老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
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24 巻, 2 号
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総説
臨床報告
  • 松香 芳三, 笈田 育尚, 熊田 愛, 縄稚 久美子, 西山 憲行, 菊谷 武, 窪木 拓男
    原稿種別: 臨床報告
    2009 年24 巻2 号 p. 91-96
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/10/19
    ジャーナル フリー
    摂食・嚥下機能が低下している高齢患者において, 胃瘻を造設することにより胃腸の機能を残存させながら栄養管理が可能となる。しかしながら, 胃瘻には種々の問題点が存在するため, 胃瘻の早期脱却を目標にして, リハビリテーションを実施するべきである。今回, 胃瘻造設を行ったが, 家族の介護ならびに義歯作製によって経口摂取が可能となり, 胃瘻脱却が可能になった症例を経験したので報告する。
    患者は脳梗塞, 老年性認知症を原疾患として有していた82歳女性であり, 認知症のために, 自発的な摂食行動はみられず, 食物を口腔内に溜め込み, 嚥下運動に移行しにくい状況であった。摂食・嚥下機能の回復が十分に認められたため, 胃瘻造設術が実施された。また, 同時期に旧義歯の適合不良のため, 家族から義歯作製を依頼され, 全部床義歯を作製した。義歯作製により, 家族の食介護に対するモチベーションが向上し, 積極的に経口摂取を進めるようになった。その結果, 全量経口摂取することが可能となり, 胃瘻から脱却することが可能となった。観察期間を通して, 血清アルブミン値の大きな変化はみられなかったが, 義歯装着後には体重増加が観察され, 胃瘻脱却後も体重は維持されていた。その後, 摂食・嚥下に対する直接訓練が効を奏し, 自分で摂食する場面も観察されるようになった。
  • 吉仲 正記, 藤本 佳之, 古谷 暢子, 前田 芳信
    原稿種別: 臨床報告
    2009 年24 巻2 号 p. 97-102
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/10/19
    ジャーナル フリー
    ビスフォスフォネートは, 骨疾患に対する高い治療効果から使用される症例が増加している。一方, 近年同薬剤に関連した顎骨壊死が多数報告されている。本研究の目的はビスフォスフォネートに関連した顎骨壊死4例について報告および考察することである。
    症例1 : 乳癌骨転移にてゾレドロネート (ゾメタ®) を投与されていた患者で, 右下7抜歯後, 顎骨壊死を起こし骨露出が拡大していった。左上6部は顎骨壊死が自然発症した。
    症例2 : 乳癌骨転移にてゾレドロネート (ゾメタ®) を投与されていた患者で, 右上3抜歯後4カ月して同部に骨露出を認めた。
    症例3 : 乳癌骨転移にてゾレドロネート (ゾメタ®) を投与されていた患者で, 右上4が自然脱落した後, 同部に骨露出を認めた。
    症例4 : 骨粗鬆症にてアレンドロネート (ボナロン®) を投与していた患者で, 右下顎の顎骨壊死から顎下部に外歯瘻と下顎の病的骨折を認めた。
    近年, ビスフォスフォネート製剤を投与される患者が増加していると考えられる。われわれ歯科医師はその有益性とリスクについて十分に理解し, 医科主治医との連携を密に行い, なるべく抜歯等の外科的処置はビスフォスフォネート投与前に行い, 投与後は口腔衛生状態を良好に保つように努める必要があることが示唆された。
講演抄録集
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