老年歯科医学
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17 巻, 1 号
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  • 新庄 文明
    2002 年 17 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 樋口 裕一, 小池 伸子, 浅井 崇嗣, 高橋 一也
    2002 年 17 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    本研究では, 硬さの異なるバリウム含有ゼリー (Ba-Jelly) を作成し, 被験者とした平均年齢27歳の健常者に, 咀嚼・嚥下させた状態をビデオX線透視検査 (VF) およびナソヘキサグラフを応用し咀嚼との関連を含めで評価した。
    VFの結果, 食塊は口腔期に存在する時間が長く, 中咽頭への移動が短時間で行われた。その後, 中咽頭から下咽頭へ, 下咽頭から食道への食塊移行が短時間で行われた。また, ゼラチン量が多いほど, 最大速度が低下する傾向を示した。さらに, 中咽頭の移行と下咽頭への移行を比べると, 中咽頭への移行の方が最大速度が大きかった。
    ナソヘキサグラフの結果, ゼラチン量が多いほど咀嚼回数が増えた。また, 嚥下直前の咬合音と嚥下音の時間を計測したところ, ゼラチン量が多いほど, 時間差が長くなった。
    以上のように, Ba-Jellyの物性により, 咀嚼・嚥下に差がみられた。咀嚼・嚥下は, 多くの筋および他の関係組織のすべてがタイミング良く, 協調運動する事によって正常に機能する。しかし, 高齢者は, 食塊を運搬する通路そのものの異常はもちろん, 食塊の運搬動作の異常など, さまざまな原因で咀嚼・嚥下機能の低下がおこる。今後, 本研究に用いたBa-JellyをVFで透視し, ナソヘキサグラフの顎運動, 筋活動, 咬合音, 嚥下音記録によって, 高齢者の咀嚼・嚥下を評価することに努める。
  • 国立療養所中部病院歯科における実態調査
    新井 康司, 角 保徳, 植松 宏, 三浦 宏子, 谷向 知
    2002 年 17 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    近年, 歯科臨床においても急激な高齢化を受け, 高齢患者が増加している。特に, 痴呆性高齢患者へ歯科的対応は非常に重要な問題である。そこで, 本研究では, 痴呆性高齢者の歯科保健行動, 義歯管理能力, 摂食行動の実態を調べた。対象者は, 国立療養所中部病院歯科を受診した高齢患者426名 (65~99歳) である。これらの対象者に対して, 痴呆の程度, 歯科保健行動, 義歯管理能力, 食事の性状, 摂食状況等を, 本人あるいは介護者への聞き取り調査ならびに直接観察の手法を用いて評価し, 痴呆の重症度との関連性を調べた。その結果, 痴呆の重症度と歯科保健行動ならびに摂食状況とは密接に関係していることが明らかになった。すなわち, 痴呆が重症になるに従い,(1) 歯磨き回数の減少,(2) 口腔ケア介護の必要性の増加,(3) 義歯の取り扱い・管理能力の低下,(4) 食介護の必要性の増加,(5) きざみ食などの調理内容の変化, 等が見られた。
    これらのことより, 痴呆性高齢者の口腔保健と摂食機能を維持しQOLの向上を図るには, 痴呆の重症度を考慮した口腔ケアを導入し, 介護者による適切な歯科保健・介護サービスを行う必要が明らかとなった。
  • 斎藤 徹, 長谷川 慶子, 長谷川 賢
    2002 年 17 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    歯科治療による口腔機能の改善が, 高齢者の食事形態および日常生活活動 (ADL) を改善させるか否かを検索した。対象は1999年1月から2001年12月の間に当科にて歯科診療を施行した65歳以上の高齢者117症例とした。食事形態は, 常食, 米飯+キザミ食 (主食: 米飯, 副食: キザミ食), 粥+常菜 (主食: 米粥, 副食: 常菜), 粥+キザミ食 (主食: 米粥, 副食: キザミ食), ミキサー食, 経管栄養の6形態に分類した。また, ADLは食事, 入浴, 排泄, 更衣, 移動の5項目をそれぞれ自立, 一部介助, 全介助に分類した。
    以上の症例中, 歯科治療後に食事形態が1段階以上改善したもの: 59例 (50.4%), 不変: 53例 (45.3%), 悪化: 5例 (4.3%) であった。歯科治療前と比較して常食が著明に増加し, 粥+キザミ食が顕著に減少した。また.ADLの自立度のいかんにかかわらず, 約4割~6割の症例で食事形態の改善が見られた。他方, ADLの評価5項目中, 1項目以上で改善が認められたもの: 4例 (3.4%), 悪化したもの: 5例 (3.4%), 不変: 109例 (93.2%) であった。歯科治療前後でADLに著明な変化はなかった。
  • 古玉 克平, 南 暢真, 田村 仁孝, 藤 喜久雄
    2002 年 17 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    近年, 高齢化が進み通院で医療サービスを受けられない患者が増加してきている。また, 末期癌患者においても, 通院ができず長期入院を余儀なくされている患者も少なくない。我々は, 少しでも入院期間を短縮できるように末期の口腔癌患者に対して, 平成8年より訪問診療を行っている。今回, 訪問診療した5症例について検討した。
    初診時の平均年齢は, 78.4歳であり, 扁平上皮癌4例, 腺様嚢胞癌1例であった。5症例とも家族, もしくは本人の強い希望により訪問診療を行うことを決定した。5例中3例がすでに死亡, 2例は訪問診療を継続して行っている。死亡例について検討すると, 2例が在宅死, 残り1例も入院から死亡まで3日間と短期間であった。初診から死亡までの平均日数は236日で, このうち化学療法や誤嚥性肺炎の治療で入院した平均入院日数は72日であった。訪問診療を行った期間は133日 (うち実訪問日数21日) で, 残りは通院での診療であった。
    口腔癌は, 出血, 悪臭やボディイメージの障害など在宅管理する上で, 他組織の癌に比べると様々な問題があるにもかかわらず多くの家族 (本人も含め) が訪問診療を希望していることが分かった。これにより, 患者本人や家族の要望にこたえられるように, 訪問診療や入院など多様な医療サービスの手段を持つことが大切と思われた。
  • インターネットを応用した訪問歯科診療システム
    飯沼 利光, 祗園白 信仁, 森谷 良彦, 織井 康亙, 瀧澤 朋章, 土田 桂, 高山 明男, 黒崎 俊一, 山田 博明, 山本 昭一, ...
