Drug Delivery System
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21 巻, 2 号
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特集 “薬物の生体膜輸送特性とDDS” 編集 : 森下真莉子
  • 大槻 純男
    2006 年 21 巻 2 号 p. 102-110
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
    血液脳関門は, 脳への薬物分布を制限するため脳へのDDSにおいて大きな問題となる. 近年の研究の進展により, 多くの輸送系が血液脳関門に存在し, 関与分子が同定された. その結果, 血液脳関門には, 供給輸送系と排出輸送系が存在し, 薬物がどの輸送系で認識されるかが, 脳への移行性に非常に重要であることが明らかになりつつある. さらに, 脳関門輸送系を積極的に利用することで脳へのDDSを実現する非ウイルス性キャリアの開発が進んでいる. 本稿では, 薬物輸送の観点から血液脳関門の輸送機構の最新の知見を紹介する.
  • 崔 吉道
    2006 年 21 巻 2 号 p. 111-118
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
    薬物トランスポーターの詳細で包括的な情報がデータベース化されている. また遺伝子バンクの整備が進み, トランスポーター遺伝子発現系を利用することで, 開発中の化合物のトランスポーターに対する認識性を解析することが可能である. 近年, トランスポーターの発現分布や基質認識特性を考慮したドラッグデザインやプロドラッグ化が注目されている.
    本稿では, 薬物の体内動態制御に関わるトランスポーターについて例をあげて紹介し, トランスポーターを利用した臓器選択的DDSにおいて考慮すべき諸問題について考察する.
  • 山縣 哲雄, 森下 真莉子
    2006 年 21 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
    薬物トランスポーターが薬物体内動態特性の決定因子として重要な役割を担っていることが広く認識されるに至っている. 消化管effluxトランスポーターについていえば, これらのトランスポーターは多くの薬物の消化管からの吸収を制限している. そのため, 消化管effluxトランスポーターの機能を阻害することにより薬物の経口吸収性を増大させることが可能であると考えられる. これまでにもさまざまなトランスポーター阻害剤が見いだされてきたが, 薬理活性を有する物質を実際の製剤に利用することは事実上困難である.
    近年, 種々の医薬品添加物がトランスポーターの機能を阻害することが示唆されており, このような医薬品添加物を用いることで, 薬物の経口バイオアベイラビリティを改善した新たなDDSを創製することが期待される. 本稿では, effluxトランスポーター阻害における医薬品添加物の特性を紹介し, 経口吸収改善を目的とした消化管トランスポーター阻害の有用性について考察する.
  • 水間 俊
    2006 年 21 巻 2 号 p. 126-133
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
    糖トランスポーターを利用したDDSについて, これまでの知見をまとめた. 糖トランスポーターを利用した“薬物”のデリバリーの報告例は少ない. 腸管においては, SGLT1を介した各種グリコシドの輸送が報告されている. 糖の種類, 糖と薬物の結合様式によりその動態は異なる. 単糖付加体は, SGLT1を介した新規腸管吸収ルートを通ることの出来るプロドラッグとなるが, 二糖付加体の場合は, さらにプレプロドラッグとして利用できる可能性がある.
    一方, 各種ペプチドのグルコシドが脳や腎臓へ移行することが報告されているが, 糖トランスポーターの介在性に関する明確なデータはない.
  • 奥平 典子, 荻原 琢男
    2006 年 21 巻 2 号 p. 134-141
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
    消化管上皮細胞には栄養物質や薬物を取り込むinflux transporterが発現している. Peptide transporter 1 (PEPT1) のような薬物も基質とするトランスポーターは, 経口吸収性改善の手段として, また, グルコース, コレステロールなど内因性物質のトランスポーターは, 高脂血症や糖尿病治療薬の創薬ターゲットとして魅力的な研究対象である.
    本稿では, 企業研究の立場からinflux transporterの最近の知見をレビューする.
  • 荻原 琢男, 奥平 典子
    2006 年 21 巻 2 号 p. 142-152
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/18
    ジャーナル フリー
    消化管上皮細胞のmucosal membraneには, 生体が “異物・毒物” と認識する化合物から自身を守るバリアー機能の一つとしてefflux transporterが備わっている. 最近, P-糖蛋白 (P-gp) やbreast cancer resistance protein (BCRP) などのefflux transporterが, 薬物の消化管吸収に与える影響を無視できない事例が報告されるようになった. 企業における経口剤の探索・開発研究においても, 医薬品の吸収率や薬物間相互作用への影響が懸念されるため, 消化管efflux transporterへの取組みの重要性が増している.
    本稿では, P-糖蛋白を中心に, efflux transporterが薬物の消化管吸収に与える影響や, その見積りかた, さらにはDDS的手法でこれらの影響を克服する試みについて, 筆者らが遭遇した事例の紹介を交えながら, 特に企業研究の視点から考察する.
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