日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
59 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著
  • 田中 康男
    2022 年 59 巻 3 号 p. 143-156
    発行日: 2022/09/21
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル フリー

    養豚汚水処理施設の適正設計には,浮遊物質(SS)の負荷量原単位も必要となる。そこで,9農場で水質調査を行い,SS負荷量原単位の実態を把握した。水質調査で得られたデータから,BOD/N比が窒素除去に適した3~4の範囲内である時のサンプルデータを抽出してSS/K+比の分布を把握した。その結果,前処理を行なっていない分離前汚水で50パーセンタイル値7.7,70パーセンタイル値9.0,90パーセンタイル値10.6,凝集剤添加後脱水機で分離した分離後汚水で50パーセンタイル値0.83,70パーセンタイル値1.2,90パーセンタイル値2.8であった。これらのSS/K+比に尿中排せつカリウム原単位として公表されている9.2 g/(頭・日)を乗ずることで算出したSS原単位は,分離前汚水の場合で50パーセンタイル値70.8,70パーセンタイル値82.8,90パーセンタイル値97.5 g/(頭・日),分離後汚水で50パーセンタイル値7.6,70パーセンタイル値11.0,90パーセンタイル値25.8 g/(頭・日)となった。

  • 山田 未知, 西藤 寛人, 山中 将彦, 武田 陽介, 池原 麻友美, 山田 幸二, 中辻 浩喜
    2022 年 59 巻 3 号 p. 157-166
    発行日: 2022/09/21
    公開日: 2022/12/28
    ジャーナル フリー

    高水分未利用原料に対する乾燥前の凍結解凍・脱水処理が,原料からの水分除去と乾燥後原料の栄養成分,人工消化試験によるブタの乾物および粗タンパク質消化率に及ぼす影響について検討した。本研究には原料として出荷時に切り落とされる生アスパラガスの茎部(アスパラ),規格外ジャガイモ(ジャガイモ)および廃棄された豆腐(豆腐)を供試した。処理区は,原料をそのまま活用した無処理区,乾燥前に原料を脱水機で脱水した脱水区,凍結後に解凍した凍結区,凍結解凍後に脱水処理を施した凍脱区とした。上記処理後のアスパラでは,無処理区と脱水区に比べて,凍結区,凍脱区の順に水分含量は減少し(P<0.05),水分除去率は増加した(P<0.05)。ジャガイモと豆腐の水分含量は無処理区,脱水区,凍結区,凍脱区の順に減少し(P<0.05),水分除去率は増加した(P<0.05)。これら処理原料の乾燥終了までの所要時間は無処理区と脱水区に比べ凍結区と凍脱区は約1/2に短縮された(P<0.05)。栄養成分含量は,アスパラとジャガイモの粗タンパク質と粗灰分が無処理区に比べ凍結区と凍脱区で減少し(P<0.05),炭水化物は増加した(P<0.05)。粗脂肪は,アスパラでは無処理区に比べ凍結区と凍脱区が増加し(P<0.05),逆にジャガイモは減少した(P<0.05)。豆腐は各区の栄養成分含量に有意な差はみられなかった。人工消化試験による各区乾燥後原料の粗タンパク質消化率および豆腐の乾物消化率は各区間に有意な差はみられなかったが,アスパラとジャガイモの乾物消化率では無処理区と脱水区に比べ凍結区と凍脱区で減少した(P<0.05)。以上の結果から凍結解凍およびその後の脱水処理は高水分原料から効率的に水分を除去でき,乾燥所要時間短縮を図れることが確認できたが,凍結解凍後の脱水処理は,原料中の水溶性栄養成分の溶出を促進させることが考えられた。

技術ノート
feedback
Top