日本養豚学会誌
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30 巻, 3 号
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  • 吉田 力, 佐藤 直人
    1993 年 30 巻 3 号 p. 199-206
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    不断給餌で飼育し, 皮剥ぎ法によって屠殺処理した生体重70kgと108kgの豚枝肉構成成分と比重の関係について, LW・D去勢豚29頭, 雌豚31頭を用いて検討した。枝肉構成成分は精密に筋肉, 脂肪, 骨に分離して求め, 比重は空気中重量と市販の浴槽 (70×60×60cm) を用いて測定した水中重量から算出した。枝肉構成成分割合の平均値は体重70kgでは筋肉, 脂肪および骨の割合がそれぞれ56.6, 30.5および12.5%, 108kgでは54.1, 35.0および10.9%であった。比重は体重70kgでは1.04786, 108kgでは1.04136であった。枝肉比重と枝肉構成成分割合の相関係数は, 体重70kgでは筋肉と0.917, 脂肪と-0.932, 骨と0.453であり, 体重108kgではそれぞれ0.929, -0.944, 0.498であった。このことから, 枝肉の筋肉割合と脂肪割合を推定するために比重が有用であることが示され, 各々の体重で枝肉並びに部位毎に比重を用いた推定式を作成した。体重70kgと108kgのデータをプールして比重による推定式が作成可能かどうか検討した結果, 目的とする体重別に作成する必要性が示された。比重算出における空気中重量と水中重量の測定精度が比重から推定される筋肉および脂肪の割合に及ぼす影響を検討した結果, 両者とも1g単位で測定した場合に比較し, 空気中重量を20g単位で, 水中重量を1g単位で測定した場合には, 推定される筋肉および脂肪の割合は約0.02%変動した。また, 空気中重量を1g単位で, 水中重量を5~10g単位で測定した場合には, 推定される筋肉および脂肪の割合は0.1~0.2%変動すると試算され, 水中重量の測定精度を1g単位程度まで高める必要性が示された。
  • 伊藤 米人, 鈴木 博
    1993 年 30 巻 3 号 p. 207-214
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    北京黒豚種の雄について, 精巣と精巣上体の発達および射精能力発現時期を調査した。研究には, 生後75日齢から360日齢までの29頭の雄豚を使用した。結果は, 以下のように要約される。
    (1) 精巣および精巣上体重量は, 90日齢において39.2±7.8gおよび15.1±2.6gから165-180日齢では444.3±81.9gおよび86.7±8.2gとなり急激な増加を示したが, その後330-360日齢では735.0±99.0gおよび159.8±33.6gを呈し緩慢な増加であった。
    (2) 精巣の組織学的観察では, 90日齢では1個の精細管中に数個の精祖細胞が観察され, 105日齢で精細管腔内に精子が出現した。120日齢では精細管の直径は約234.4±3.0μmとなり, 精上皮は成熟型となった。120日齢以後は, 精細管の直径および精上皮の構造に著しい変化はなかった。
    (3) 精巣上体の観察では, 120日齢で精巣上体尾に初めて精子が出現した。射精能力の発現は, 5ヵ月齢であった。
  • 松岡 昭善, 高橋 強, 山中 良忠
    1993 年 30 巻 3 号 p. 215-219
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    既報1)のポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動法による肉種鑑別において, o-tolidine を基質として用いた Peroxidase 反応による Heme protein 染色 (T-Hp染色) が肉種の識別に有効であることを明らかにしたが, 本実験においては SHAW and PRASAD2) の 3-amino-9-ethylcarbazole を基質とする Peroxidase 反応を用いて Heme protein 染色 (C-Hp染色) を行い, 牛, 馬, 豚, 山羊および緬羊肉の識別並びに牛豚合挽肉を対象として, 豚肉に混入された牛肉および牛肉の代替肉として想定される, 馬および緬羊肉の識別可能な最低混入率について比較検討した。結果は次のとおりである。
    1) C-Hp染色は染色性が強く, T-Hp染色1)と比較してバンドの数が若干少ない傾向にあったが, ほぼ類似した分離パターンを示し, 馬, 牛, 緬羊・山羊, 豚の4群に識別することが可能であった。
    2) 豚肉に牛肉を混入した場合の検出可能な最低混入率は1%であったが, 牛肉に豚肉を混入した場合は, 混入率が1%になると豚固有のバンドが不明瞭となり, 識別が困難となった。豚肉に馬肉を混入した場合は, 馬肉の混入率が1%で馬肉固有のバンドが認あられた。馬肉に豚肉を混入した場合は, 豚肉の混入率が1%になると豚肉固有のバンドが認められるようになった。豚肉に緬羊肉を混入した場合には, 緬羊肉の1%混入で識別可能となった。緬羊肉に豚肉を混入した場合も1~5%の混入率で識別可能であった。以上の結果は既報1)のT-Hp染色とほぼ同等の結果であった。
