介護老人福祉施設に入居している要介護高齢者に対して,摂食嚥下機能評価と栄養支援を行い,その効果について明らかにすることを目的とした。 対象は,2011年3月から 2013年2月までの期間において,某介護老人福祉施設より日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科に摂食嚥下機能評価依頼があった入所者31名(男性3名,女性28 名,平均年齢 88.8±6.7 歳)である。対象者に対して食事時の外部観察評価と嚥下内視鏡検査を行い,その結果に基づき食形態,食内容,摂食方法を提案した。それを受けて施設の管理栄養士と施設職員は栄養ケア計画を立案し実施した。介入前後の評価項目は,体重,BMI,食形態,摂食量,食事時間,食事姿勢,食事介助方法の変更,水分の半固形化の有無,食事自立度とした。得られた評価結果より介入前後の比較を行った。 対象者 31 名中,食形態の変更を行った者は 22 名(71.0%)であり,食事姿勢の調整をした者 8 名(25.8%),食事の介助方法を変更した者 17 名(54.8%)であった。栄養支援の介入前後において,摂食量の増加した者は7名(22.6%),食事時間の減少した者は3 名 (9.7%),食事の自立度が変更した者は6名(19.4%),体重増加を認めた者は24名 (77.4%)であった。31名の介入前後での BMI は 19.6±3.2 から 20.0±3.2 となり,有意に増加した (p<0.05)。摂食嚥下機能評価,食支援等の整備に基づいた栄養支援は施設入所高齢者の栄養改善に効果的であることが示された。
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