老年歯科医学
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17 巻, 3 号
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  • 櫻井 薫
    2003 年17 巻3 号 p. 273
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 道脇 幸博, 角 保徳, 三浦 宏子, 永長 周一郎, 米山 武義
    2003 年17 巻3 号 p. 275-280
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    要介護高齢者に対する口腔ケアの効果について, 誤嚥性肺炎患者の診療報酬を対象に費用効果分析を行ったところ, 口腔ケアは医療経済学的観点からも有用であることが示されたのでその概要を報告する。
    研究に当たってはまず文献的な考察によって誤嚥性肺炎予防に関する口腔ケアの効果を検討すると共に, 口腔ケアの診療報酬を算出した。次いで誤嚥性肺炎にて入院加療を要した患者の診療報酬請求額を算出し, 両者を比較して費用効果分析を行った。
    その結果, 口腔ケアの局所効果としては, 口腔や咽頭の細菌量の減少, 口臭の低下, 歯肉炎の減少などがあり, 全身的な効果としては発熱率の低下, 誤嚥性肺炎罹患率の低下, 死亡率の減少などが挙げられた。また誤嚥性肺炎予防の観点から算出した口腔ケアの費用便益比は, 直接費用のみを比較しても0.82であった。
    従って口腔ケアの局所的効果や全身的な効果について, 直接費用と間接費用を含めると, その費用効果はさらに上昇すると考えられた。
  • 曽山 善之, 平田 米里, 浦崎 裕之, 中川 秀昭
    2003 年17 巻3 号 p. 281-288
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢者における口腔保健はQOLの向上, 誤嚥性肺炎の予防ということからも重要である。高齢者施設入所者の口腔内状況は著しく悪いと考えられ, 特別養護老人ホームを対象に全身状況の調査と口腔内状況を調査し, その実態と口腔清掃自立度との関連性を検討した。
    対象は施設入所者72人で, 半数前後が脳血管疾患や痴呆を有していた。BDR指標では自分で自立して歯磨きする者が半数以上を占めた。しかし, 巧緻度では半数以上が指示通り磨けず介助が必要であった。また自発的に磨く者も16人しかおらず, ほとんどが指示を受けたり, 介助が必要であった。磨いている実態に反して口腔衛生状態の低さがうかがわれた。
    歯の状況について, 一人平均未処置歯数はやや多く, 特に70歳代後半は約3歯あり, 歯科治療の必要性は高かった。喪失未補綴歯数はどの年齢階級も約10歯前後あり, 十分な補綴などの治療を受けていなかった。一人平均残根歯数はかなり多く, 処置されず放置されたままの口腔内状況であった。
    口腔内と全身状況の関連では残根未補綴者ほど痴呆が多く (p<0.05), 痴呆がある人は, 歯磨きの自発性 (p<0.01) や義歯着脱 (p<0.05), うがい (p<0.05) で有意に介助が必要であり, 痴呆に対する十分な口腔ケアが必要であった。食事形態では普通食がとれていれば口腔清掃の自立度は高く (p<0.01), 十分な摂食行動と口腔清掃の自立との関連が示唆された。
  • 那須 郁夫, 斎藤 安彦
    2003 年17 巻3 号 p. 289-299
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢者の聴覚, 視覚および咀嚼能力と, 主観的健康感との関連を調べた。1999年に日本大学総合学術情報センター縦断研究において, 全国の65歳以上を対象とした訪問面接パネル調査を実施した。質問項目のうち, 主観的健康感を従属変数とし, 加齢により健康に影響が及ぶとされる, 見え方, 聞こえ方, 噛め方, 抑うつ尺度, モラール尺度に年齢と性別を加えて独立変数とする多項ロジィスティック回帰分析を行った。分析には必要項目に回答した3, 069名の資料を用いた。
    主観的健康感と最も関連が強かったのは見え方であり, 健康感のすべての群で有意な関連があった。聞こえ方は「全く」あるいは「かなり」健康と答えた2群で関連があった。咀嚼能力では「あまり」あるいは「全く」健康でないと答えた2群で関連があった。CESDスケールとPGCモラールスケールではすべての群で関連があった。性別では健康な2群で関連していたが, 年齢はどの群でも関連が認めらなかった。
