日本では, 高齢者人口の増加に伴って高齢歩行者の死者数および負傷者数は著しく増大しているが, 子供歩行者の死者数と負傷者数はいずれも減少傾向を示している. 歩行者の傷害部位と車両の加害部位の関係は近年大きく変化しており, 車体前面形状の変化がその要因の一つと考えられる. 歩行者の挙動は車体前面形状によって変化し, 歩行者の身長差や加齢による衝撃耐性の変化も傷害部位や傷害程度に大きな影響を及ぼす. 歩行者の傷害部位をみると, 死亡事故では頭部が多く, 負傷事故では下肢が多い. 歩行者の傷害程度は車両加害部位の変形特性(剛性)に大きく依存することから, 歩行者の各傷害部位(頭部や脚部など)を模擬したインパクタ(衝撃子)を主な車両加害部位(ボンネットやバンパーなど)に衝突させ, 車両の歩行者保護性能を評価する試験法が検討されている.
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