  • 桝田 博司, 小栗 紀彦, 米村 功, 和泉屋 公一, 遠藤 健治, 保科 和夫, 富塚 常夫, 小島 敏之
    1993 年 30 巻 3 号 p. 220-225
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    豚凍結精液の授精による受胎率および産子数が, 液状精液の授精あるいは自然交配に比較して, 平均的に劣る原因を明確にすることを目的として実験を行い, 次の結果を得た。
    1. 授精5~8日目回収卵の黄体数に対する受精卵率は凍結精液で65.1%, 液状精液で92.8%であった。受精後, 桑実期以上に発育していた胚の割合は前者で78.2%, 後者で74.4%であり, 両者間に著差はみられなかった。
    2. 2回目授精から半日以内に発情の終息した雌豚30頭は全て受精卵を保有しており, 受精率は89%で, このうち桑実期以上に発育していた胚は84.8%であった。これに対して, 2回目授精から発情の終息まで1日以上に及んだ雌豚および1回目授精時に発情が終息しかかっていた雌豚の受精率及び発育胚率は著しく低かった。
    3. 染色体異常胚の出現率は凍結精液区で9.5% (2/21), 液状精液区で6.7% (2/30) であり, 両者間に著差は認められなかった。
    4. 授精後25-70日における胎子の損耗は4.7%で, 損耗と授精時の精子活力との関連は見られなかった。
    以上, 凍結精液の受胎成績を左右する主要因は受精卵数にあり, 異常胚の発生や胚の損耗割合には液状精液授精との差のないことが明らかとなった。
  • 西 清志, 鈴木 啓一
    1993 年 30 巻 3 号 p. 226-233
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    豚に給与する飼料量の制限が, 豚体の脂肪蓄積に及ぼす影響を明らかにするため, 肥育豚の枝肉の皮下脂肪厚と横断面脂肪面積割合を測定し, 比較検討した。系統間三元交雑豚 (LW・D) の去勢雄豚37頭, 雌豚32頭を用い, 肥育前期 (30~70kg) と肥育後期 (70~105kg) に区分し, さらにそれぞれ不断給餌区, 不断給餌量の92, 83および75%区に区分した。体重が70kgと105kgで屠殺し, 枝肉右半丸を-30℃で凍結保存した。凍結枝肉の各胸椎と腰椎毎に横切断し, 各切断面の全脂肪面積割合を測定した。さらに, 第5, 11, 13胸椎と第6腰椎については脂肪を皮下, 筋間および腹側部脂肪に分けて脂肪面積割合を測定した。切断片は粉砕後化学分析に供した。飼料給与の制限により, 去勢雄豚の肥育前期では皮下脂肪厚のカタ, セ, コシの3部位は影響を受けず, 最後胸椎の正中線から4, 6, 8および10cm脇にずれた部位が有意な影響を受けた。また, 第7から13胸椎部分の脂肪面積割合, 特に皮下脂肪の蓄積量が減少した。肥育後期では, 皮下脂肪厚はいずれの部位も有意な影響を受けなかったが, 第1から10胸椎までと第16胸椎から最後腰椎部分の脂肪面積割合が影響を受け, 前躯から中躯の筋間脂肪の蓄積量が減少した。雌豚では, 肥育前期, 後期ともカタ, 最後胸椎部位の皮下脂肪厚が有意な影響を受け, また, ほとんどの部位で脂肪面積割合が減少した。特に, 肥育前期では筋間と腹側部脂肪が減少し, 肥育後期ではカタの部分では皮下脂肪が, 中躯では筋間脂肪が減少した。
  • 河野 建夫, 榊原 徳造
    1993 年 30 巻 3 号 p. 234-241
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    大ヨークシャー種344頭 (雌豚142頭, 雄豚202頭) を用い, 体重90kg時における蹄底面積, 内外蹄比 (内蹄底面積/外蹄底面積) および蹄底損傷状況を調査し, それらと産肉性, 体型および遺伝との関係について分析した。蹄底面積は前肢外蹄11.6cm2, 同内蹄9.9cm2, 後肢外蹄10.8cm2, 同内蹄8.0cm2, 内外蹄比は前肢0.86, 後肢0.75で, いずれも前肢が大きかった (P<0.01)。また右蹄は左蹄より大きく (P<0.01), 雄は雌より大きかった (P<0.01)。蹄底面積は, 1日平均増体重および屠体長と正, 背脂肪の厚さおよびロース断面積と負, 管囲と正の相関関係にあった。また, 後肢内外蹄比とハム割合との間に負 (P<0.01) の相関が認められた。蹄底損傷の発生頭数は246頭 (71.5%) であった。損傷発生率は, 前後肢とも外蹄が内蹄を上回った (P<0.01)。しかし, 前後肢間に差はみられなかった。蹄底に損傷が認められた豚は, 認められなかった豚に比べ蹄底面積が小さい傾向にあった。しかし, 損傷の有無と産肉性および体型との間に顕著な傾向は認められなかった。蹄底形質の遺伝率推定値は前肢外蹄底面積0.561, 同内蹄底面積0.564, 同内外蹄比0.475, 後肢外蹄底面積0.423, 同内蹄底面積0.495, 同内外蹄比0.354, 損傷発生率0.353と, いずれも中程度以上の値を示した。
  • 古谷 修
    1993 年 30 巻 3 号 p. 242-248
    発行日: 1993/09/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
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