微小重力曝露後における起立耐性低下の原因として,血管運動神経(筋交感神経活動,MSNA)の調節変化がある.本活動を1.放物線飛行2.乾水浸3.ベッドレスト4.ニューロラブ実験による微小重力(μG)曝露の,前,中,後で記録した.結果:1.μG時にはMSNAが抑制された.2.乾水浸後のMSNA基礎活動は増加したが,反応性は無変化だった.3.ベッドレスト後のMSNA基礎活動は亢進した.4.打ち上げ前のMSNAに比較して,飛行12, 13日目の活動は増加,帰還後の発射活動はさらに増加したが,起立負荷による反応性には変化がなかった.結論:μG曝露後のMSNAは,曝露直後には座位,立位時と比較して抑制されるが,次第に増加に転じ,亢進することが観察され,これらの変化が起立耐性低下に関与することが示唆された.
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