バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
28 巻, 2 号
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解説
  • 佐分利 敏晴, 佐々木 正人
    2004 年 28 巻 2 号 p. 56-60
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/23
    ジャーナル フリー
    機械論的世界観や決定論に基づいて自然科学になろうとした心理学は,同じ世界観から成立した物理学と同じ運命をたどり,心と身体を分離し,心を身体(自然)から排除するか,心を機械的な身体の支配者とするか,どちらかの結論に追い込まれた.この方法では,ヒトを含めた高等動物の行為の能動性や創造性をその領域で扱うことができない.極端な場合,それらは神秘的なものとなってしまう.このジレンマに陥らないためにも,身体と心,身体と知覚と行為は同時に扱われるべき事柄,事象であると考える必要がある.この事象を分析する論理と手段の一つとして,生態心理学がある.
  • 泰羅 雅登
    2004 年 28 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/30
    ジャーナル フリー
    二元論の立場をとる人を除いて,人の「こころ」と「脳」の間には密接な関係があると考えている人がほとんどであろう.しかし,密接な関係とは?と聞かれると,かなり漠然としたものでしかないことに気がつくであろう.21世紀は脳の世紀といわれるが,我々,脳研究者は「こころ」の問題にどこまで答えることができるのであろうか.見回してみると,やはり直接的に触れた研究は残念ながらほとんどない.それにもかかわらず,脳科学が「こころ」に迫ったといわれる理由はなんだろうか.脳研究の成果とその向こうに見え隠れする「こころ」について,考えてみる.
  • 朝日 雅也
    2004 年 28 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/23
    ジャーナル フリー
    心身の機能に障害があっても,あるいは老化に伴い介護を必要とする状態になっても,その人らしく地域の中で当たり前に暮らしていく.そんなノーマライゼーションの実現が強く求められている.そのために,様々な生活課題を解決する働きかけが実践されている.その際には,サービスの利用者を中心に据えた,利用者の思いに沿った支援が必要である.そして,利用者の真のニーズを反映するのが現場のこころである.様々な生活課題に関連した現場のこころは,今日的には,自立の支援,個別性に基づく支援,コミュニケーションの重視といった点から捉えることができる.現場のこころに向き合った支援こそ,ノーマライゼーションの実現のための推進力となりえる.対人援助に関わる人々は,現場のこころの理解を出発点とした支援のあり方を希求しなければならない.
  • 山下 利之
    2004 年 28 巻 2 号 p. 72-78
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/23
    ジャーナル フリー
    ユーザビリティとは一般的に,その製品を効果的,効率的に使え,かつ使ったことに満足を感じるようなものを言う.しかし,本論文ではさらに心理学的に一歩進んで,使ってみて人間らしさを感じる,楽しさ,癒しを感じるといった“心のユーザビリティ”の可能性を論じる.人間的な触れ合いは対面的コミュニケーションから生じることから考えて,そのようなシステムはインタラクションが可能なコンピュータシステムで論じられることが多い.本論文においても,感情指向型ヒューマンコンピュータインタラクションを例として,“心のユーザビリティ”を論じる.
  • 中田 亨
    2004 年 28 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/23
    ジャーナル フリー
    ペットロボットは身体を持つことを特徴として,人間とコミュニケーションする機械である.つまりロボットの身体は表現のためにある.しかし身体表現はあいまいで複雑なものであり,ロボットの身体表現を生成するアルゴリズムを作ることは難しい.本稿では,動物行動学や舞踊学の知見に基づいて,ロボットを生き物らしく振舞わせるための要件を,その実験例と共に考察する.具体的にはLaban, Kestenberg,Huntらの理論に基づいて,適切な心理的印象を与えるために,身体動作の力学的特徴・幾何学的特徴・筋緊張のリズムを設計する方法を紹介する.ペットロボットの応用の動向も紹介する.
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