バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
48 巻, 4 号
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解説
  • 武石 陽子, 吉田 美香子
    2024 年48 巻4 号 p. 163-168
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    妊娠中のおよそ10か月間の妊婦の身体の中では,胎内で子どもを育てるため,様々な身体機能の変化が起こり,時に 妊婦にとって不快な症状をもたらす.本稿は,様々な専門領域の視点から,“異常”ではないが妊婦特有の不快症状(マイナートラブル)の解決策を考えてもらう一助となるべく,妊婦の身体機能と生活への影響を解説する.初めに,マイナートラブルとして,易疲労感・全身倦怠感・眠気,つわり,腰背部痛を取り上げ,そのメカニズムを概説する.また,胎内で成長する胎児の身体機能の発達,現状の胎児の健康チェックの限界と解決したい課題の一例について述べる.最後に,様々な症状を抱えながらも,妊婦が元気に楽しく日常生活を送るための,テクノロジーを用いた支援の一例を紹介する.
  • 吉田 美香子
    2024 年48 巻4 号 p. 169-174
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    妊娠や経腟分娩により骨盤底筋の形態的な損傷や弛緩,収縮機能の低下といったことが起きる.近年は高齢出産や無痛分娩が増加しており,骨盤底筋の機能低下を有する産後女性が増えることが予想される.骨盤底筋の形態,収縮機能の評価ができる機器や手法が開発されてきていることから,妊娠・分娩の骨盤底筋機能への影響に関するより深い理解や,機能回復を目的とした効果的なリハビリテーションができるようになる可能性がある.そこで本論文では,骨盤底筋機能の本来の役割や妊娠・出産の影響を概説した後,骨盤底筋機能の評価法と骨盤底筋リハビリテーションについて紹介する.
  • 金沢 星慶
    2024 年48 巻4 号 p. 175-181
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    ヒトの運動機能の獲得メカニズム理解や発達過程に生じる運動障害に対する早期介入や支援の必要性から,発達初期 の運動機能については動物実験や詳細なヒト乳児の観察研究を通して古くから研究が進んでいる.さらに,近年のAI技術やヒューマンロボットインタラクション,その他の計測技術の発展により,新生児や乳児にも適応可能と考えられる技術が増加している.そのため,これらの技術は実際に新生児や乳児に施行されている早期の介入や支援への技術応用可能な余地があるといえる.本稿では,近年発展した技術の発達初期における積極的活用に向けて,主に新生児期の運動機能に関するバイオメカニズムの特性や捉え方について解説する.
  • 小林 佳雄
    2024 年48 巻4 号 p. 182-188
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    寝返りは生後初めて行う能動性を伴った全身運動である.それまで能動的な環境移動の経験がない乳児が,複数の身体部位を制御しなければいけない際,どのようにして全身運動を獲得しているのであろうか.寝返りは,その後獲得される四つ這いや歩行などの移動運動よりも先駆けて出現する運動である.したがって,寝返りの運動制御を理解することは,発達初期のヒトが環境における柔軟な全身運動をどのように獲得しているか理解する上で,その機序解明に寄与することが期待される.本稿では,これまでに明らかにされてきた乳児寝返りの生体力学的特性や寝返り計測の現在地,臨床応用に向けた今後への展望について概説する.
  • 山下 和彦
    2024 年48 巻4 号 p. 189-195
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    子どもの足部は発達により3次元的な構造に変化する.特に内側縦アーチを構成する中足部の発達が重要となる.本研究では,足部骨格3D計測システムを開発し,子どもの足部骨格の評価指標を構築した.本解説では,子どもと大人の足部特性の比較,追跡研究による足部特性の変化に言及した.追跡調査の結果,11-12歳時において,舟状骨高,舟状骨高/足長が8-9歳時よりも下回っている群が男子で76%,女子で46%存在した.その要因として舟状骨の高さが下がるだけではなく,回内により内側に倒れるように変化したことがわかった.子どもの足部骨格の評価は舟状骨などの3次元的な変化を解析することが将来の関節疾患予防には重要と考える.
研究
  • 羽場 俊広, 鈴木 光, 漆畑 俊哉
    2024 年48 巻4 号 p. 196-203
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,大腿セグメントの定義の違いが着地時の膝関節内外反角度に与える影響を明らかにすることである.健康な女子大学生 25名を対象とし,高さ 30 cmの台から外側方向への片脚着地動作を解析した.膝関節内外反角度を Plug-in Gaitの基準( PiG条件)と大腿骨内外側上顆に貼付したマーカーを基準( TEA条件)の 2種類の大腿セグメントで算出し,二次元(前額面)および三次元角度を比較した.二次元角度では異なる大腿セグメント間で類似した変化を示したが,三次元角度では PiG条件と TEA条件で類似した変化を示さず,膝関節の運動方向が異なった.大腿セグメントの定義により出力される膝関節内外反角度が異なることが示され, PiG条件では膝関節屈曲に伴うクロストークが発生しやすいことが明らかとなった.
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