バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
31 巻, 1 号
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解説
  • 平尾 章成
    2007 年31 巻1 号 p. 2
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
  • 野呂 影勇
    2007 年31 巻1 号 p. 3-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    従来,椅子の研究が脊椎重視で,その結果椅子の開発が背当て重視となっていた. 本稿では、座面重視の椅子開発を提案する.背景として,日本の古来の座法があることが述べられる.まず,腰椎前彎の平坦化の病理学的な問題についてのKeeganの理論とその理論に反する研究やエビデンスについて述べる.次いで 座面を中心とした椅子設計指針を述べる.すなわち骨盤傾斜角度,体圧分布の最適化,大臀筋とほぼ一致するコンフォートゾーンと座面との関係の調整,そして最後に臀部形状の測定・評価について述べる.最後は,臀部形状の測定・評価である.これは,あとがきにも触れる椅子の工法と密接な関係がある.具体例として高機能座面を提案する.
  • 廣瀬 秀行
    2007 年31 巻1 号 p. 8-11
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    障害者・高齢者の座位の問題はバイオメカニズムの観点から解釈できることを示した.同時に椅子製作過程におけるデザイン手法としてマット評価について解説した.
  • 白石 光昭
    2007 年31 巻1 号 p. 12-16
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    日本におけるオフィスの歴史は,戦後から始まったと考えてよい.そのオフィスに大きな変化が見られるようになってきたのは,オフィスオートメーション(OA)が始まった1980年頃からである.その中で,事務用椅子もOA化の影響を受けて,変化が始まった.その変化の中心は,座る人の姿勢変化への対応を向上させることである.具体的には,背もたれの傾斜機構から座と背もたれの連動傾斜機構へ,そして座や背もたれの素材による対応へと変化し,その対応度を向上させてきた.本稿では,仕事の場において最もよく使用する事務用椅子について,戦後から現在までの変遷を,人間工学的視点を中心に俯瞰し,解説していく.
  • 北崎 智之
    2007 年31 巻1 号 p. 17-21
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    自動車などの乗り物による移動における「座」に求められる性能の一つに乗り心地性能がある.乗り心地性能評価は,振動データ計測とそれを感覚量に変換する定量化プロセスから構成される.データ計測については,フロアやシートなど人間~車両インターフェースにおける人体入力振動を計測する.このとき人体が単なる質量体ではなく,振動系として挙動することを考慮することが重要である.定量化手法については,British Standard6841などで規定されている手法を用いることで,快/不快の一次元尺度上での指標化を行うことができる.実際の自動車の乗り心地性能評価においては,さらに細分化された周波数に依存した様々な振動感覚の定量化が行われており,対応する様々な部品特性の改善によって,バランスを取りながら性能向上を図っている.
  • 宮田 圭介
    2007 年31 巻1 号 p. 22-25
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    建設機械用シートの研究開発について,大型ブルドーザを例に概要紹介している.シートの検討項目としては,「振動吸収特性などの動的かけ心地」「体圧分布特性などの静的かけ心地」「運転操作に関わる機能やレイアウト」の三項目に大別される.動的かけ心地では,上下振動吸収のためのシートサスペンションと体重調整機能について言及している.静的かけ心地については,後方注視姿勢が取りやすく,後進落下時の衝撃が吸収しやすいシートバック形状と特性について解説している.運転操作機能として,後方注視が行いやすいシートターンテーブルや運転席全体のチルトレイアウトについて報告している.
  • 山崎 信寿
    2007 年31 巻1 号 p. 26-29
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    様々な身体特性と要求を持つ生活者に対して,それぞれの関係的価値を高める新たな椅子を提案した.すなわち,机に合わせて座面を高くせざるを得ない小柄な女性のために下腿のむくみを軽減する椅子,無重力姿勢を参考にして長時間のPC作業を可能にする低座後傾椅子,立て膝や胡座などの多様な姿勢を取ることができる椅子,寝室でくつろぎながらネットサーフィンなどができる椅子,高齢者のための市街地用自動車に適した立ち座りの楽な椅子,リウマチ患者のための座らない便器など,その開発経緯と基本的考え方を紹介した.
研究
  • 佐藤 由規, 渡邉 高志, 吉澤 誠, 星宮 望
    2007 年31 巻1 号 p. 30-35
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    本論文では,文字や図形のように直感的に理解できるようなパターンを皮膚電気刺激による移動感覚で提示して情報を伝達する方式の実現可能性について検討を行った.最初に,パターン提示用電極を実験的検討に基づいて製作し,次に,基本的な16種類の提示パターンの認識実験を健常被験者で実施した.この結果から,パターン認識における間違いの一因として電気刺激感覚の残存の影響に着目し,移動感覚提示における提示パターン間の時間間隔を,実験的検討を実施して修正した.そして,これらの結果を基に修正した14種類の提示パターンを用いて認識実験を行った結果,6人中4人の健常被験者で70.7~90%の認識率が得られ,4種類の提示パターンだけであった過去の研究結果に対し,より多い提示パターン数に対して同等以上の良い認識率が得られることを示した.また,過去の実験と同様に斜め方向の移動を含まなければ,平均で90%程度の高い認識精度を期待できることも示した.これらの結果から,移動感覚による複数のパターンの識別が十分可能になると期待され,それを用いた情報提示が実現可能であると考えられる.
