義があると考える.
  • 西川 義雄, 池本 正則, 森山 郁子, 板橋 武彦, 下里 直行, 竹井 啓裕, 中野 義一, 上羽 捷之, 石橋 尚武
    1973 年 25 巻 6 号 p. 691-696
    発行日: 1973/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
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