バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
30 巻, 3 号
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解説
  • 佐藤 春彦
    2006 年30 巻3 号 p. 114
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
  • 長崎 浩
    2006 年30 巻3 号 p. 115-118
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    歩行の不安定性を自由歩行の安定性限界で起きる現象として論じた.自由歩行は一貫した周期性,最適なコスト,非線形振動子の定常振動という点でそれなりに安定な動作である.安定性は低および高周波数領域で乱れる.高周波数では歩幅の臨界減衰が生じるかもしれない.低周波数では動歩行から静歩行へのバランス機構の再適応が要求される.これら2種類の安定性限界において,高齢者・障害者の歩行の安定性に問題が生じるであろう.
  • 佐野 明人, 池俣 吉人, 藤本 英雄
    2006 年30 巻3 号 p. 119-122
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    受動歩行は,歩行機のもつダイナミクスと環境との相互作用のみによって,理想とする自然な歩容を形成する.特に,安定したリミットサイクルが存在するという重要な特徴をもつ.状態がリミットサイクル上を遷移する限り歩行は安定となる.歩行は物理現象そのものであり,ヒトは歩行現象を移動原理として巧く使っているのではないか.本稿では,歩ける原理として,受動歩行の平衡点の力学的構造ならびに安定メカニズムを紹介し,この力学原理からヒトの歩行を概観する.
  • 山口 仁一
    2006 年30 巻3 号 p. 123-127
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    近年,ロボットによる二足歩行実現技術は大きく進展を見せているが,その技術群の全体構成を外から知ることは困難であった.これは,同技術の進歩を担っていた組織が大学等から民間企業等にその主軸が移り,学会等での技術発表が積極的には行われなかったことに基因するものと思われる.しかしながら,年月が経ち,民間企業等における技術も,公開特許公報や特許公報としてその多くのものが公開されるようになってきた.そこで,本解説では,筆者とソニー株式会社が共有名義・共有権利持分で出願した,脚式移動ロボット関連の安定歩行実現技術について,資質を与える技術,体だけで動く技術,考えて動く技術に分類し,各技術を代表的な特許技術を例に挙げながらその全体構成を概説する.
  • 畠中 めぐみ, 三原 雅史, 矢倉 一, 宮井 一郎
    2006 年30 巻3 号 p. 128-131
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    脳卒中後の歩行の再獲得について,臨床的な回復機序は急性期とそれ以降では異なる.リハビリテーション後の歩行再獲得の可能性とそれに要する期間は重症度と発症からの時間に依存する.歩行再獲得の過程で転倒を生じるリスクは高い.その原因として外的要因より内的要因のほうが重要視されているが,有効な介入法に関する明らかなエビデンスはない.光イメージングをもちいた研究では,片麻痺患者の歩行再獲得に寄与する脳内機構として,一次感覚運動野活動の対称性や,運動関連領野の賦活が歩行改善と関わっていることが明らかになった.運動関連領野は片麻痺歩行の改善だけでなく,失調性歩行への代償や速度や外乱への適応にも重要な役割を果たすことが示唆されており,転倒防止のための介入を考える上で新しい視点になる可能性がある.
  • 古名 丈人, 島田 裕之
    2006 年30 巻3 号 p. 132-137
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    平均寿命の延長と老化に伴う個人差の増大は,運動学研究における決定論的な議論を困難にする.一方,疫学的な研究は大規模な代表性ある集団を対象とすることが多く,高齢者の諸機能の特徴,平均像を同定することができる.
    本稿では,まず,高齢者の運動機能研究における疫学的視点の必要性を述べ,長期縦断研究の結果から高齢者の歩行機能の加齢変化を提示した上で,健康や寿命との関わりについて概説する.さらに,運動学やバイオメカニクスと疫学の共通の課題となる転倒に焦点をあて,学際的な研究によってこれらの問題が解決できる可能性について述べる.
  • 小島 基永
    2006 年30 巻3 号 p. 138-142
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    本稿では,動作の円滑さを客観的に示す指標についてレビューするとともに,主に動作中加速度時系列変化を用いた歩行の安定性評価について述べ,これを高齢者にあてはめた場合の様子を示す.
研究
  • 坂根 彰, 柴 建次, 辻 敏夫, 三浦 朗, 福場 良之
    2006 年30 巻3 号 p. 143-150
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    本稿では,下肢の末梢部における血管力学特性を機械インピーダンスを用いてモデル化し,血管の剛性,及び粘性を非観血,かつ定量的に推定する手法を提案する.提案法では,まず,心電図,動脈血圧,プレチスモグラムを同時に計測し,血管壁のひずみ,血管壁に作用する応力をそれぞれプレチスモグラム,動脈血圧を用いて表現する.そして,心電図のR波のタイミングで各信号を切り出し,最小自乗法を用いて一拍ごとにインピーダンスパラメータを推定する.本稿では,下肢の上下動時にインピーダンスを推定し,下肢末梢血管の血管反応を定量的に評価する.下肢指尖部の位置変動に伴うインピーダンス推定実験では,全被験者ともに剛性,及び粘性の値が血管収縮レベルに応じて変化する様子を定量的に捉えることができた.さらに,下肢のトレーニング前後におけるインピーダンス値の比較を行った結果,トレーニング肢は非トレーニング肢と比較して血管反応が顕著に向上する様子が表れており,本手法を用いることによりトレーニング効果を血管力学特性レベルで評価できる可能性があることを示した.
ショートペーパー
  • 古屋 晋一, 青木 朋子, 木下 博
    2006 年30 巻3 号 p. 151-155
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/06/06
    ジャーナル フリー
    本研究は熟練ピアニスト(N=8)が連続オクターブ打鍵動作をする際の音量と打鍵テンポが上肢運動制御に及ぼす影響について調べた.全ての音量と打鍵テンポで,指先と鍵盤が接触する瞬間の上肢関節角度は不変であった。音量と打鍵テンポが上肢の運動に及ぼす影響は,それぞれ異なっていた.即ち,より大きな音量の音を作り出す際には近位の身体部位がより多く打鍵動作に用いられたのに対し,より速いテンポで打鍵する際には近位の運動は減少した.したがって我々は,音量調節は「インパルス方略」によって,打鍵テンポ調節は「慣性モーメント方略」によってなされていると提唱した.音量と打鍵打鍵テンポを同時に制御する場合には,ピアニストは主に肘の動きによって打鍵動作を行うという,上記2つの方略の中間の方法を選択することが明らかとなった.
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