公立みつぎ総合病院において, 栄養サポートチーム (以下, NST) が関わった入院患者の全身状態と口腔状態, 歯科介入前後の口腔状態変化, 摂食状況について調査し, NSTにおける歯科の役割を検討した。
調査期間は平成18年3月から平成19年9月, 対象者は132人 (81.3±11.6歳) であり, NST介入の主原因としては発熱性消耗性疾患が最も多かった。全身状態として嚥下障害50.0%, 褥瘡20.5%, 認知症34.1%を認めた。介入時69.7%は経口摂取であったが, 摂食不良になった10.6%に胃痩増設術が行われた。平均介入日数は58.6日, 76.5%に栄養状態の改善を認めたが, 22.0%は死亡退院であった。
口腔状態については, 義歯不調や破損, 紛失等32.6%, 口腔カンジダ症48.5%, 口腔乾燥 (舌) 41.7%であり, 80%以上に口腔環境の悪化を認めた。対象者132人中100人に歯科治療を開始した結果, 口腔カンジダ症など各項目で改善し, アルブミン値も有意に上昇した。経口摂取では, 嚥下食から普通食に改善した割合が最も高く, 喫食率は上昇した。栄養状態が安定した64.0%は退院し, NST終了後も54.0%に歯科の関わりが継続された。
高齢者の栄養管理には多職種による連携が必要であり, NST対象者の大半が経口摂取であることからも, 口腔機能の改善, 維持管理に歯科の果たすべき役割は大きいと考えられる。
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