    すなわち, 高齢者においては, 噛む能力は機能低下を敏感に感じる見え方や聞こえ方とは違い, かなり低下してから不健康と認識することが示された。歯科保健の立場からみて, 高齢者においては, 咀嚼能力が十分備わっている間の噛めることに対する価値観が低いことと, 咀嚼能力の不足は不健康感の重大な要因であることが示された。今後これらの状態を改善するための方策が必要である。
  • 小林 健一郎, 眞木 吉信, 櫻井 薫, 杉山 哲也
    2003 年17 巻3 号 p. 300-306
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    オーバーデンチャーの支台歯は唾液による自浄性の低下やプラークコントロールの困難さから歯根面齲蝕や歯周疾患になりやすいことがあげられる。
    支台歯の予後に関する要因を解析することを目的として, 歯根面齲蝕と歯周疾患の罹患状況, コーピングの種類と高さを調査し, 装着期間との関係について検討を加えた。調査対象は, オーバーデンチャーを装着した43名 (男性16名, 女性27名, 平均年齢66歳) とし, 装着された義歯は44床, 調査支台歯数は81歯であった。
    支台歯種やコーピングの種類によって, 齲蝕罹患率および歯周炎罹患率に有意差はなかった。また支台歯の適用期間と齲蝕罹患率は, 使用期間が37ヵ月以降で齲蝕罹患率が統計学的に有意に高かった。 (p<0.01) 。歯周炎罹患率の傾向については, 使用期間の長短による罹患率の違いは認められなかった。
    本研究の結果から, オーバーデンチャーの支台歯のメンテナンスとして, 第一に齲蝕に対する予防法の導入が今後の課題であり, 次に使用期間の長短にかかわらず罹患率の高い歯周疾患の改善と予防の必要性が示唆された。
  • 第1報多数歯を有する要介護高齢者に対する新しい口腔清掃システムの効果
    武井 典子, 福島 正義, 福田 敬, 渋谷 耕司, 岩久 正明
    2003 年17 巻3 号 p. 307-311
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    近年, 口腔細菌が高齢者の各種全身疾患に影響を及ぼすことが明らかとなり, 口腔ケアの重要性が指摘されている。しかし, 要介護者では, 一般の歯ブラシによる清掃は誤嚥のリスクが高いため, 通常, ガーゼによる清拭などが行われており, その効果は充分とは言い難い。そこで, 日常の介護者が安全かつ容易に行える効果的な口腔ケア法の開発が急務である。特に, 高齢者では, 一般成人と比較して自立度や口腔状態が大きく異なるために, その状況に応じた口腔ケア法の確立が必要とされている。
    そこで, 筆者らは, 高齢者の口腔ケアを自立度 (自立, 一部介助, 全介助) と口腔状態 (歯数と義歯の有無) から9つのカテゴリーに分類した「高齢者口腔ケア分類表」の作成を試み, それぞれに対応したオーダーメードの口腔ケア法を考案すべく細菌学的手法を中心に検討を進めている。
    本研究は, 予備実験として, 要介護者の口腔ケアを安全かつ効果的に, しかも歯科医療従事者以外でも容易に行えることを目的に開発したシステム (「デント・エラック給吸ブラシ910」) を多数歯を有する要介護高齢者に試みて, 一般の付き添い者等による使用前に, その安全性と効果の詳細な情報を得るために, 今回は, 看護師により行われ, 含漱水中の細菌数の平均値が1/10~1/100に減少した。さらに, 口腔ケアを通して誤嚥とみられる明らかな症状は認められなかったが, 一般的に高齢者では, わずかな誤嚥では全く症状を示さない場合もあり, 今後一層のシミュレーション研究が必要であろう。
  • 第2報自立高齢者と要介護高齢者の口腔内微生物の比較と効果的な口腔清掃法
    武井 典子, 福島 正義, 福田 敬, 渋谷 耕司, 岩久 正明, N. Abu-Bakr
    2003 年17 巻3 号 p. 312-320
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 高齢者の口腔ケアを自立度 (自立, 一部介助, 全介助) と口腔状態 (歯数と義歯の有無) から9つのカテゴリーに分類した「高齢者口腔ケア分類表」の作成を試み, それぞれに対応した効果的なオーダーメードの口腔ケア法を考案するために, 細菌学的手法を中心に検討を進めている。