    2002 年 17 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    在宅寝たきり高齢者への訪問歯科診療に関しては, 対象となる患者が多くの全身的な疾病を併せ持ち, しかも生活反応も低下していることから, 全身状態をいかにして考慮し, またどの範囲までの治療を行うべきかについての判断が重要となる。しかし, 在宅寝たきり高齢者への歯科診療に際し特別な訓練や知識の教授を受けたことや, 経験の少ない訪問診療スタッフに早急に十分な活躍と成果を期待するのは不可能である。
    そこで本研究は, その対策として訪問歯科診療を行っている地域歯科医師会などと大学病院など高次医療機関とが, チームにて協力し診療にあたるためのシステムの開発と構築およびその円滑な運用などの基本的なシステムづくりを目的としている。システムの開発は, インターネットを活用し, そのホームページ上にて情報のやりとりを行う。さらに効率的医療と事故の防止のためチャートの作成を行った。このシステムとチャートを, 日本大学歯科病院に来院した全身疾患を有する患者に試験運用し, その有用性の検討を行った。その結果, 本システムが診療を行った歯科医師に, またアドバイスを行ったスタッフにも利便性があり, 安全でストレスのない診療を行うのに有効であることが明らかとなった。さらに, 円滑なシステムの運用には, 両者の間で調整役を務めるコーディネーターの存在が重要であり, その育成の必要性が認められた。
  • 角 保徳, 新井 康司, 譽田 英喜, 道脇 幸博, 砂川 光宏
    2002 年 17 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    我が国で使用されている義歯は, 現在推計値として3, 170万個と膨大な数が使用され, その管理にかかる労力と時間は多大なものと推測される。自分で義歯を機械的に洗浄することが困難な要介護高齢者にとって, 義歯洗浄剤の果たす役割が大きいと考えられるために, 義歯洗浄剤に着目しその有効性の評価を目的とする。
    要介護高齢者の義歯の化学的洗浄前後の義歯微生物叢の変化を微生物培養法によって評価した。
    義歯に付着している微生物は, Candida spp.を除き義歯の化学的洗浄により除菌されることが多いのに対し, Candida spp.は検出率・量ともに多く残存した。
    Candida spp.が, 義歯性口内炎の原因微生物でもあることから, 義歯の洗浄に関して義歯材質, 機械的・化学的洗浄方法に対する更なる研究が必要であると考えられた。また, 自分で義歯を洗浄できない要介護高齢者のために, Candida spp.を確実に除菌できる安全な義歯洗浄剤の開発が急務であると考えられた。
  • 第一報 クリティカルパス作成過程
    斉藤 美香, 依田 知久, 佐々木 貴子, 平野 浩彦, 山口 雅庸
    2002 年 17 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    入院下歯科治療に対応するクリティカルパス作成過程について報告する。過去5年間に当科において入院下歯科治療を受けた患者23名を調査した。その結果をもとに, 入院下歯科治療に導入するパスの骨組みを以下のように設定した。
    1.パスの対象患者: ADLの低下があり, 低下原因となった疾患が慢性化 (状態が安定) していること。入院により新たに内科的治療を要しないこと。
    2.治療項目: (1) 小手術 (抜歯など) (2) 保存治療 (齲蝕治療, 根管治療など) 補綴治療は外来通院, 地域診療所, あるいは訪問診療で行う。
    3.治療は1日2回行う。ただし休診日である土日, 木曜日の午後は原則として行わない。
    4.治療する日数: 14日間 (治療日数10日+休診日4日), 7日間 (治療日数5日+休診日2日) の2通りの日数を設定した。これは治療歯数や治療内容に応じて対応できるようにした。
    5.バリアンス: 在院日数が長期化した時やパスに沿って計画したこと以外の事項があった場合をバリアンスとした (その場合, 計画した歯科治療は完遂していることが必要である) 。
    6.パス脱落: なんらかの理由により計画した歯科治療が完遂しなかった場合をパス脱落とした。
    これらをふまえ, パス用紙を作成した。
  • 第二報クリティカルパス適応結果の解析
    佐々木 貴子, 阿部 尚美, 依田 知久, 斉藤 美香, 平野 浩彦, 山口 雅庸
    2002 年 17 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    東京都老人医療センター歯科口腔外科で考案した入院下歯科治療クリティカルパスを2000年2月から2001年5月の16ヵ月間に適応した患者28名 (男性14名, 女性14名) を対象に調査検討を行い, 以下の結果を得た。
    (1) 患者が有していた内科疾患の平均数は6.8であった。このうち, パス適応の原因となった最も重要な疾患および後遺症は脳神経系疾患が53.6%であった。
