老年歯科医学
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35 巻 , Supplement 号
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認定医審査症例レポート
  • 和智 貴紀, 荻野 洋一郎, 柏﨑 晴彦
    2021 年 35 巻 Supplement 号 p. 52-54
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/19
    ジャーナル フリー

     緒言:高齢患者や全身的既往を有する患者におけるインプラント治療では,再介入する際に,外科的侵襲を加えるのが困難な状況に直面することも多い。今回われわれは,高齢インプラント患者に対して多職種連携にてメインテナンスに取り組んだ1例を経験したので報告する。

     症例:患者は86歳,女性。2015年にインプラント周囲の腫脹および疼痛を自覚し,当科受診した。既往歴として,再生不良性貧血や悪性リンパ腫などが挙げられる。口腔衛生管理状態は不良であり,左側上顎臼歯部インプラント周囲歯肉には自然出血および排膿を認めた。また,エックス線検査所見において,全顎的に中等度から重度の辺縁骨吸収像を認めた。

     経過:検査所見からインプラント撤去の必要性も考えられるが,本症例は大がかりな外科処置への制約が存在する。そこで患者,介助者および歯科衛生士と協力して徹底的な口腔衛生管理を行うこととした。全顎的な歯肉炎症の緩解を確認し,担当内科医へ全身状態に関して対診した後に,左上臼歯部の不良肉芽搔爬術を行い,良好な経過を得ている。

     考察:本症例は,後期高齢者であることに加えて,全身的既往により感染に対して脆弱な状態であり,適切な口腔衛生管理が特に重要になると考えられた。それに対して,多職種が緊密に連携して対応し,少ない侵襲で良好にメインテナンスを行うことができた。

  • 岡本 美英子, 谷口 裕重, 松尾 浩一郎
    2021 年 35 巻 Supplement 号 p. 55-59
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/19
    ジャーナル フリー

     緒言:破傷風は,現代ではまれな疾患であるが,開口障害や嚥下障害などの重篤な神経筋症状を引き起こす感染症である。今回,開口障害と摂食嚥下障害が残存した重症破傷風菌感染患者に対し,回復期リハビリテーション病院にて,多職種連携にて口腔管理を実施した1例を経験したので報告する。

     症例:75歳,女性。XX年4月に開口障害を主訴に前病院を受診,破傷風と診断された。全身痙攣や呼吸不全を発症し,長期呼吸器管理となった。第75病日,回復期リハビリテーション病院へリハビリテーション目的に転院し,歯科を受診した。転院時には,関節の拘縮や廃用が進行しており,ADLは全介助であり,食形態は,全粥・軟菜キザミ食であった。開口量は15 mmで,口腔内は口腔乾燥著明,衛生状態は良好であった。上顎は無歯顎,下顎は両側第一小臼歯まで残存し,義歯は紛失していた。

     経過:転院後の初回嚥下造影検査(Videofluoloscopy:VF)では,嚥下反射惹起遅延,喉頭閉鎖不全と咽頭収縮不良がみられ,うすいとろみで嚥下中に喉頭侵入を認めた。食事は全粥・軟菜キザミ食,液体は中間のとろみにて摂取となり,言語聴覚士(Speech therapist:ST)による間接訓練も開始された。同時に,開口訓練と義歯新製を開始した。開口訓練により開口量は31 mmまで改善し,義歯完成後は咀嚼訓練も開始した。他のリハビリテーションによりADLも回復し,筋緊張も徐々に緩和して,最終的に自力での常食・液体の全量摂取が可能となり,自宅退院となった。

     結論:本症例は,破傷風菌感染の重症化から重度の摂食嚥下障害と開口障害が出現した。その症例に対し,回復期リハビリテーションにおいて他職種と連携し,情報を共有しながら口腔管理と嚥下リハビリテーションを行うことで,最終的には常食を自己摂取可能となり,退院することができた。

  • 久保 慶太郎, 中島 純子, 上田 貴之
    2021 年 35 巻 Supplement 号 p. 60-64
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/19
    ジャーナル フリー

