日本養豚学会誌
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60 巻, 1 号
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総説
  • 羽賀 清典
    2023 年 60 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2023/03/08
    公開日: 2023/06/21
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    畜産環境問題が顕在化したのは1965年頃からだが,その後数々の行政的方策,技術開発,試験研究などが積み重ねられてきた。とりわけ,1999年家畜排せつ物の管理の適正化と利用の促進に関する法律の施行と2004年の本格施行以来,畜産環境をめぐる情勢は大きく変化し,畜産環境研究に与える影響も大であった。そこで養豚における最近10年余の国内の畜産環境研究の論文や専門的な解説等123件をレビューし,養豚に関する畜産環境研究の動向を,以下のとおり論述した。

    1.養豚における環境問題と研究課題については,農林水産省のデータから(1)苦情の発生状況と(2)豚ふん尿の処理状況について述べ,(3)研究課題として堆肥,悪臭,汚水,地球温暖化ガスの発生制御,コストが重要であると論述した。

    2.堆肥については,(1)堆肥化技術や装置について,(2)堆肥の利用を促進するために豚ふん堆肥の品質などについて論述した。

    3.汚水については,汚水の発生量など基本的数値となる(1)原単位や(2)処理方式,現在重要課題の(3)硝酸性窒素等の除去について,さらに新規な(4)アナモックス反応による窒素除去について論述した。汚水の資源化に関しては(5)リンの除去と資源利用と(6)メタン発酵処理によるバイオガスの生産について論述した。

    4.悪臭については,(1)給与飼料による悪臭低減,(2)悪臭物質の除去,(3)脱臭技術について述べ,(4)悪臭対策マニュアルおよび事例集を紹介した。

    5.温室効果ガスの発生制御については,(1)畜産における温室効果ガスの発生と,低減するための(2)堆肥化処理方法の改善,(3)汚水の浄化処理方法の改善,(4)飼料給与方法の改善について論述した。

    6.コストについては,養豚農家で実際にかかっている経費をもとに,年間ランニングコストと建設費について論述した。

技術ノート
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