バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
25 巻, 1 号
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解説
  • 村井 正
    原稿種別: 本文
    2001 年25 巻1 号 p. 5-9
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    1961年人類初の宇宙飛行が実現してから40年が経過した.SF映画「2001年宇宙の旅」が公開されたのは1968年のことであり,映画の中で描かれた宇宙での活動は,2001年を迎えた現在,大半は未だ実現していない.しかし過去40年間の有人宇宙開発の進歩は着実なものであり,現在日本も参加して国際宇宙ステーションが建設中である.数年以内に日本人宇宙飛行士による宇宙ステーション常駐が開始される見込みとなっている.本稿では,過去40年間の有人宇宙開発の歴史を概観し,今後の方向性について論じた.
  • 谷島 一嘉
    原稿種別: 本文
    2001 年25 巻1 号 p. 10-13
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    建設中の国際宇宙ステーションから2014年ごろの火星有人飛行において,長期無重力暴露に起因する循環や骨筋肉系の退化,カルシウム喪失が大きな問題になる.現在の対策ではなお十分でなく,人工重力のみがこれらを網羅できる対策であると,19世紀から考えられているものの,地上での実験と有効性の検証が遅れている.人工重力研究の国際的WGは1990年頃始まったが,我々は将来の重要性を見越して当初から独自の小型短腕遠心機を開発して研究を続けていた.無重力暴露のの地上模擬実験である6度ヘッドダウン臥床を4日間行い,世界で研究者が抑えきれなかったヘマトクリット値の上昇を,毎日+2Gz-60分の遠心負荷をかけて,初めて抑えることが出来た.遠心負荷の有効性を改めて示し,宇宙で試されるべき人工重力の一つの有力なパラメータを提供した.
  • 大島 博, 水野 康, 渡辺 友紀子, 関口 千春
    原稿種別: 本文
    2001 年25 巻1 号 p. 14-17
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    西暦2000年11月より国際宇宙ステーションにおける長期宇宙滞在が開始され,人類の宇宙環境利用の新しい時代が開始した.人類が重力から開放され宇宙の微小重力に滞在すると様々な生理的変化が生じる.とりわけ骨・カルシウム代謝は滞在月数とともに進行し,骨量減少や尿路結石などの問題を惹起するため,健康管理上大きな課題となる.本稿では長期宇宙滞在における骨量減少,骨代謝マーカー,カルシウム代謝,および脊柱への影響に関する最新の知見をまとめて紹介する.
  • 岩瀬 敏
    原稿種別: 本文
    2001 年25 巻1 号 p. 18-23
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    微小重力曝露後における起立耐性低下の原因として,血管運動神経(筋交感神経活動,MSNA)の調節変化がある.本活動を1.放物線飛行2.乾水浸3.ベッドレスト4.ニューロラブ実験による微小重力(μG)曝露の,前,中,後で記録した.結果:1.μG時にはMSNAが抑制された.2.乾水浸後のMSNA基礎活動は増加したが,反応性は無変化だった.3.ベッドレスト後のMSNA基礎活動は亢進した.4.打ち上げ前のMSNAに比較して,飛行12, 13日目の活動は増加,帰還後の発射活動はさらに増加したが,起立負荷による反応性には変化がなかった.結論:μG曝露後のMSNAは,曝露直後には座位,立位時と比較して抑制されるが,次第に増加に転じ,亢進することが観察され,これらの変化が起立耐性低下に関与することが示唆された.
  • 福永 哲夫
    原稿種別: 本文
    2001 年25 巻1 号 p. 24-28
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    宇宙などの無重力環境下では骨格筋に対する物理的負荷が低下し,筋が萎縮する.日本人宇宙飛行士の下肢筋量を宇宙飛行前後で比較すると,1日約1%の減少が観察された.とくに膝伸展筋及び足底屈筋といった抗重力筋にこの傾向が強かった.これらの筋は日常生活を営む上での主働筋であることを考えると,宇宙での長期滞在は宇宙飛行士の健康管理上重要な意味をもつ.そこで宇宙における筋萎縮を予防するための適切なカウンターメジャーの開発が期待される.我々はベッド安静中に膝伸展/股伸展をくりかえすレジスタンストレーニングを実施した結果,筋萎縮を防止することが確かめられた. 以上のことから,宇宙滞在は著しい筋萎縮(特に抗重力筋)を引き起こすこと,その予防策としてはレジスタンストレーニングが効果的であることが確かめられた.
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