    これまで, 予備実験として, 要介護者の口腔ケアを安全かつ効果的に行うための給水と吸引を同時に可能にした電動ブラシシステム (給吸ブラシ) を歯科衛生士および看護師が多数歯を有する要介護高齢者に使用を試み, その効果を細菌学的に明らかにした。今回は, 有料老人ホームの入所者の自立高齢者と要介護高齢者に対して, 現在行っている口腔清掃法による口腔状態を細菌学的に評価し, その後, 個別の口腔ケア法の試案を自立高齢者およびヘルパーに提案し, 1ヵ月間実施した後の効果を比較した。特に, 今回は, 前報で調査した口腔細菌の大部分を占める嫌気性菌に加え, 簡易的な指標であるカンジダ菌, mutans streptococci (MS), lactobacilli (LB), および, 簡便な細菌量の比較法として混濁度についても調査した。
    その結果, 本施設においては, 口腔ケア開始前では, 自立高齢者は要介護高齢者に比較して, カンジダ菌 (舌・義歯), MS, LBが有意に多く, また, 嫌気性菌および混濁度も平均値で若干高い傾向にあった。それぞれに応じたオーダーメードの口腔ケアを提案して1ヵ月間実施した後では, 自立者および要介護者ともに, 平均値 (義歯から検出されたカンジダ菌を除く) においては減少傾向を示したが, 統計的有意差は示さなかった。その原因は, 症例を集めることの困難さによる数の少なさ, また, 日々の要介護者の肉体的・精神的変化に伴うケアの難しさによるものと考えられ, 今後一層多くの症例の検討によるカテゴリーの分類や対処法についての検討が必要であることが明らかとなった。
  • 斎藤 徹, 長谷川 慶子, 長谷川 賢
    2003 年17 巻3 号 p. 321-325
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    1999年1月から2002年6月の間に, 当科で歯科治療後に日常生活活動 (ADL) が改善した65歳以上の高齢者5症例の臨床所見を検索した。ADL改善症例は男性2例, 女性3例であり, 平均年齢は79.0歳 (67~91歳) だった。これらの症例で歯科治療後にADLの評価5項目 (食事, 入浴, 排泄, 更衣, 移動) 中, 少なくとも1項目で自立度の改善を認めた。また, 5症例とも脳梗塞を罹患しており, 1例で老人性痴呆を合併していたが, 全症例で口腔ケアおよび歯科治療を積極的に受け入れていた。歯科治療前の平均残存歯数は9本 (5本~17本) であった。また, 全ての症例で義歯調整および新製等の義歯に関する治療を受けていた。しかし, 歯科治療後に食事形態も改善したものは2例のみであった。
  • 痴呆専門病棟を備えた単科精神病院の場合
    貞森 紳丞, 佐藤 幸夫, 中居 伸行, 濱田 泰三, 村田 比呂司
    2003 年17 巻3 号 p. 326-331
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    重度痴呆患者は, 介護がなければ1日も生活することができないため, 看護師の負担が非常に大きいことが推察される。そこで, 重度痴呆患者のための痴呆専門病棟を備えた単科精神病院に勤務する看護師を対象として, 患者の口腔ケアへの関心などについてアンケート調査した。調査対象者は, 痴呆病棟勤務の経験者78名, 未経験者は61名の計139名であった。アンケート調査の結果, 痴呆病棟勤務の有無に関わらず, 今回の調査対象者の看護師の口腔ケアへの関心は高く, 重度痴呆患者に歯が重要であることが認識されていた。さらに, 介護の具体的場面などを想定した場合では, 口腔内を患者自身で管理できる, または看護師に管理可能であることが好ましいという意見が多く見られた。重度痴呆患者に対する介護のレベルを維持し, 看護師の動機づけや達成感を低下させないためには, 看護師の協力を得ながら, より介護しやすい良好な口腔内状態にする歯科治療を行うように, 歯科医療関係者はより明確に意識していくことが大切と考えられた。
  • 単科精神病院の痴呆専門病棟の1年後の観察から
    貞森 紳丞, 佐藤 幸夫, 中居 伸行, 西村 正宏, 濱田 泰三
    2003 年17 巻3 号 p. 332-336
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    現在の日本は, 世界の中でも高齢社会のトップランナーとなっている。高齢社会の抱える大きな社会問題でもある痴呆高齢者への対応は, これからの日本の大きな課題である。多数歯欠損の場合, 通常, 義歯による治療で種々の口腔機能を回復することが期待されている。一方, 多数歯欠損の重度痴呆高齢者が義歯を装着することと, 痴呆症状や日常生活活動との関連を検討した報告は少ない。そこで, 本調査では, 現在まで報告の少ない痴呆専門病棟入院の重度痴呆高齢患者を対象として, 義歯の装着状況と痴呆症状の程度と日常生活活動との関連について調査し, 1年後に再調査して比較検討した。
