バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
23 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
解説
  • 道免 和久
    原稿種別: 本文
    1999 年 23 巻 3 号 p. 140-145
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    運動反射の観点から運動制御理論を概説した.代表的な運動制御理論として,反射を制御の中心としたサーボ仮説(γ model),緊張性伸張反射機構に対して筋長を規定する中枢指令λを仮定したλ model,反射を神経系のハードウェアの一部としたフィードフォワード系中心の内部モデル制御理論,求心情報自体を必要としないα modelがある.反射中心に制御するγ modelは現在信じられておらず,反射回路を含まないα modelも特殊な制御とされる.λ modelは部分的に否定されているが,N型仮想軌道によるλ modelについて決着はついていない.内部モデルによる制御理論がどのように各レベルの反射を包括していくのか,今後の発展が期待される.
  • 吉田 正樹
    原稿種別: 本文
    1999 年 23 巻 3 号 p. 146-150
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    筋の粘性・弾性係数を推定する手法とそれをヒトの筋に適用した結果について述べた.本推定手法の手順は以下のとおりである.等尺性収縮力を一定に保っている筋に,ランプ状伸展または短縮を加えた時の変位と張力変化を計測する.そして,観測波形と筋の力学モデルの応答が一致するようにモデルのパラメータを設定し,筋の粘性・弾性係数を推定するものである.この手法を,随意収縮時の長母指屈筋に適用した結果,直列および並列弾性係数,粘性係数は,筋の活動レベルと共に増大することを示した.筋の収縮力と筋の粘弾性の同時調節が可能であることは,運動時に外界の変化に対応した適応が可能であることを示している.
  • 加藤 荘志, 辻 敏夫
    原稿種別: 本文
    1999 年 23 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    これまでの脊髄反射に関する研究では,解剖学的・生理学的手法を用いた動物実験から数多くの知見が蓄積されてきた.さらに動物実験から得られたデータをもとに工学モデルを構築することで,随意運動の制御と脊髄反射との関連性が盛んに議論されてきた.本解説では,脊髄反射回路の工学モデルについてその代表例を取り上げ,それらについて概説した.まず,各モデルの概要とそれらから導き出された理論的予測について述べ,さらに理論的予測と生理学実験による結果との整合性についても検討を加えた.
  • 小宮山 伴与志
    原稿種別: 本文
    1999 年 23 巻 3 号 p. 157-165
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    筋及び皮膚感覚受容器からの求心性情報は比較的短潜時で随意運動を修飾する機能を持つ.本稿では,筋紡錘由来のIa群線維を介した単シナプス性の伸張反射と皮膚感覚受容器を介した多シナプス性の皮膚反射に焦点を当て,最近の知見を概観した.従来,各種神経疾患で観察される伸張反射の亢進にはGABA作動性のシナプス前抑制が重要な役割を果たしていると考えられてきた.しかし,Ia終末-運動ニューロン間の神経伝達物質の放出過程に関わるシナプス伝達機構もその重要な要因の一つとして注目されていることを指摘した.また,歩行運動時における伸張反射の役割についても言及した.近年,皮膚反射はステレオタイプな屈曲反射とは異なり,運動課題,刺激強度,歩行周期等により,非常に柔軟に変化することが明らかにされつつある.この皮膚反射の新たな解析方法が最近考案されており,その歩行運動時の皮膚反射への応用についても言及した.
  • 木塚 朝博
    原稿種別: 本文
    1999 年 23 巻 3 号 p. 166-171
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    長潜時伸張反射は意図や運動プログラムによって抑制,促通(脱抑制)という制御を受け,その反射活動の変化は脊髄性の反射活動の変化より大きい.また,生活動作や運動動作における多くの場面で,長潜時反射は動作遂行に対して機能的な役割を果たしていると考えられている.本稿では,長潜時反射研究のこれまでの経緯を概説し,特に,長潜時反射が意図や運動プログラムにより変化することを報告した研究を紹介する.その上で,我々の研究結果を基に,長潜時反射の変化の程度には個人差が認められ,長潜時反射の動態は動作のパフォーマンスに結び付いている事実を示し,長潜時反射が運動評価に適用可能であることを解説する.
  • 柳澤 健
    原稿種別: 本文
    1999 年 23 巻 3 号 p. 172-175
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2016/11/01
    ジャーナル フリー
    理学療法の評価や治療に反射運動が利用される.反射運動は刺激(入力)に対して不随意な応答(出力)を得る.このような反射における入力と出力の関係が理学療法,特に運動療法にどのように関わっているかについて論述する.本稿では,脊髄反射(伸張反射,同側性伸筋反射,交叉性反射,前肢後肢反射)と姿勢反射(陽性支持反応,緊張性頸反射,緊張性迷路反射,立ち直り反応,バランス反応)の具体的な理学療法への応用について概説を加える.
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