日本養豚学会誌
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60 巻, 2 号
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原著
  • 鈴木 雅大, 金山 裕里, 小菅 佳菜, 島田 日奈子, 高橋 慶, 丹羽 美次, 佐伯 真魚
    2023 年 60 巻 2 号 p. 39-48
    発行日: 2023/06/21
    公開日: 2023/09/21
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    本試験は好気性条件での日本酒粕の保存温度に伴う保存性を検討するとともに,保存日数が異なる日本酒粕の飼料への添加(嗜好性試験1)と,保存日数ごとの日本酒粕の飼料への添加割合(嗜好性試験2)が肥育豚の嗜好性に及ぼす影響について検討した。保存性調査では日本酒粕を10°C,20°C,30°Cおよび常温(25~31°C)で保存し,0,3,7,14日目のpH,乳酸,酢酸,プロピオン酸,酪酸およびエタノール含量を測定したが,保存期間に伴うこれらの含量に大きな変化はみられなかった。嗜好性試験は以下の2試験を,どちらも1頭ずつカフェテリア飼槽を用いて行った。嗜好性試験1では基礎飼料のみと,常温で0,3,7,14日保存した日本酒粕を乾物割合で5%となるように基礎飼料に添加した4飼料,計5飼料を用いた。その結果,保存期間に関係なく日本酒粕を添加したほうが基礎飼料のみを給与するより嗜好性は有意に向上した(P<0.05)。嗜好性試験2では,保存なしと,常温で3,7,14日間保存した日本酒粕を乾物割合で0%,5%,10%,15%,20%となるように基礎飼料に添加した各保存日数で5種類の飼料を用いた。その結果,各保存日数ともに,無添加,5%添加,10%添加に比べ15%添加が,15%添加に比べ20%添加が有意に飼料摂取量を高めることが確認できた(P<0.05)。本試験の結果から,日本酒粕は好気性条件での保存であっても,保存温度30°C以下で14日間までの保存であれば,保存性に大きな問題はないものと考えられた。また,豚に対する嗜好性については最大で14日間保存した日本酒粕であっても,5~20%の添加割合であれば,日本酒粕の添加割合が高いほどその飼料の嗜好性は向上することが考えられた。

技術ノート
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