    (2) 入院下歯科治療の平均在院日数はパス導入前と比べ4.8日短縮した。
    (3) パス施行28例中, バリアンスは9例, 脱落は3例であった。
    (4) 歯科医, 歯科衛生士, 看護婦問における役割分担, 治療内容, および経過把握が明確になり, 指示および看護記録の簡素化などの改善が得られ, 医療の標準化につながった。
    (5) パス施行後, 患者および介護者に対し, 当パスに対する満足度調査を行った。入院下歯科治療に対する満足度, 治療内容の理解度の項目において, 高い評価を得ることができた。
  • 訪問歯科診療協力歯科医師へのアンケート結果
    森谷 良孝, 飯沼 利光, 祗園白 信仁, 森谷 良彦, 高山 明男, 山田 雅昭, 山崎 彰啓, 塚本 亨, 白橋 知幸, 山崎 一男
    2002 年 17 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    我が国は超高齢化社会を迎え, 高齢者が安心して生活できる社会環境の整備を行う必要がある。東京都葛飾区歯科医師会では, 1990年より “たんぽぽ診療所” にて, 在宅寝たきり高齢者への歯科診療を固定診療所と訪問診療による二本立て, いわゆる「葛飾方式」の診療形態にて行っている。その結果, 地域住民特に寝たきり高齢者のQOLの向上に多大な貢献を果たしている。そこで本研究は, たんぽぽ診療所協力歯科医師を対象とし, 13項目のアンケートを行い, その診療方法や内容について意見を集約し, 寝たきり高齢者への介護に際し歯科医療の果たせる役割, さらに安全かつ効率的で良質な訪問歯科診療の実施に関する調査を行った。その結果, 約9割の協力医が在宅寝たきり高齢者への歯科診療に携わり良かったと感じており, しかもこの経験が協力医自身の診療所における日常臨床に生かされていた。処置内容に関しては, 訪問診療と固定診療では適応とする処置内容に相違が認められ, 口腔内の長期的健康管理を行う上で必要な要素については, リコールプログラムの充実と回答した協力医が量も多かった。さらに, 歯科医のみならず全てのコデンタルスタッフのレベルアップが望まれていることが明らかとなった。そのため, 高次医療機関などの専門スタッフとの研修あるいは歯科および医科以外の分野からの知識導入も図る必要があり, そのためのソフトおよびハード面での整備を行う必要がある。
  • 阿部 幸作, 両角 祐子, 黒川 裕臣, 江面 晃
    2002 年 17 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    新潟県のかかりつけ歯科医 (診療所) および病院歯科の歯科医師を対象とした病診連携に関するアンケートと, 日本歯科大学新潟歯学部附属病院における在宅歯科診療で, 入院治療を必要とした患者を対象としたアンケートから, 病診連携を推進するために現在の状況や問題点について検討を加えた。
    新潟県の診療所の歯科医師が病院歯科に望む支援体制は, 病診連携システム, 在宅医療システムの順に高かった。病院・診療所の機能分担 (病診連携) の必要性については, 病・診のいずれも必要性は意識しているが, 実際に行うのは難しいと考えている病院歯科が53.0%と多くみられた。
    当院における在宅歯科医療で, 入院治療を必要とした患者に対するアンケートは, 平成12年1年間の20人を対象とした。19名に抜歯などの観血的処置が行われ, ほとんどが脳血管障害を有していた。入院前のインフォームドコンセント, 入院中の配慮を適切に行うことで, 入院歯科治療に対する不安感は軽減された。入退院時の交通手段は, 45%が福祉タクシーを利用していた。
    今後は, 病院歯科に地域の基幹病院としてのさらなる連携が望まれ, 当院在宅歯科往診ケアチームは, 入院歯科治療によるかかりつけ歯科医の後方支援も積極的に行っていくことが重要と考えられた。
  • 下山 和弘, 高野 紗恵子
    2002 年 17 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 下山 和弘, 林田 亜美子
    2002 年 17 巻 1 号 p. 72-74
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 露木 悦子
    2002 年 17 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 藤本 篤士
    2002 年 17 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 雅志
    2002 年 17 巻 1 号 p. 85
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
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