消化管上皮細胞のmucosal membraneには, 生体が “異物・毒物” と認識する化合物から自身を守るバリアー機能の一つとしてefflux transporterが備わっている. 最近, P-糖蛋白 (P-gp) やbreast cancer resistance protein (BCRP) などのefflux transporterが, 薬物の消化管吸収に与える影響を無視できない事例が報告されるようになった. 企業における経口剤の探索・開発研究においても, 医薬品の吸収率や薬物間相互作用への影響が懸念されるため, 消化管efflux transporterへの取組みの重要性が増している.
本稿では, P-糖蛋白を中心に, efflux transporterが薬物の消化管吸収に与える影響や, その見積りかた, さらにはDDS的手法でこれらの影響を克服する試みについて, 筆者らが遭遇した事例の紹介を交えながら, 特に企業研究の視点から考察する.
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