台湾養豚の豚肉供給力を規定する豚飼養頭数は, 1991年には10,089千頭まで増加してきたが, それ以降は停滞傾向にある。養豚農家数は1993年までの9年間では年率12.1%の減少率であるのに対し, 飼養規模は年率18.9%と言う驚異的な拡大率である。このため, 1993年時点の500頭以上階層は79.8%を占め, さらに5,000頭以上階層は19.8%の頭数割合になっている。このような台湾養豚の規模拡大が豚肉供給力を支えている。
養豚技術を統計数値から推察すれば, 繁殖成績とくに種雌豚年間1頭当たりの豚生産頭数は1993年には12.5頭まで低下している。しかし, 肉豚の出荷時体重・枝肉重量は増加しており, 1993年には前者は104kg・後者は85.8kgまで増大している。また, 背脂肪厚は1993年には1.71cmにまで減少している。
肉豚価格は季節変動と4~5年の周期変動を示しているが, 肉豚価格の下落率が小さいことが台湾養豚の供給力を高めている主要な要因であると考えられる。
さらに, 豚肉輸出力を最も大きく規定する肉豚生産コストは, 厳密な生産費は計測されていないが, 肉豚1頭当たりの生産費合計は14.9~16.5千円 (4.25円/元で換算) の範囲にあり, 低コスト構造を形成している。これには種々の要因が想定されるが, 輸入トウモロコシなどの単味飼料を自由に自家配合していることが一因になっていると考えられ, これは養豚部門の規制緩和が徹底しているためと推測される。
この外, 養豚の経営形態の多様性, 豚糞尿処理への対応等種々の要因が介在しているが, 台湾養豚は日本への豚肉輸出を梃として国内供給力の展開が図られている状況にある。
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