    本調査では, アルツハイマー型痴呆患者で, Eichnerの咬合支持分類でC群 (自分の臼歯部で咬合支持がない) の患者を対象として, 義歯の装着状況と痴呆症状と日常生活動作能力との関連を検討した。調査対象者は, 義歯装着者8名, 義歯非装着者18名であった。その結果, 今回の調査対象者, すなわち重度痴呆高齢者では, 義歯の装着状況は痴呆症状や日常生活動作能力の低下と関連していないことが示された。
  • 角 保徳, 譽田 英喜, 道脇 幸博, 砂川 光宏, 佐々木 俊明
    2003 年17 巻3 号 p. 337-341
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    最近, 口腔の状態と種々の全身疾患との関連についての関心が高まりつつある。誤嚥性肺炎による要介護高齢者の障害や致死は高齢者の健康にとって主要な問題である。本研究の目的は, プラーク中微生物叢に検討を加え, 要介護高齢者に呼吸器疾患を引き起こしうる起炎菌の有無と存在する確率を調査・検討することである。
    研究方法と対象は, 要介護高齢者97名のプラーク中の微生物叢を培養法によって同定・評価した。その結果, 本研究で21種の微生物種がプラークより検出された。また, 97例中64例 (66%) に呼吸器疾患を引き起こしうる起炎菌がプラーク中に検出された。
    本研究の結果, 要介護高齢者のプラークに誤嚥性肺炎起炎菌が高率に存在することが明らかとなった。プラークが咽頭に対するいわゆる誤嚥性肺炎起炎菌のリザーバーとしての役割を果たしていることを示唆している。
  • 山田 賢治, 貞森 紳丞, 玉本 光弘, 濱田 泰三
    2003 年17 巻3 号 p. 342-348
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    本調査は, 歯科が併設した介護老人保健施設 “記念寿” において入所者の口腔内実態調査と介護職員の口腔内に対する意識調査を行い, 介護老人保健施設に併設された歯科の役割について検討した。
    調査は平成12年4月から平成14年3月までの2年間における本施設入所者167名を対象とし, 口腔状態, 口腔ADLを記録した。さらに, 介護職員28名に対し口腔内に関する意識調査を行い, 以下の結果を得た。
    1.平均年齢は82.7±7.3歳, 73.1%が女性で, 平均介護度は2.5であった。
    2.平均残存歯数は6.0±8.1本であった。Eichnerの分類では, A群7.8%, B群18.0%, C群74.3%であった。Eichnerの分類と口腔ADLの咀嚼可能食品スコアを比較すると, 咬合支持状態と咀嚼可能食品には密接な関係があった。
    3.要介護度と口腔ADLとの間には相関があった (p<0.01) 。
    4.介護職員に対する意識調査の結果から, 口腔ケアや義歯の使用に関して職員間に認識の差を認めた。
    以上本調査の結果, 口腔状態と全身健康状態に関連性が示唆され, 要介護高齢者に対する在宅復帰支援の一環として, 歯科が口腔状態を把握し, 口腔ケアに関して介護職員を教育することは復帰支援の・助となると考えられた。
  • 下山 和弘, 林田 亜美子
    2003 年17 巻3 号 p. 349-352
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 茶山 裕子
    2003 年17 巻3 号 p. 353-357
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 人口唾液および唾液分泌促進剤一覧
    山根 源之
    2003 年17 巻3 号 p. 358-362
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 私たちのできること
    藤田 頼子, 藤原 浩子
    2003 年17 巻3 号 p. 363-367
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 雅志
    2003 年17 巻3 号 p. 368
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
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