産婦人科の進歩
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31 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • ―実験的SFDラットを用いて―
    中西 彰
    1979 年 31 巻 6 号 p. 593-606
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    SFD児の長期予後の展望のために, ラットにactinomycinDとmicrospheresを用いてSFDを作成し, その発育と, 経胎盤および経哺乳受動免疫(血中IgG値, IgG移行動態, IgG receptor function)や細胞性免疫能(微量全血培養法)の関連を, 胎生期から新生仔期にわたり詳細に検討した.
    その結果, 受動免疫は胎盤形成期の障害で最も大きな抑制を受け, この場合はIgG rcceptorの機能低下も認めた. 細胞性免疫能は胎生期の広い範囲での障害の影響を受けるが, やはり妊娠中期の異常環境により最大の機能低下を来たした. 以上の結果より, SFD発症因子の一部は, 周産期免疫不全状態を惹起する事が示唆され, 母体疾患のない重症SFD児の長期管理に, 新しい問題を提起するものである.
  • 坪本 哲
    1979 年 31 巻 6 号 p. 607-617
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    妊娠中並びに産褥期に至る乳房温度の変化を追及することによって, 乳汁産生機能良・否の予測と, その治療面の検討を行なった.
    医用サーモビュアとJEC 980 A型ミニコンピューターとを連結し, 指定乳房領域内の温度を求めるほか, それを記号で表示できるようにした.
    1. 乳房温度は妊娠初期より末期にかけて上昇する.
    2. 乳房温度は授乳前より授乳後に高い.
    3. 妊娠37週以降の乳房温度と産褥期乳汁分泌量との間に相関がみられ, 乳汁分泌量が予測しうる.
    4. 妊娠中の乳房温度から予測し得た分泌不良群に対して, 妊娠末期にα-tocophery lnicotinateを投与する方法を考案した. これにより, 最も優れた泌乳効果が得られた.
  • 吉田 益美, 北川 道夫, 安藤 暢哉, 下村 虎男
    1979 年 31 巻 6 号 p. 619-625
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病診断にはGTTと血中insulin(IRI)反応が一般に用いられているが, insulin治療中の糖尿病患者では抗体が障害となり, C-peptide(GPR)反応が糖尿病治療の有力な指標となる. 今回我々は昭和52年4月から8月までの期間insulin治療中の糖尿病妊婦を除く尿糖陽性妊婦三親等以内に糖尿病患者を有する妊婦, 4, 000g以上の巨大児を分娩した妊婦, 対照として婦人科術前患者等, 計115例に対して50gOGTTを早朝空腹時に行ない, 糖負荷前, 負荷後30分, 60分, 120分に血糖とCPRを測定した. その結果, 次の如き成績を得た,
    1. CPR反応の頂値はGTT正常型では60分に, 境界型では60分, 120分に, 糖尿病型では120分に多く, 糖代謝異常が進むにつれてCPR反応は遅延上昇型を示した.
    2. ΔCPR/ΔBSの30分値と60分値の比較により標準偏差がより小さく, 判定不能例も少ない30分値を採用すべきである
    3. ΔCPR/ΔBS30分値は各対象群とも同様に, GTT正常型と境界型は分離できず, 境界型と糖尿病型との間で明確に分離され, ΔCPR/ΔBS30分値の0.07を糖代謝異常の判定基準と設定した.
    4. CPR反応には各対象群に特微的な傾向は認められなかった.
    5. 今回のCPR反応の測定に際して同時に行なったIRI測定と対比した. 糖負荷後30分におけるΔCPR/ΔBS値とΔIRI/ΔBS値を比較すると, 両者はY-12.4X-0.051相関係数0.768と良い相関を示した.
  • 生田 直行, 岡村 均, 鈴木 瞭, 西村 敏雄
    1979 年 31 巻 6 号 p. 627-634
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    Bモード電子スキャン超音波断層法を用い典型的な, 漿液性嚢胞腺腫, ムチン性嚢胞腺腫, チョコレート嚢腫, 類皮嚢胞腫, 卵巣線維腫, 卵巣甲状腺腫, 漿液性嚢胞腺癌, クルケンベルグ腫瘍, 腹膜偽粘液腫と診断された卵巣腫瘍症例および卵管癌において, その術前の悪性度の診断の可能性について検討した.
    本法は, 膀胱充満法, 感度断層法を行なう事により各腫瘍に特徴的な超音波断層像が得られ, 特に部分的に悪性化を疑わしめるような嚢胞性腫瘍おける壁の比較的軽度の変化を取らえることが可能であり, 術前に卵巣腫瘍の悪性度をある程度予測するのに有効であった.
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