近畿地区の32の大学および総合病院を対象として, 昭和49年, 50年の2年間における糖尿病妊婦の調査を行った. 総分娩数は49041, 糖尿病妊婦は198例(0.4%), これをWhiteの分類に準じ分類すると, class Aは135例(0.27%), class B以上の真性糖尿病は63例(0.13%)である. 糖尿病妊婦のうち糖尿病遺伝歴を有するものは34.5%を占め, 妊娠合併症では妊娠中毒症が最も高頻度で30.8%占めたが重症例は2%にすぎない. 糖尿病妊婦に特有な, 羊水過多症, 低血糖症, アチドーシスは極めて少なかった. 児の周産期死亡は3.5%であり殊に生後死亡は1例に止まった. 巨大児は19.7%と高率であるが, 奇形児は1%にすぎない.
以上より日本人には重症糖尿病が少ない為, 妊婦管理が充分に行われた場合, 合併症は重症化することは少なく, また児異常, 周産期死亡も低い事が判った. 然し産褥に於て母体の病状が好転するものは38%にすぎず, この点今後留意すべき6ある.
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