  • 百生 登, 大島 徹
    2007 年31 巻1 号 p. 36-44
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    近年,乗り心地の良い,ヒューマンフレンドリな電動車いすが求められている.電動車いす操作時の体幹揺動の抑制は乗り心地と関連して重要な課題である.特にジョイスティックによる速度制御の場合,急加速,急減速となり易く,乗り心地を悪くしている.本研究は操作者を含めた電動車いす系のモデル化に基づく状態観測器付き状態フィードバック制御を適用することにより,操作者の体幹の振れを抑制し,乗り心地の改善を試みた.障害者および健常者を対象とした乗り心地に関する官能検査を実施し,本制御法の有効性を検証した.体幹の振れは被験者ごとのばらつきが大きいが,振れが小さいほど乗り心地が良くなることを確認した.
  • 酒井 利奈, 岩間 輝, 糸満 盛憲, 馬渕 清資
    2007 年31 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    セメントレス人工股関節の回旋安定性とステム形状の間には関連がある.特に回旋方向の荷重に対しては機械的な固定が施された股関節ステム形状が良好な初期固定を得ると推測する.本報告においては各種人工股関節ステムデザインにおける固定法と回旋安定性の関係について明らかにすることを目的とした.
    特徴的な形状を有する四種類の人工股関節ステムを対象とし,捻転を再現したシミュレーションと測定を行い回旋変位量について求めた.シミュレーションのために四種類の人工股関節ステムの有限要素モデルを構築した.測定には実際に臨床で用いられている人工股関節ステムと人工骨を用いた.解析と測定における共通の条件はi) 18.9 Nmのねじりモーメントをステム近位端に後捻転方向に負荷,ii)1800 Nの荷重をステム近位端に負荷,iii) 大腿骨遠位端を拘束,とした.
    シミュレーション解析結果としてIntra-Medullary Cruciateステムの骨に対する相対的な回旋変位量は0.21 mmであった.PerFix SVステムは大きく回旋し,変位量は0.67 mmであることが明らかになった.VerSysステム,Duetto SIステムの回旋変位量はそれぞれ0.10 mm,0.03 mmと低値を示した.レーザー変位計を用いた測定によって得られた回旋方向の相対的変位量はそれぞれ,Intra-Medullary Cruciateステム0.37 mm,VerSysステム0.25 mm,PerFix SVステム1.87 mm,Duetto SIステム0.17 mmであった.得られた変位量に基づき各種人工股関節ステムの回旋安定性について材料力学的観点から評価した.
    二つのアプローチによる回旋変位量の値から判断して回旋安定性に優れているのはIntra-Medullary Cruciateステム,VerSysステム,Duetto SIステムの三種類であることが示唆された.
報告
  • 湯 海鵬, 豊島 進太郎, 岡本 敦, 川端 昭夫, 星川 保
    2007 年31 巻1 号 p. 51-55
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/06/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,歩行動作の加齢による退行を縦断的に検討するために,高齢者の自由歩行動作に与える8年間(膝伸展力は7年間)という時間的影響を明らかにするとともに、歩行能力低下防止の手だてを探ろうとした.養護老人ホームに居住する男女高齢者9名を被験者とし,膝伸展力,歩行速度,ステップ長,歩調,着地時間要素などを計測し,8年間における変化を検討した.また、歩行能力と日常生活との関連性を調べるために,各被験者の生活様式に関する直接聞き取り調査を行った.測定と調査した結果から,膝伸展力の最大値の変動と歩行動作の変動との関連性は見あたらなかった.縦断的および一部の横断的先行研究が指摘した歩行速度の顕著な減少は見られず,半数以上の被験者で歩行速度の増加が見られた.その増加に,ステップ長と歩調の両方の貢献が見られた.また,歩行速度の増減と関係なく,歩調の増加,膝動作域,片脚支持時間および両脚支持時間の占めた割合の低下が見られた.本研究で得られたこのような歩行能力の維持および向上は,各々の被験者が養護施設で実践した階段登行,散歩,ゲートボールが歩行能力に何らかの影響を与えたもの推察される.これらのことから,高齢者の歩行能力の低下防止に,日常的に行われる下半身の身体活動が有効であると考えられる.
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