老年歯科医学
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38 巻, 4 号
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総説
調査報告
  • 田中 優成, 近藤 三聖, 岡谷 麻衣, 水上 勝義
    2024 年38 巻4 号 p. 150-159
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/05/08
    ジャーナル フリー

     高齢者における重要な役割をもつ老人クラブに所属することが,口腔機能維持に影響を与えている可能性を考え,オーラルフレイルの認知度と危険性の有無の視点から老人クラブ会員の口腔機能の現状について明らかにすることを目的に調査を行った。

     愛知県尾張地区の地域在住高齢者を対象に年齢,性別,オーラルフレイルのスクリーニング問診票(OFI-8),オーラルフレイルの認知度,認知経路,自身の認識を調査した。本研究の分析対象者は208名(老人クラブ会員100名,老人クラブ非会員108名)であり,対象者の年齢は75.8±5.2歳であった。老人クラブ会員と非会員の口腔機能を比較したところ,オーラルフレイルの認知度については有意差が認められなかったが(p=0.676),認知経路は異なり,会員では広報イベントやメディア,広報誌などが多くの割合を占め,非会員ではメディアが大半を占めた。また,オーラルフレイルの危険性を比較すると,会員(45.0%)が非会員(59.3%)よりも危険性ありの割合が低いことが明らかになった(p=0.040)。さらに年齢別では,後期高齢者において非会員のほうが会員よりもオーラルフレイルの危険性ありの割合が高い傾向にあり(p=0.077),性別では,女性において非会員のほうが会員よりもオーラルフレイルの危険性ありの割合が有意に高かった(p=0.032)。

     年齢や男女特有の口腔機能低下要因との関連性が見いだされたことから,地域在住高齢者が老人クラブへ所属することの重要性が明らかになった。

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