     緒言:舌口底がんに対する外科的治療後に口腔の機能障害を生じた高齢患者に対し,舌接触補助床(PAP)と口腔機能訓練を行い,良好な結果を得た症例を経験したので報告する。

     症例:76歳の女性。2017年に左側舌口底がんに対し切除術を施行した。術後に患側に舌の運動障害を生じ,前医にてPAPを製作した。その後,調整を繰り返すも,咀嚼,構音および嚥下障害は改善されなかった。上顎は無歯顎で総義歯が装着され,下顎は固定性ブリッジが装着されていた。旧義歯は適合,咬合,排列状態に問題はないが,後縁は短く,維持が得られていなかった。パラトグラム検査を行ったところ,発音時に口蓋部研磨面と舌との間に十分な接触を認めず研磨面形態が不良で,会話明瞭度はレベル4であった。口腔機能精密検査を行い,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能が該当した。以上よりPAPの後縁,研磨面形態の不備,舌機能低下による咀嚼障害,嚥下障害,構音障害と診断した。床縁を改善した総義歯を製作し,粘膜調整材を口蓋部研磨面に添加して口蓋部の形態を決定し,PAPとした。加えて,口腔機能訓練を旧義歯に義歯安定剤を使用した状態で行った。

     経過:PAPを装着し,会話明瞭度はレベル2まで改善した。口腔機能精密検査の検査項目は,舌口唇運動機能と舌圧,咀嚼機能,嚥下機能の項目で改善した。本症例では口腔機能訓練に加え,適切な床縁,口蓋形態を付与したPAPを装着し,術後の口腔の機能障害を改善した。

  • 山口 喜一郎, 原田 真澄, 平塚 正雄
    2021 年 35 巻 Supplement 号 p. 70-74
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/19
    ジャーナル フリー

     緒言:認知症患者では,セルフケアの困難性からう蝕や歯周病が進行し,残存歯数の減少,咬合支持の喪失,義歯使用困難が生じる。さらに栄養状態が低下し,認知症の進行へとつながる。今回,多職種連携により口腔衛生状態と栄養状態が改善した,中等度認知症患者の症例を経験したので報告する。

     症例:中等度アルツハイマー型認知症の80歳男性。痛みのある歯の治療と入れ歯を使えるようにしてほしいとの長女の希望で当科受診。口腔衛生状態の改善と義歯修理を目的に治療を行った。

     経過:セルフケアは困難であったため,長女と介護サービスと連携し,口腔衛生状態の改善と維持を行った。義歯修理後,義歯を使用しての食事が可能となり,2カ月後には口腔衛生状態の改善が認められ,4カ月後には栄養状態の改善が認められた。

     考察:口腔機能訓練が困難な中等度認知症患者であっても,義歯を装着し,咀嚼能力が向上することで,栄養状態が改善することが示唆された。また口腔衛生状態の改善には,介護者の協力が必要であるが,負担を減らす配慮が必要となる。本症例では,医療,介護,福祉における多職種との連携・協働を図るよう口腔健康管理を計画し,実践したことが口腔衛生状態の改善につながった。今後も,患者・家族・介護とかかわりを絶やさない継続した口腔健康管理を行っていくことが,改善された口腔衛生状態や栄養状態を維持し,QOLの向上・維持に寄与すると考える。

  • 高橋 真実子, 河相 安彦
    2021 年 35 巻 Supplement 号 p. 111-114
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/19
    ジャーナル フリー

     緒言:厚生労働省によると,2017年の脳血管疾患患者数は111万5,000人とされている。脳血管疾患初発の患者への歯科介入が嚥下リハビリテーションのなかで有効であった症例を経験したので報告する。

     症例:69歳,男性。脳血管疾患を初発症し,大学病院で治療後,東京都リハビリテーション病院にリハビリテーション目的で転院した。

     経過:患者が新義歯製作を希望したことから,医科担当医から歯科に依頼されたのを受け,第32病日の急性期患者に対し,補綴治療を開始した。

     考察:多職種が介入し治療を行った結果,経鼻経管栄養から3食常食に食事形態が上昇し,かつ構音の改善を認めた。

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