バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
37 巻, 3 号
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解説
  • 窪田 聡
    2013 年37 巻3 号 p. 153-157
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    我々の日常生活は夜間睡眠をとり,日中は様々な社会活動を営むというサイクルで成り立っている.寝具は睡眠のための重要な道具であり,従来から睡眠に着目した研究が行われている.しかし,全身状態が悪化している場合や重度の運動障害がある場合,寝具の上で手足を動かすこと,寝返りを打つこと,寝具から離れること等が容易では無くなり,それらを支援するために何らかの工夫が必要となる.すなわち,医療福祉の現場では昼夜を問わず寝具が用いられるため,寝具で過ごすあるいは寝具から離れるための支援が必要となる.本特集では,寝具で過ごすこと,寝具から離れることの概要,さらにそこで生じる問題とその問題に対処するための支援技術について取り上げていく.
  • 須釜 淳子, 西澤 知江, 松尾 淳子
    2013 年37 巻3 号 p. 159-164
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    褥瘡は外力が一定時間持続することで組織が不可逆的な阻血性障害に陥り発生する.その予防には外力の減少と持続時間の短縮が必要となり,臨床では体圧分散寝具を使用する.体圧分散寝具は3 つの圧再分配機能,すなわち,沈める,包む,経時的な接触部分の変化によって褥瘡好発部位である骨突出部位にかかる圧力を減少させる.体圧分散寝具は数多く市場に出ているが,本邦の寝たきり高齢者にみられる特異的な褥瘡発生要因「骨突出」を有する者には,2 層式エアセルマットレスが予防に有効である.今後さらなる体圧分散寝具の質向上には,体圧分散寝具の圧再分配機能評価法の標準化,体圧分散寝具使用時の看護技術の開発が必要である.
  • 石渡 利奈, 山崎 信寿
    2013 年37 巻3 号 p. 165-170
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    手術後や大腿骨頚部骨折,切迫早産等,安静が必要な療養者は,ベッド上で多くの時間を過ごす.したがって,療養者のベッドは,本来の睡眠と共に,診察・治療・看護空間であるばかりでなく,本人の生活空間にもなっている.しかし,臥位や半座位(ベッド上で背上げした姿勢)では作業域や視野が制限され,覚醒度も低下して生活リズムが乱れることが多い.このような生活上の不自由さの改善には,臥位や半座位で可能な作業の明確化と什器設備の対応,および,より基本的な身体・生理特性の計測評価手法の開発が必要になる.このため,本稿では臥位での上肢作業域と側方視野の計測,これらに基づいたベッドサイド什器の提案,半座位での低負担作業姿勢の探索と作業のための什器配置の提案,および,生活リズム改善の基礎になる臥床生活者の覚醒度定量化手法を示した.
  • 阿曽 洋子
    2013 年37 巻3 号 p. 171-175
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    臥床患者に対する安全で安楽な看護援助技術を展開するエビデンスとして,以下の点について解説を行った.1.看護援助時の前提となるベッドの高さは看護師の身長の49% であり,このベッドの高さで看護援助を行った場合には頭方向への水平移動では,看護師の作業効率と患者の頸部筋負担,看護師の腰部椎間板圧迫力および,援助の所要時間からみて患者は安全性と安楽性が保たれ,看護師は作業効率が増し,腰痛予防になる.2.排泄援助では排泄体位は心筋酸素消費量と使用感覚から上半身30 度拳上が排泄に適切な体位であり,仰臥位から腹臥位への体位変換は腸音パワー値および排便回数からみて便秘予防につながる.3.ベッド上の仰臥位から坐位姿勢になることが,脳の活性化につながる.
  • 勝平 純司
    2013 年37 巻3 号 p. 177-184
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    要介助者の生活の質を高めるためには寝具であるベッドから離れて生活することが重要である.要介助者が独力でベッドから車いすに移動できなければ介助者の助けが必要となる.介助者が対象者である要介助者を移動させる動作を移乗介助動作とよぶ.移乗介助動作を行う際に注意すべき二つのリスクがある.一つは介助者の負担,もう一つは被介助者の負担である.双方が安楽な状態で移乗を行うためには何が必要か,本稿では我々の行った先行研究の結果を中心に解説を進めていく.
  • 印南 裕之
    2013 年37 巻3 号 p. 185-188
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    障害者や高齢者が使用する体圧分散マットレスを考える時,床ずれへの配慮とともに,体圧分散マットレス上での基本動作を助け,快適性に配慮することも大切である.本稿では体圧分散マットレスを「生活の場」とする視点からその用件について考え,実際のマットレス開発を紹介しながら解説する.
研究
  • 中尾 将輝, 酒井 利奈, 松浦 晃正, 田中 健誠, 内田 健太郎, 内野 正隆, 糸満 盛憲, 馬渕 清資
    2013 年37 巻3 号 p. 189-192
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    鎖骨遠位端骨折は不安定であり,遠位骨片は小さく骨折部が肩鎖関節近傍であるため,強固に内固定を施すことは難しい.そこで本研究においては,不安定型鎖骨遠位端骨折に対し,どの内固定が優れているのかを明らかにすることを目的とし,3 種の内固定法(鋼線締結固定,フックプレート固定,アームプレート固定)を対象とし,荷重試験と応力解析を統合的に組み合わせたアプローチにより,固定性の評価を行った.曲げ剛性は鋼線締結固定群に比べ,プレート固定群の方が有意に高値を示した.フックプレートはフックと骨の接触面で他のエリアに比べて高い応力が認められた.アームプレートは肩鎖関節に干渉しないため,骨に高い応力集中は認められず,良好な肩関節機能の獲得ができると推察した.
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